2023年12月にハマっていた7曲の感想文で、アーティストの五十音順にするとこんな感じ。
・4o feat.初音ミク『故にユーエンミー』
・DURDN feat.yama『はなにあらし』
・なぬりそ feat.初音ミク『葦ですか。』
・Vaundy『カーニバル』
・Louie Zong feat.初音ミク『I'll Sing Your Song』
・MIMI feat.可不『愛するように』
・和田アキ子『KANPAI FUNK』
昨年同様、今年も無事に1月から12月までの月間マイベストミュージックを完走出来てほっとしています。
永遠に 永遠に 永遠に ラブラブ!
ボカロP:4o (シーオ)による、ボーカロイドの初音ミクとUTAUの薪宮風季のデュエットソング。
ふわふわと浮遊しながら脈を打つ3拍子のワルツ、どことなくノスタルジーな響きを繰り返すピアノのフレーズ。
そして何回も歌った「ユーエンミー(=You and meのはず) ラブラブ」を突き放すように「足りないのは代わりがあるから。」で終わる歌詞。
とても不思議な感覚のする曲だなと思います。
この曲にしかない独特の浮遊感がある。
男性ボーカルの入り方も1番のサビの途中からと結構独特だし、少なくとも私にとってはこういう曲、初めて聞きます。
ユーエンミーの響きにあるのはYou and me、永遠に、悠遠に、幽遠に。
例え「足りないのは代わりがあるから。」で終わるにしても、ミクの食べ終わって空になった皿には「I love you」の文字が見えるので、2人は永遠にラブラブでいられるのかなあ……。
「君は何を知っていて、君は何を選ぶ?」という問いに
「ユーエンミー ユーエンミー ユーエンミー ラブラブ!」と
”!”付きで断言してくれてるのにあの終わり方は正直寂しいんだけど、でもこの寂しさが今曲を唯一無二のものにしているとも思う。
「だって、僕も私もみんなユウレイ わがままなユウレイさ」の優しげな諦めもいい。
私はUTAUの薪宮風季自体初耳だったんだけど、途中まではごく普通にエフェクトがかった人間の男性ボーカルだと思っていました。
ラスサビ前の「故に?」でようやく気付いたくらい。
それぐらい自然に歌えるソフトだし、ボカロP自体の調声技術もすごいんだろうな。
いつもここから挽回だろう
きっと明日は最高だろう思い込んで今日は朝まで好きなことしよう
With ensembleで出会ってからちょくちょく追ってるアーティスト、DURDN(ダーダン)。
今曲の「きっと明日は最高だろう 思い込んで今日は朝まで語り明かそうか」は『WARUNORI』の「仕事終わりに 好きなもんもって集合ね」に通ずるものがある。
きちんと明日も仕事して社会人生活を営んでいくために必要な息抜きを、学生時代の友達みたいに誘ってくれる。
それでいてCメロが「どんな明日も どんな昨日も いつの日か忘れそうだよね」なのがまたたまらない。
全てのことを忘れていけるから人は軽く生きていけるんだよねえ。
DURDNのボーカル:Bakuと×yamaのエアリーな歌声も素敵。
パッパッとシンセサイザーの和音が点滅するミッドナイトの雰囲気によく映えてる。
セットリストにこじつけの解釈
ネットギフトにイカれてるi_love_you
↑歌詞の切れ味、凄すぎでは!?
特に「ネットギフトにイカれてるi_love_you」の衝撃に息が止まりました。
SNSでのいいね!もYoutubeでのスパチャもAmazonでのほしいものリスト送信も全て”ネットギフトにイカれてるi_love_you”だよねえ。
「セットリストにこじつけの解釈」も身に覚えがありすぎる。
本当にオタクはこじつけの解釈をしてばかりなので……。
「時効なので信仰や親交を更新中です …更新中です」もすごい!
人間関係や信条が容易に変わるのを”期限切れなので更新します”と指摘するの、意地が悪い見方だけどそれもまた真実だろうし。
今曲は機械音声の上位存在に人間が嘲笑われている不気味な曲で、「人が人らしく思考/試行していたら 我々にとってとても愛おしい」も単なるポーズというか、慈しみ3%、見下し97%だろ!という印象を受ける。
実際にこの歌詞を歌わせているのはなぬりそPという人間のボカロPなんだけど、でも初音ミクとの声を通すことで神の視点を獲得していて本当にすごい。
いや、まあ神様というよりは意地悪な何かなんだけど……。
「貴方は葦ですか。葦ですか。
考えない葦ですか。無視ですか。」
あたりのやり取りは背筋が寒くなるな。
映像:黒岩秀太!!によるMVも手間暇かかっていてすごいよ!
緑髪の初音ミクと灰色神の初音ミクは同一容姿でありながら別存在なのかな?
