コンパイルハートが2018年に出したガラパゴスRPG『竜星のヴァルニール』をsteamにてプレイしました。
プレイ時間は約20時間でストーリーED数は3。
狂気ED、ノーマルED、トゥルーEDが3つあって、トゥルー後に6人のヒロイン達との個別EDがあるので、合計では9になるのかな?
今作は5年前のゲームなんだけど5年前から存在は知っていて、でも発売当時はPS4専用ソフトだったから手が出せなかったんだよね。
その後Switchに移植されたことも知っていたんだけど、タイミングを逃し続けていて。
先月にsteam deckを買い、たまたまsteamセールで見かけた事からようやく今年プレイ出来たんだけど、いや~~~もっと早くにやっておけば良かったです。
存在を知ったきっかけであるニラカナイ制作のOP、未プレイの時点でもめちゃくちゃ格好良かったんだけど、クリア済の観点からまた見ると旨味がすごい。
全部のカットに意味があるじゃん……!!
ストーリーと絡めた詳細はネタバレ感想の方で語るけど、見えているもの全てに意味があって、叙述トリックでもくらっている気分。
1つのEDを迎えてタイトル画面に戻るたびにこのOPが流れて、毎回毎回飽きることなく何回見てもまだ足りないくらい。
元々ニライカナイの作るOPが好きではあったけど、今作はその中でも相当の上位。
というか私がオタク人生で好きなゲームOP、トップ3には入ると思う。
作ってくださったmaruhi、rapiecage、Tas.Kの3名の方、本当にありがとうございました……。
楽曲『When I …』も佐々木李子のアルバムにフルが収録済。
個人的な好みとしてはゲーム版の尺の方が好きなんだけど(やっぱり私は1番サビ後に即「You're my answer」がきてほしいので)フルはフルで2番の歌詞にグッとくる。
特に2番サビ「連れて行って まだ見ぬ世界へ キミの方へ」が全ヒロインの心情でたまらないです。
作詞曲:NAKO&編曲:大西省吾のタッグも最高!
魔女×巨大竜×ダークファンタジーRPG!
今作のストーリーは、竜を産み出す魔女が迫害される世界で、竜と魔女を狩る騎士団だった男主人公(ゼフィ)が竜の血を口にし、何故か魔女の力に目覚めたところから始まります。
魔女は常に竜の血肉を食べないと自身が竜化するため、少しでも長く生き延びるために竜を食料として狩るんだけど、でもその竜は元魔女で元仲間で、近い将来の自分達。
ゼフィとその仲間の魔女達は、この共喰いの宿命から解放される手段を探してダンジョンを攻略していく……という感じかな?
システムは本当にオーソドックスなRPG。
3Dのダンジョンフィールドを駆け回り
竜とのコマンド制バトルがあって、
経験値を手に入れてレベルアップしていくという流れ。
ユニークな要素としてバトル途中で「竜臨覚醒」という覚醒モードに入るのがあるんだけど、メンバーの衣装がその間だけ変わるんですよね。
これでヒロインの女の子達がちょっとえっちな格好になるまではいいんだけど、主人公にも適用されるものだから笑ってしまう。
いや、お前までちょっとえっちな感じになるんかい(笑)
剥き出しの二の腕と太ももに竜の紋様は狙ってるでしょ!
まあゼフィ君は魔女だからね、仕方ないね……。
男主人公の性格が良すぎる
っていうか流れでお前呼びしちゃったけど、ゼフィは本っっ当に理想的な男主人公の性格しているんですよ。
自分よりかなり年下の妹魔女でもちゃんと先輩扱いするし
同じどころか、魔女としては君たちのほうが先輩だ
でも年下の女の子だから、家の外にいる時は決して一人にしないし。
女の子一人、こんなところに残して帰ったら後悔しそうだ
だから、頼む
何というか、会話している女の子を絶対に傷つけない物の言い方をするんですね、彼は。
いつだって提案という形で話を進めてる。
オレを助けると思って、君の仕事を譲ってほしい
どうだろうか
その代わり、これからもまた仲良くしてくれるか?
その優しさがすごく真面目で誠実で気持ちがいいです。
一方で、ヒロインとの好感度イベントではちゃんと男らしい面も見せるのがたまらなかったり。
特にミネッサイベント!
勇気を出したこと、後悔させないって約束するよ
こんなんモテて当たり前では!??
