先日、2024年冬アニメ『俺だけがレベルアップな件』EDを見ていまして。
「すごい好きな感じの曲だな〜、TK(from凛として時雨)っぽいけど影響受けてるのかな?」と思っていたら、概要欄で即作詞・作曲・編曲:TK (凛として時雨)と明かしてきて笑いました。
ほら、やっぱり!
1番サビ「抜け出せないダンジョンで」のハイトーンなファルセットとかTKの歌唱指導以外に考えにくいもん。
これで私がTK(from 凛として時雨)が女性ボーカルに提供した曲を好きになるのは4曲目かな?
ちょうどいい機会だし、他の好き曲3曲についても語っておきます。
私が私に触れなくなったら
あの日の景色で抱きしめてくれるかな
リズムゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』収録曲。
いやーーー、本当に好きです!
2022年のマイベストソングの中でもTOP3に入るぐらいにお気に入り。
出だしの一秒から最後の一秒まで、全てが私の中では神がかってるんです。
TKの作るノイジーな音は激しくて冷たくて硬いうねりなのに、時折挟まる静寂は鏡面のように凪いでいて、自分の姿だけを映してる。
喉が枯れるほど叫び尽くした後にようやく自分の孤独に触れられるようで、逆に言えばここまで叫び切らないと、「私が私に触れなくなったら 貴方の記憶で抱きしめてくれるかな」というあんなにもささやかで静かな望みすらこぼせなくて。
激しさと静けさで人間を描く、そういう事が出来ている楽曲だと思います。
オルタナティブ・ロックってすごいなあ、勿論これを歌いこなせるCV.佐倉綾音も凄まじいよ!
片眼で見える夢なんて欲しくもないものばかりだ
2人で見させてよ 届きそうなんだ
2023年春アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期ED。
今曲が好きな私ですら人を選びそうな曲だという印象はあるので、よくこれを日5ガンダムのEDに起用したなと思います。
でもやっぱり私はTKの曲が好き!
前述した『独創収差』同様、Cメロの静けさ、「もう消えた 夢の花が赤く輝く星になる」で締める美しさがたまらないです。
TVサイズの先の1分31秒「XIIに舞い散る細胞 掠れた夢」からより深く重くなっていくビートもお気に入り。
フルまで追った視聴者へのご褒美感がある展開だよね。
ヒステリックな弦とエレキの音がヒステリックな(もちろん良い意味でですよ!)アイナ・ジ・エンドの声と混ざり合い赤を描く。
血のような赤、地球ではないどこか他の惑星の夜空のような赤。
「赤色の感性」「赤く輝く星」または「傷だらけの願い」「アザだらけの絆」と自分で言った言葉達をそのまま音で体現してみせてるところに彼の才能がある。
最後まで百合でいくぞッッ!っていう覚悟がバチバチに決まった映像も格好いいですね。
此処が自分自身なら元より何も無かった場所に
静かな空を与えた貴方はいつかの残滓その最後の片鱗が消える数秒を
何度も描いてただ此処にいたい
2020年冬アニメ『pet』ED。
作詞作曲は眩暈SIRENだけど、編曲&総合プロデュースがTKとのこと。
私がTKを追い始めたのはこのアニメのOP&EDからなので、かなり思い入れがある曲。
今曲は何よりMVが良い!
アニメED映像も公式でアップされているのでそっちを貼ろうか迷ったけど、映像の出来は断然こっちの方がいい。
床上のLEDビジョンは激しい明滅を繰り返し、その光はそのまま曲の激しさに加担する。
各自メンバーの別撮りを全員で演奏しているように見せる編集も上手いし、歌詞のモーショングラフィックスもセンスある。
こういう演奏をメインにした見応えのあるMVが私は一番好きですよ。
演奏者の顔を映さずに匿名性と神秘性を高めるライティング技術も凄すぎ。
「こんなに暗くて手元とかちゃんと見える!?」って一瞬心配になるんだけど、注意して見てみるとキーボードの鍵盤とドラムにはちゃんと頭上から光が当たっているんですよね。
ギターとベース、ボーカルには全く無いのに!
そこら辺の調整がまたプロの仕事って感じで痺れます。
『pet』に関しては本家本元、TK(from 凛として時雨)名義のOPもめちゃくちゃいいんですよ。
誰にも渡せない 未来の海にも落ちてない
誰にも殺せない 刻まれた永遠を持っている
あの場所に
本当の本当に神曲!
元々彼の名前は『東京喰種』OPで知っていたんだけど、私が真に惚れ込んだのはこの曲。
4年前の私には全ての音が衝撃的だったんですよね。
私はこのOP&EDの歌詞解釈をしたいがために全5巻の原作漫画も読んだぐらい。
(ここからは原作読者かアニメ視聴者済にしか分からない話をします)
5巻分の長さで描かれた司やヒロキ、主人公勢の話ももちろん面白かったんだけど、私としては最終巻の2話分、たった十数ページで語られた桂木とレンレンの過去話をずっと覚えている。
今回の記事を書くにあたって数年ぶりに電子書籍で5巻を開いたら、ちゃんとP.64のこの場面の履歴から始まって笑っちゃったぐらい。
どんだけ好きなんだよ!
でも分かる、分かるよ、もうここから泣いてしまうよ。
「ただいまレンレン!」と言っているコマの右には噴水が描かれていて、この”水が流れている”という描写があることからも、この時の桂木が司やヒロキ同様に物語の主役であったことが示されているはず。
あとやっぱりレンレンが桂木にメガネを返してあげるシーン!
いつ読んでも確定で泣けてすごい……。
ここの光がヤバいのよね。
窓から差す日光と、2人の眼差しの中にある光。
ここまで男と女の真っ当で力強い愛に触れると泣いてしまうよ。
レンレンは記憶をいじる能力の研究によって重度の知的障害めいた言動をする女の人ではあるんだけど、でも桂木はその根底にある魂に惹かれ愛していて。
男女の愛を2人の表情で描ききったところに、今作の作者:三宅乱丈の力量が出ていると思います。
『蝶の飛ぶ水槽』で私が1番好きなフレーズは1番サビ「いつか 全てを奪われた僕でも 君の名前を呼べるかな」であり、桂木に関して言えばその問いかけはイエスなのがまた……。
マジでここ、ラスサビの「すべてを奪われた僕でも君の名前を呼べるから」なんですよね!ね!
桂木はずっとレンレンの記憶を隠されてたんです。
でも事切れる直前、反射のように愛した人の名を呼び涙を拭った。
その男の手に私はこれからも、いつまでも泣いていくんだと思う。
桂木の記憶を隠した林にさえ「レンレンに笑顔を教えたのはあんたですよ!あんたが来るまで彼女は笑ったことなどなかったんだ!」って言われてるのが更に泣ける。
司達に見せる側面とはまた違った自分を林はあの2人に見せてて、出来ることなら彼もあの2人を祝福したかったんだと思うよ。
話を戻して。
原作を読んでから聞く『蝶の飛ぶ水槽』は本当に、本当に素晴らしく胸に響きます。
「夢の中で見た夢を覚えてる
どれが真実? 息ができないの 偽憶で」
「すべては空想の中で飼われた 脳内の夢
すべては空想の中で溺れた 脳内の夢」
「心が潰れても 潰れても 潰れても 潰れても 渡せない」とか。
全ての言葉が、音が、『pet』という物語に捧げられていることが分かる。
アーティスト本人がその才を尽くしてその物語のために書き下ろした曲達を、私はこれからも愛していくのだと思います。