実写映像をバックに初音ミクが目を閉じて微笑んでいるラストシーンにもグッときました。
概要欄に「この映像の一部には、NHKクリエイティブ・ライブラリーが使用されています。」とあるので、実写部分はそこから引っ張っているはず。
確かにあのカットには、どことなくNHKが作るドキュメンタリー番組のED感がありますね。
人は毒を飲み合い そこになにか
共に歩く理由を探してる
Netflix配信ドラマ『御手洗家、炎上する』主題歌。
私はこのドラマのCMをテレビで見かけて今曲に一目惚れしてからずっと配信を待ち望んでいたんだけど、まさかCM放映の6月から今月のアルバム配信まで半年かかるとはね。
いや、まあフルを制作して配信してくれただけでも有り難いんだけど!
でもちゃんと待たせるだけの価値はあった良曲で良かったです。
「見たらいい景色さ」が御手洗家に聞こえるのも意図的だろうし、「不幸の罠に足滑らす火種持つ天使」も放火による家屋全焼から話が始まるドラマのストーリーに絡めているはず。
Vaundyはさらっとタイアップ先の要素を曲に盛り込むのも上手いなあ。
あとMVもいい!
かごめかごめ、押しくら饅頭、だるまさんがころんだ、花いちもんめ。
巨大な地下空間で児戯にふける大人達の笑顔、その妙な凄みがホラー映画っぽくて。
ただこんなにも禍々しい映像でありつつ、結局は人間讃歌に落ち着くのもまた良し。
「人は毒を飲み合い そこになにか 共に歩く理由を探してる 」
「共に睨み合い目が合えば、そんな捻くれに希望宿して」とか。
『御手洗家、炎上する』、最終的には明るく終わる話なのかもしれません。
この世界で煌めくような
生きる意味を探しているの
ピアノたった一台の伴奏に可不の力強い声が響くシンプルなバラード。
こういう曲って理屈じゃなくて感性、その綺麗さだけで泣けるよね。
特にラスサビ前、「1人分からないことばかり それも全部愛していいの?」でいつも泣いてしまうよ。
そんなの全部、愛していいに決まってるでしょ!
「寂しさの中 僕らは生きる 光の先で孤独を歌う」という1番Aメロの歌詞も大好き。
曲の長さ自体も2分半と聞きやすくまとまっているのも嬉しいところ。
世にも珍し……くはないだろうけど、少なくとも私は初めて見た初音ミクのみの四重唱。
歌詞も短いし全文日本語訳も載せておこう。
i have a voice
(私には声がある)
i sing your tune
(私はあなたの曲を歌う)
i sing about the sun and stars and moon
(太陽と星と月について歌う)
but in the end it’s up to you
(でも結局それはあなた次第 )i sing your song, that’s all i ever do
(私はあなたの歌を歌う、それが私のすべてだから)
every note is made by you
(すべての音符はあなたが作る )
so what’s a blue-haired, pigtailed girl to do?
(でも青い髪のお下げ髪の女の子はどうすればいいの?)
in the end i make no sound
(結局のところ 私は音を作らない)
but oh the songs i’d sing if you weren’t around!
(でも、もしあなたがいなかったら、どんな歌を歌っただろう!)
i sing your song
(私はあなたの歌を歌う)
all night long
(一晩中)
never wrong
(間違ってはいない)
but i just sing along
(でも私はただ一緒に歌うだけ)
the tune is done and i’m a star
(曲は終わり、そして私はスター)
i feel so close, and yet so very far
(とても近くに感じるのに、とても遠い)
and in the end it’s up to you
(それでも結局あなたの歌を歌う)
i sing your song, that’s all i ever do
(それが私のすべてだから)
MVに表示される歌詞だと、「I」が「i」になっているのも何か意味があるんだろうか。
人間の I にはなれない、キャラクターとしての i 。
今曲の肝はやっぱり「i sing your song, that’s all i ever do」なんだと思う。
外見と名前を与えられてスターになった女の子の本質は、歌唱ソフトである以上結局それ以上でもそれ以下でもないんだよねえ……。
でもラストの初音ミクの声はすごくない!?
クレッシェンドしていくブレスはまるで本物の女の子みたい。
MVとジャケットの一枚絵もお気に入りです。
初音ミクが4人いるような、でも一人しかいないようにも思えるそれぞれの透過度の違いに何らかの物語がある気がして。
ちょうど何か聖夜っぽい雰囲気もあるし!
クリスマスに聞くにはぴったりの曲だったな。
軽快なミュージック鳴らすのはあなた!
作詞曲:meiyo(代表曲『なにやってもうまくいかない』)×MV動画:ヤスタツ(代表作:Ado『唱』のMV)ということで、すごく今風の曲に仕上がるのは当たり前なんだけど、でもこれを和田アキ子が歌うからバズるんですよね~。
忘年会シーズンにはぴったりな曲じゃない?
でもMVのキャラクターが来てるのは学生服で、乾杯してるのもビールっぽいけどビールじゃないところがウケる要因かも。
皆で一緒に盛り上がる時に、アルコールは別に必要不可欠じゃないのが今の風潮だよねえ。
間奏で音頭を取るホイッスルの音にも学生っぽくてノンアルらしい健全さがあってユニーク。ヤス
それにしてもMVが可愛い、めちゃくちゃ可愛い!
アクリルスタンドとか出して欲しい系の可愛さだ。
使う色を赤青白黒の4色でまとめあげて、しかもその色味をジャケットとMVの動画で違うものにしてるのもセンスある。