甘川さん制作『3人の勇者』というフリーゲームをプレイしました。
Unity1週間ゲームジャムというイベントに合わせて公開された作品で、プレイ時間は10分。
ちなみにUnity1週間ゲームジャム(#unity1week)というのは、参加者が1週間でお題に沿ったブラウザゲームを制作し、評価しあう簡易コンテストみたいなイベント。
制作期間が1週間なのでプレイ時間が10分程度とコンパクトかつ、多種多様な作風とアイデアが詰まったゲームが毎回150~300作品ほどプレイ出来るので、ゲーム制作者にとってもプレイヤーにとってもありがたい企画だと個人的には思ってます。
で、今作は直近の開催(2024年3月18日~3月24日)で総合1位を獲得した作品。
その受賞も頷けるくらいアイデアと魅力が詰まった作品で面白かったです!
ストーリーとしては、暗い部屋で鬱々としている剣士に
我関せずの魔法使い、
空腹で倒れてる拳闘士。
この3人が世界を支配する魔王に立ち向かっていくまでを描いたおとぎ話のような話。
実際にこの物語は画面の中の絵本という形を取っていて、絵本の中でいわゆるザッピング(複数の主人公をプレイし、その行動が他の主人公の場面に影響を与えていくシステムのこと)が行われているのがすごくいい!
例えば魔法使いにところにあったケーキとそこら辺の道端に実っていたりんごを拳闘士に食べさせると拳闘士の体力が復活して戦闘可能になって、
拳闘士が魔物を倒して手に入れた魔法の本を勇者の部屋の電球に使うと
光が灯って、その光に感化された剣士が立ち上がるみたいな。
こういうザッピングシステムが私は本当に大好き!
この話を絵本という形にすることで、話の進展を「プレイヤーがページをめくること」に任せてるところも好印象。
プレイヤーがページをめくらなければ話は進まず、めくった先でこれまでの物語が変化してる手触りは純粋に楽しい。
自分が3人を導き、また同時に冒険しているという実感はこの能動性によって生まれているはず。
あと効果音もいいよね!
ページをめくる音、技を発動する音、魔物と闘う音。
今作の印象としてはそれこそさわれるえほん感があるけど、音があるからデジタル、音があるからゲームという感じがする。
以下、物語の結末の仕掛けについて触れているのでネタバレ注意。
ネタバレ感想
魔王を倒した後、3人を石台の上に乗せるとそれが石像になって「おわり」を迎えるラストも気に入ってます。
最後の最後までプレイヤーに関与させてくれたところが嬉しいね。
魔王を倒した後に最初のページを読み返すと、文面が
「昔々あるところに魔王に支配された世界がありました
魔王は強すぎるので誰も倒しに行こうとしません」から
「昔々あるところに魔王に支配された世界がありました
そこに、魔王を倒すべく3人の少女が立ち上がったのです」に
変わってるところも胸熱。
あとは本の外にあるものまで活用する仕掛けが面白かったな。
とある本を魔法使いに渡すと「薪の本…地獄の炎で焼くと真の姿になると言われているわ」と言われて受け取ってもらえないんだけど
その言葉通りに画面左上のロウソクで炙ると、ちゃんと真の姿になって使えるようになる。
「えっ、ここって地獄だったの!?」というツッコミが心をよぎるけど、まあそれは彼女なりの言い換えというか遊び心の、は、ず……?