最初から100ある好感度がマジで1ミリも落ちる瞬間が無い主人公で超良かったです。
やっぱり主人公が気持ちのいい性格してるのって、ゲームを途中でやめない理由になるね。
この男とヒロイン達の行く先を見届けたいというモチベがずっとありました。
CV.阿部大樹のボイスも最高なんですよ、これまた。
ガラパゴスRPGって?
今作ってコンパイルハートのゲームブランド、”ガラパゴスRPG”の第5弾だそうで。
ブランドの売りは「日本の特定のお客様向け」に作られたRPGとのこと。
コンパイルハートのゲームを買う層なんてそりゃ日本の特定のお客様層だろ!って感じだけど、私はこのガラパゴスRPGの雰囲気、めちゃくちゃ好きになれそうです。
細かいことだけどsteam deckってABXYボタンの配置が任天堂コントローラーとは真逆の洋ゲー仕様なんですよ。
だからいつも私はわざわざゲームごとの設定で日本仕様に直してるんだけど、今作は最初からBで決定、Aでキャンセルと日本ゲーマーが直感的に操作できるようにしてくれてあるんですね。
そこはさすがガラパゴスRPGを謳うことあるなって感動しました。
以下、ストーリーのネタバレ感想。
ネタバレ感想
まずはOPのカット解釈から。
ゼフィ、ミネッサ、カリカロ、ラポネット、シャルロッタ、あと映ってないけどファルの名前の横にあるそれぞれの竜の紋様が
最後に砕けて消えていくのは
彼女達の中にある竜の力が消えて、ごく普通の女の子になれる物語の結末を直接的に意味してるよねえ。
で、竜臨覚醒出来ない妹達の横には紋様が無いけれど
音楽クレジットの直後に数コンマ映るカットで、その影に血飛沫が飛んで崩壊するのは
彼女たちが自分の中にある竜の力を制御することなく即竜化するから。
サビの「獄炎の謝肉祭」シーンでシャルロッタの後ろ姿だけ映るのは彼女が「獄炎の魔女」を名乗っていたからであり、
「You're my answer」のパートを担っていたのは、それこそが『竜星のヴァルニール』という物語の本質だから。
彼女の周りに浮かぶ球体は、それだけ彼女が見てきた運命の数々なんだろうな。
あなたが私の答え、これをシャルロッタが言うのは本当にその通りなんだよね。
ゼフィ達が住んでる星そのものが「星竜ヴァルニール」という竜で、シャルロッタはその分身。
その星竜ヴァルニールの寿命が近いから、次の星となる竜を探すために彼女は彷徨い続けてきたわけで。
「誰が次の星竜になるのか」という分岐点で、EDも3つに別れる。
でもその全てが、シャルロッタにとってはやっと手に出来た「あなたが私の答え」なんだと思うと、これは本当にグッとくるフレーズだと思います。
ED分岐について
EDを好きな順に並べるならノーマル→狂気→トゥルーかなあ。
トゥルー後のヒロインとの個別EDは好きなんだけどね。
やっぱり次の星竜になるのはゼフィであってほしいよ。
という訳で竜星はゼフィが引き受けるノーマルEDの感想から。
オレは、みんなの代わりに犠牲になろうだなんて思ってない。
オレ自身が、星竜になってみんなを……家族を守る道を選びたいんだ!
ノーマルEDの良いところは、最後のダンジョンに臨む前にヒロイン達それぞれの意見を聞きに行く個別面談があるところだよね。
特に私は千里眼を持つ魔女、ラポネットの覚悟にやられたな。
ヴァルニールにはシャルロッタという化身がいますわ
もしわたしが星竜になって、
この星に起こる悲惨な未来を視たとしたら……わたしは、化身を通して危険を知らせ
降り注ぐはずの災いを回避することができるかもしれない
ただの魔女では回避できなかった悲しい未来も
星竜になればきっと、と思えるんですのこれからは、わたし自身が星となって
みんなを守っていくのも悪くないって
ラポネットは悪い未来だけを見せる自分の千里眼にひどく苦しめられていて、でもその才能が今ここでようやく役に立つかもしれない。
彼女はそれを運命だと感じただろうし、そこには微かな喜びもあったんじゃないかなと想像します。
自分の命には意味があったのだと、これまでの苦痛は報われるのだと、一瞬でも彼女が悟れたのならそれは歓びであり幸福だよね。
3ED共通のED曲、『トーラス』もOP同様良かったです。
ケルティック調の壮大なバラードで、一つの星の命の終焉を描く。
やけに好みの曲だなあと思っていたら、EDクレジットに作詞・作曲・編曲:Yamato Kasai from Mili と表示されてひっくり返りました。
み、MiliってあのMili!?Miliの人じゃん!!
