2023年10月にハマっていた7曲の感想文で、アーティストの五十音順にするとこんな感じ。
・JUNNA『眠らされたリネージュ』
・十明『Discord-disco』
・中島みゆき『心音』
・Who-ya Extended『Prayer』
・fripSide『Red Liberation』
・MYTH&ROID『ACHE in PULSE』
・ReReGRAPHICS『Q』
きましたね、口を開けて待ってるだけで神曲が詰め込まれる神クールが!
あなたの残り火を消せるのは私だけ
アニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』OP。
作編曲:石川智晶×編曲:白戸佑輔×ボーカル:JUNNNAのコラボは『我は小説よりも奇なり』に引き続き2曲目で、まさか2回目があると思っていなかったのですごく嬉しい。
やっぱり私は石川智晶が大好き!
彼女の歌声も作るメロディーも大好きだけど、何より好きなのはその言葉達。
2番サビ「鍵穴から覗いた想空が美しい季節並べても 私の明暗はあなたの声でした」とか本当にすごい。
明度がなければ彩度はなくて、まず優先されるのは光源。
あなたからの支配もあなたへの依存も愛も全てが混じった感情が展開されてる。
タイトルにあるリネージュの意味は血統。
「あなたに似た髪に生まれて」「膝の上ぽろぽろとほつれていく 悲しいくらい確かな遺伝子よ」というフレーズがあることから、このあなたはどうも母親もしくは祖母っぽいんだよね。
そう考えると「私の明暗はあなたの声でした」というフレーズの重苦しさが分かる。
鍵のかかった部屋で育てられて、それは虐待に近しいものかもしれないのに、それでも親を慕い愛してしまうのが子の性だよな……。
望んで欲しくて 引き出しの奥 まるめたファクト
月灯りが照らす ガタついている椅子さえも
その場しのぎの安らぎをくれるのに
もすごく石川智晶らしい。
こんな難しい旋律を歌いこなせるJUNNNAの歌唱力もずば抜けてるし、映像もめちゃくちゃ気合が入ってて素晴らしいの一言。
OP映像だけで物語のほぼ終盤までネタバレしてるんじゃない?
随分先の事まで語りすぎのようにも思えるレベルなんだけど、でもそこまでしたくなるだけの力が『眠らされたリネージュ』にはあるんだと思います。
mirror mirror よくみてみな?
踊り狂う獣だものね
劇場版アニメ『すずめの戸締まり』で一躍有名になった十明の2ndデジタルシングルで、前曲『灰被り』同様プロデュースは野田洋次郎。
と言っても作詞曲は十明で、やっぱり私は彼女の歌声と彼女の作る世界観がお気に入り。
憂鬱な大人の童謡、少し歪んだおとぎ話感というか。
それが野田洋次郎の編曲でポップに聞きやすく仕上がってるのも良き。
綺麗で醜い嘘たちを 僕は此処で抱き留めながら
僕は本当の僕へと 祈りのように叫ぶだろう
劇場版アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』主題歌。
驚くぐらいいつもの中島みゆきだったし、驚くくらいいつもの編曲:瀬尾一三。
フルMVの1分50秒地点でヒロインが空に手を伸ばすカットがあるんだけど、そこで鳴り響くエレキは流石に令和ではないでしょ!
でもいつもの中島みゆきの壮大さに、私もいつもの通りに泣いてしまうよ。
誰も触れない 誰も問わない 時は進まない
でも聞こえてしまったんだ 僕の中の心音
考えない どうでもいい 夜が塗り込める
でも渡さない微かな熱 僕の中の心音
の2つがとにかく涙腺に来る。
ひとりでに早くなったり緩んだりを繰り返す鼓動は、もうそれだけで体の中の時を刻むものなんだな。
映画も観たい!と思った週にちょうど近隣映画館での上映が終わってしまったので、早くアマプラか何かで配信されてほしいです。
どうか怒りも涙も 叫んで
ひとり絡まって 二度と戻れなくなる前に
アニメ『はめつのおうこく』ED。
いや~~~、Who-ya Extendedのバラードって良いですね!
