気温37℃超えの外出ってもはや息すら上手く出来ないんですけど、そうは言っても外に出ないとどうにもならない毎日の中で、歩きながら聞く音楽にすごく助けられています。
という訳で最近私がよく聞いている、夏をやり過ごすような曲を5曲ご紹介。
楽園を拒むような僕のハイカットスニーカー
つっついて君は「可愛いね」と言った
原曲『夏の夢』も十分名曲だけど、このcold water mixの方が茹だる夏には効く気がしてこちらの方ばかり聞いてます。
このアレンジのすごいところは、日差しが遮られた室内で、クーラーや扇風機といった人工的な冷房機械の風に吹かれているような錯覚をさせるところ。
締め切った室内で快適な空間にいるけれど塞ぐ心の閉塞感に寄り添ってくれる感じがする。
原曲にはないEDM要素がそう感じさせるのかも。
歌詞自体は王道の青春サマーラブソングで、その甘酸っぱさにグッとくるものがあります。
仲間と海に来ているのに「楽園を拒むような僕のハイカットスニーカー」を履いてきてる「僕」のちょっと捻くれた感じと、それに気付いてくれた「君」への特別感、つまりは恋に落ちた理由を最初に説明してくれるのが物語的。
「夏の終わりが 君の幻想覚ますの分かっているから 永遠に僕が終わらせないって 生意気を目を視て言えたら」も頑張る男の子って感じで良いね。
思いがけず光るのは 海の幽霊
アニメ映画『海獣の子供』主題歌。
今曲のMVがそのアニメ映像を再編集したものだったのでちゃんと映画本編を観ましたよ。
星の誕生を描いたビッグバン・ストーリーで私は好きだったな。
ただ今曲は映画よりも原作を重視した歌詞になってるなあとも思います。
サビの「星が降る夜にあなたにあえた」というフレーズは、原作漫画だとそうだけど映画の方だとそうではないので。
でもこの曲にある音全てが『海獣の子供』という作品に捧げられてることも分かるよ。
揺蕩うように繰り返される波の上を、風のような、彗星のような米津玄師の歌声が渡っていく。
彼のファルセットそのものに宿る光が美しく輝いていて、本当に綺麗な曲だなと思います。
瞬いてる遠い花火が影を作るよ
もがきながら生きていたいだけ
MAGES.制作のゲーム『サマータイムレンダ Another Horizon』のED曲。
このサマータイムレンダという作品は原作漫画が少年ジャンプ+で連載されていて、2022年にTVアニメ化もしたループものバトル。
歌詞の「互いにとけあうように 時を繰り返して」「知らなかった 明日が来るなんて」はこのループ要素から来ているはず。
ただ他にも「瞬いている 遠い花火が 影を作るよ」「まだ鳴いてる ひぐらしの音が 夜を迎える」と夏の一瞬を切り取ったフレーズが上手い。
第一にボーカル:koshiの声がめちゃくちゃ良くって、この声で歌われれば何でも良くなっちゃうよ。
1番Bメロ「来年の夏が来ることも 覚えていないことも」でコーラス&ボーカルオンリーにになるのも彼の歌声に自信が無かったら出来ないはず。
あと一発で名曲だと分からせる今曲のイントロが大好き!
シンセサイザーの和音が夜明け、その水面を描き出す透明感の演出に唸ります。
海の揺らめきと地球の呼吸だけ
思い出すのは貴方の
こんな情緒に響く音がある!?
何回聴いてもその淋しさ全てに震えちゃうよ。
アコギが2本あれば砂浜で奏でられるようなシンプルさがまさに「海の揺らめきと地球の呼吸だけ」で、歌詞の言葉を音にそのまま転化するアレンジがすごすぎ。
弦の音は冴え冴えとした水面の揺らめきで、繰り返される旋律は寄せては返す波打ち際のよう。
歌詞だと2番Aメロ「振り返れば貴方が でも目が合わないのは何故か」のもどかしさが好き。
もうここで別れの目配せがされているんだよね。
「忘れたいのは貴方の」「思い出すのは貴方の」と繰り返す言葉の先、貴方の何を忘れたくて貴方の何を思い出すのかは歌う彼女にしか分からなくて、その言葉にされない空白に「貴方」と「私」の過去が詰まってる。
記憶という秘密を包み込むあの声こそが神秘だなと思います。
それでもちゃんとアウトロは明るい光で締めるのが意外。
今曲がラストトラックとして収録されているミニアルバム『Light in the Distance』、直訳すれば「遠くの光」に繋がる終わり方で、私はめちゃくちゃ気に入ってます。
タイトル回収って小説、漫画に限らずどんな媒体でも最高ですよ。
憂鬱な太陽 ふざければ一瞬めいて
この夏が本当で 二人が偽物でも
鬼束ちひろの夏曲と言えば『夏の罪』『蛍』とか他にも名曲があるけど、このうだる近年の夏に一番映えるのはこの『憂鬱な太陽 退屈な月』だと思う。
前述した4曲のイメージは水だし、歌詞やタイトルに「海」が入ってるんだよね。
でもこの曲だけは晩夏の焦げた夕焼けを感じさせる色があって、その熱に心が沸き立つ。
やっぱり鬼束ちひろの言葉、歌声全てが私は好き。
タイトル『憂鬱な太陽 退屈な月』からして刺さるし、「僕らはそう 名前も知らないで 互いの包帯をはずすの」「この夏が偽物で 二人が本当でも」というフレーズにもたまらない気持ちになる。
抽象的な言葉で明確に伝わってくる恋情があって、その共振に彼女自身の才能を強く感じます。
肌を冷ます風のようにさらっと終わるアウトロも気持ちいい。