そりゃ私が好きなはずですよ。
OPの編曲者:大西省吾も私の大好きな幕末Rockを手掛けてくれた人だし、何だか私の好きな音楽家が大集結してるんだけど……。
今曲の歌詞を見ると、やっぱりこの星の星竜はゼフィである方がロマンチック。
荘厳と響く
脈打つ音は世界を揺らして赤子をあやす瞼の裏に描いた夢は
終わりを迎えた星の命
「循環の定めと胎児の夢の終わり」
「耳鳴り響く目覚めの音は 命を繋いだ星の声」
あたりもさすがMiliの人が書いただけあって雰囲気バッチリ。
狂気ED
狂気EDは妹達を全員竜化させる何なりして、主人公の狂気度を上げると迎えるバッドED。
ラストダンジョンの最奥まで辿り着けずに引き返すとファルが息絶えてしまっており、それを理由にミネッサが狂ってパーティーメンバー皆殺しという流れ。
かなり悲惨な結末だけど、これはこれで納得感が高くて私は好き。
ミネッサのCV.千本木彩花とラポネットのCV.東城日沙子、シャルロッタのCV.三澤紗千香の全員がいい芝居をしていると思うんだよね。
限界を超えたミネッサの高笑いと、そんな仲間をそれでも庇うラポネットの悲痛な声、そしてその光景を見つめるシャルロッタの諦めと疲労が滲んだ眼差しが味わい深い。
結局は皆、ヒロイン全員優しいんですよね。
それがこの殺し合いの極限下でも伝わってくるのがやるせなくて胸に響く。
で、その惨劇に幕を下ろすのはやっぱり主人公であるゼフィの役目だったり。
炎は怖いんだろ。
もう、見なくていい
そう言ってミネッサを手に掛ける優しさも、炎に包まれながらでも竜の胎動を感じた瞬間に自分の腹に剣を突き立てて死ぬ潔さも全てに覚悟があって素晴らしい。
私は格好いい男の自害一枚絵が大好き……。
トゥルーED
トゥルーエンドは星竜となる役目を敵であり、また真の「獄炎の魔女」だったベンディッカというキャラが引き受けてくれるので、全員が無事に生還するという流れ。
この作品、敵側の倫理観と理解力高すぎじゃない?
敵側の勢力として、魔女を狩る鎮魂騎士団と竜を狩るエビルレイヴン、その2つをまとめる奉皇庁の3つあるんだけど、タイマンとして戦うのなんてトゥルーEDでは鎮魂騎士団の女騎士団長1人だけ。
エビルレイヴン幹部は騎士団と内輪もめして自滅するし
奉皇庁の枢機卿でさえ誤解が解けたらすぐに引いてくれる。
おかげで心底不快な場面が無く、ノンストレスで読み進められるのはこの作品の美点だけども、「何か勝手に解決していったな……」という呆気なさは多少ある。
まあ個人的にはこの鬱陶しくない感じはかなり好ましいけどね。
あともう一つ言いたいのが星竜ヴァルニールのデザイン!
竜の姿か?これが……
竜というよりはトカゲとか爬虫類っぽい印象で私は全然格好良くないと思う。
こんな感じの金ピカクリーチャーデザイン、デュエル・マスターズで見たことあるような気がするし。
ヴェンデッタ、もしくはゼフィ君がなる時はもっとスマートで王道の格好いい竜におなりよ……(すごい難癖)
ミネッサED
今作には好感度システムがあって、トゥルーエンドを迎えた時に一番好感度が高いヒロインの一人と個別EDが迎えられる。
その為には7本の好感度ゲージを満杯にする必要があって、そのゲージが満たされる度に1回イベントが発生。
この本編中で起こせる好感度イベントと、個別EDでの会話がちゃんと綺麗に繋がっているのがED回収をしていて気持ちよかったです。
その中でもやっぱり最初から好感度が高かったミネッサ、ラポネット、シャルロッタのエピソードが読んでて楽しかったな。
という訳でまずはミネッサイベントから!