普段はもっとド早い曲を作って歌うイメージがあったんだけど、こうやってゆったりしたテンポで聞くと、改めてその声に惚れ惚れする。
アウトロで急に歪んだエレキが割り込んできて、シューゲイザー的な雰囲気になるのも作品の物語に沿っていて面白い。
ただ最後の最後は「指をすり抜け落ちる夢のように」と静かに終わるところがまた上品。
君と この運命に賭ける
アニメ『ひきこまり吸血姫の悶々』OP。
出だしからAメロに入るまでの26秒間をタイトルロゴのみで乗り切る力技に度肝を抜かれたものの、そこからはちゃんとクオリティの高い映像が続いて大満足。
個人的にはコールするオタクのカットがめちゃくちゃシンクロみがあって好きです。
絶対これをリアルライブでやりたいんだろうな〜。
fripSideの3代目ボーカル:上杉真央&阿部寿世のデュエットと八木沼悟志音楽の力強さにも圧倒されました。
一瞬の隙もなく熱量だけを詰め込んで駆け抜けていく速さが気持ち良い。
誰も彼もいない 私以外に
アニメ『アークナイツ 冬隠帰路』OP。
前作『黎明前奏』もこれくらいの時期じゃなかったけ?と思ったらちょうど1年前の秋クールでした。
1期のOPだったReoNaは2期ED担当になって、新たな2期OPはMYTH&ROIDに。
2年連続でアークナイツのアニメOPを観れて嬉しい~!
タイトル『ACHE in PULSE』の意味は”脈打つ痛み”。
その言葉通りに脈打つドラムとベース、痛みのように走るエレキが聞いていて楽しい。
特に好きなのは間奏直後、「e-o-e-o-e-o-e」×2という母音の連続から「Nobody can stop me now」に繋げるところ。
あのボルテージの上げ方がMYTH&ROIDの真骨頂という感じがする。
OP映像の方については、すごく撮影の仕上げが丁寧で綺麗だなと思います。
薄曇りの空から降る雪に漂う冷気。
底冷えした冬の空気がホワイトグレーとして全体にかかっていて、それでもそこで戦う少女たちの瞳は凍りついてなんかいなくて。
資金の潤沢さを感じさせる映像で、私は好きです。
どうしようもなくらい 震えたままの心で
カタチのない正しさばかり 探している
2021年に放映されたアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 Final SEASON-浅き夢の暁-』のDVD&Blu-ray1巻特典CDに収録されているイメージソング。
本家まどマギの梶浦由記サウンドをオマージュし、歌詞もあの作品における魔法少女システムを端的に言葉にしていて、円盤特典にしておくには勿体ないぐらい。
私は今度やる新作映画『ワルプルギスの廻転』の主題歌を、kalafinaがやらないなら彼女たちがやればいいのにってぐらいには思ってるよ。
夜風のように透明な声は、本家とはまた違った黒で魔法少女の嘆きを歌う。
「強く生きて行かなくちゃ 生きるために生きなくちゃ」に私はすごく胸を打たれました。
そう、そうなんだよね。
まだ中学生ぐらいの女の子達なのに、彼女達の努力の先にあるのはかろうじての生存だけで、そこには未来を夢見る余地なんて一切ない。
1番Bメロに「言葉にした願いが喰い尽くす」とある通り、ただ願いを口にしたばっかりに。
「偽るあの子 逃げたいあの子 ズレてるあの子 どこへも還れない」もすごくない?
「帰れない」じゃなくて「還れない」という漢字を使うのがまどマギらしいよね。
ちなみにMVのロケ地は千葉県富津岬にある「明治百年記念展望塔」のはず。
(引用:明治百年記念展望塔)
この場所は楽曲MVで結構よく見かける。
私が知ってる中だとHey! Say! JUMP、乃木坂46、浜崎あゆみに続いてこれで4組目。
映える上に千葉で近いし使用料もかからないだろうし、使いやすいんだろうか。