ミネッサとゼフィは最初から最後まで清純派の初々しいカップルという印象。
一緒に庭を探索するエピソードが最初の方にあるんだけど
【ミネッサ】
あっ、ほらあそこ。
見つけづらいけど、あんなに高いところにもたくさん実がなっているのよあの黄色い実も美味しくって……よいしょ、ん……
【ゼフィ】
届かないんだろ?オレが取るよ。ほら
【ミネッサ】
ありがとう。でもそれはあなたにあげるわ
とっても美味しいから食べてほしかったの【ゼフィ】
そんなに美味しいなら、半分に分けよう
よっと……ほら、ミネッサの分【ミネッサ】
いいの?実は私、これ大好きなの
……うん、美味しい!
か、可愛い~!
文章だけ書き出してみると「小学生ですか?」って感じのやり取りなんだけど、でもCV.阿部大樹×CV.千本木彩花のボイス入りで聞くと、ちゃんと年頃の男女がお互いを大切にし合っているのが分かる声音なんですよ。
そこがもう本当に可愛くてたまらない。
顔と性格のいい男が顔と性格のいい女の子と恋愛してるのを見るの、マジでにやにやしちゃうな。
ゼフィ君、絶対に女ゲーマー受けする性格だから乙女ゲームにきませんか?
一番に攻略するから!私が!
でもな~~~ゼフィがプレゼントしたネックレスをすごく大切にしてるミネッサちゃんも超可愛いんだよ。
あなたが初めてくれたプレゼントだもの
身に着けるなら、特別な夜にしたかったの
この夜って、本当に彼女にとっては特別な夜なんだよねえ。
少なくともゼフィと出会わなければ、妹たちと家の外で楽しく過ごす夜なんて到底許容出来なかったはずなので。
特別な日に特別な人からの特別な贈り物がこの手の中にあること。
その事実が彼女の喜びとなる尊さを想います。
ラポネットED
ラポネットとのイベントはね~~~、ゼフィくんがより輪をかけて格好いい!
昼間に邂逅した竜が自分が前にお世話になったお姉様で、かつそのお姉様がくれたブレスレットが壊れたことにひどく落ち込むラポネットの部屋をゼフィが修理しに訪ねるというエピソードがあるんだけど。
ブレスレットが壊れたことが、龍になったお姉さんの
見守らないという意思表示だというのなら……こうして綺麗に修復できたのは、
まだラポネットのことを見守りたいということにはならないだろうか?
私「なるよ~~~~(泣)」
冷静に考えれば別にならないんだけど、でもゼフィ君とラポネットがなるって言えばなるの!
自分が単なる持ち前の技術で直してあげた物を、こんなにも優しい魔法をかけて返してくれる男とかいる?
ブレスレットが直ったのはお姉様のおかげだと、例えラポネットが自力で直したところでそうとは思えなかったはずなんだよね。
ゼフィが直して、ゼフィがそう言ってラポネットに手渡してくれたから、彼女はその優しい嘘を自分の手の中で真実として握りしめていける。
人と人が2人でやり取りする意義がラポネットとのエピソードにはあって、そこにとても感動しました。
誰かがかけてくれるから、魔法は魔法足り得るんだなあ。
シャルロッタED
シャルロッタとのエピソードは、これはシャルロッタが可愛い!
彼女が1000年を生きる魔女であり、出会いと別れを繰り返し続けたために冷淡な性格になっていると知ったゼフィが、彼女に日々を書き留める日記帳としおりをプレゼントするという流れ。
このしおりとなる花を採るためにゼフィは風邪をひくんだけど、それを知ったシャルロッタの態度がデレ全開でキュート。
【シャルロッタ】
もし風邪だったら、看病してあげる
【ゼフィ】
……なんだか、今日は優しくないか?
いつもなら、風邪がうつるから出ていけとか【シャルロッタ】
無粋なんだから……
それだけあなたからの贈り物が嬉しかったってことよ
ここのCV.三澤紗千香の声、すごい優しいお姉さん感があってたまらないです。
星竜ヴァルニールを倒した後、その化身であるシャルロッタも消滅するはずなんだけど、ヴェンデッタが何やかんやして復活させてくれて。
そうしたらちゃんとシャルロッタの方から告白しに戻って来てくれるのもまた年上お姉さんっぽい。
あなたに伝え忘れてたのよ。
好きだって
その恋が実った後、2人が浮かれに浮かれまくってるのもまた可愛い。
あたしが地上に復活して、あなたと恋人になった特別な日だもの。
ちゃんと書いておかないとね
うーん、バカップル感全開や。