復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

2023年7月マイベストミュージック<前半>【12曲】

2023年7月前半にハマっていた12曲の感想文で、アーティストの五十音順にするとこんな感じ。

・三月のパンタシア『ゴールデンレイ
・せきこみごはん feat.初音ミク『ラストスコア
・せきこみごはん feat.初音ミク『ティアラ
・せきこみごはん feat.初音ミク『リメンシア
・せきこみごはん feat.初音ミク『アルス
・せきこみごはん feat.初音ミク『Loading Memories
・Se feat.初音ミク『浮世芝居
・タナトスナイト / 『SAYONARA
・畑亜貴『進退維谷まる(Monologue ver.)
・Fiction Junction『宝石
・ユアマジェスティ / マーニャ『Voron
・ユアマジェスティ / マーニャ&コンスタンス『Via-Anarchy

気温39℃超えという灼熱地獄の中でも外出しないといけない日々の中で、気を紛らわしてくれる音楽達にいつも助けられています。

 

 

ゴールデンレイ

ゴールデンレイ

  • 三月のパンタシア
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

止まらないで行こう 光る方へ行こう
僕らは戻れない 戻れないのさゴールデンレイ

アニメ『ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜』OP。

アトリエシリーズがTVアニメ化するのは『エスカ&ロジーのアトリエ』以来2回目で、前回のOPの作編曲は浅野隼人、つまり本家ゲームBGM作曲者だったんですよね。

今曲を聞いた時、てっきりライザもそうかと思ったら、作編曲がはるまきごはん(というボカロ)で驚きました。

この民族音楽調、すごいアトリエ音楽っぽいのに!?

たぶん、というか絶対にアトリエシリーズのBGMに寄せるよう意識してくれたんだと思います。

アトリエシリーズファンとしては、その「寄せてくれた」っていう事実自体が嬉しい。


今曲は「ひと夏だけの冒険」を掲げたライザのストーリーに差す、溢れんばかりの夏の光に満ちていてその爽やかな美しさに感動します。

現実の日本の夏はそんな事言ってられないぐらいの湿気と暑さなので、これはもうフィクションの中にしか存在しない透明な光。


歌詞も、優しいけれど容赦なく進む時間の中を歩く少女達の足取りが軽やかに描き出されていて、そこがアトリエっぽい。

ラストサビの「止まらないで行こう  光る方へ行こう 僕らは戻れない 戻れないんだゴールデンレイ」の切なさが私は好きだな。

ライザではもうかつての時間制限システムは撤廃されてるけど、限られた時間の中での冒険と成長には変わりないから。

 

 

 

ラストスコア (feat. 初音ミク)

ラストスコア (feat. 初音ミク)

  • せきこみごはん
  • ポップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

この声が枯れるまでは 君と泣くから
この声を棄てた後も 君を待つから 

あまりに神曲!

今曲を聞くたびに桁外れの華やかさと強い初音ミクへの愛に押されて泣いてしまいます。

音楽の力と初音ミクの可能性を信じ、その信条をそのままの形で出力出来るのは本当にすごいこと。こんなの選ばれた人にしか出来ないことだよ。


私がこんなにも感動しているのは、曲を作るのを辞めてもいいと、作った曲自体は永遠に輝き続けるから、と言ってくれているからだと思う。

学生時代ならまだしも社会人になったら趣味の時間が減るのなんて当たり前で、その「何もやってなさ」に対する焦燥が無に変わるのもあっという間で。

それでもこの曲はそれをいいと言ってくれるんですよね。

いつしかココロを忘れ見失っても 築いたアイは君との存在証明だから」と。

この声を棄てた後も 君を待つから」と歌う強くて優しい彼女の愛に泣ける。


メロディーに関しても、何をどう育てばこんなにプロっぽい音楽が作れるんだろうと驚嘆するばかり。

プロセカことVOCALOIDのリズムアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ!』の楽曲採用コンテンストの応募曲で、見事ゲーム内に収録決定されたらしいけど、やっぱり頭一つ飛び抜けた出来だと思います。

 

 

 

ティアラ (feat. 初音ミク)

ティアラ (feat. 初音ミク)

  • せきこみごはん
  • ポップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

ねぇティアラ あのねティアラ
私、そこに行くからね

あまりに神曲!(2回目)

こういう迫力満点のゴシック曲なんていつの時代の私も好きだろうけど、特に中学生の時の私に聞かせてあげたい。

私の音楽の好みの原点にど直球でぶっ刺さる編曲とメロディーなので、絶対に一発で惚れていたはず。

どこに言及すればいいのか分からないほど全部が好きだし、最後はちゃんと「囚われた愛に救いはあると示せ」と真っ当な幸福を指さしてくれるところがいいよね。

前半だけ聞くと相当な病みソングっぽいけど、次第にそうでもなくなっていくのが、その人の心が本来持つ熱量の発露という感じで胸熱です。

 

 

 

リメンシア (feat. 初音ミク)

リメンシア (feat. 初音ミク)

  • せきこみごはん
  • ポップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

忘れたって狂ってたって  聴こえてる?
僕の声  

Youtubeの概要欄に「忘れ病にたったひとつの特効薬」とあるので、その言葉通りに記憶の回復を歌った歌なんだと思います。

今曲は曲もさることながら、MVがすごく良い!

脳という地層の奥底に埋もれた記憶にまで届いて照らして掘り起こすように、強く輝く彼女の白があまりに目映い。

後述の『アルス』もそうなんだけど、もうすごすぎて特に言う事ないです。

 

 

 

アルス (feat. 初音ミク)

アルス (feat. 初音ミク)

  • せきこみごはん
  • ポップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

アタシが生きた意味の全てを込めて 

「前奏16秒」と表示されたイントロのバイオリンソロ+雨音からめちゃくちゃ良い雰囲気で好き。

間奏で映される文字から察するに末期患者の少女の心情を歌った歌なんだろうけど、死の淵に佇みながら「それでも幸福だって思って」と言えるのはすごいよなあ……。

 

 

 

Loading Memories (feat. Hatsune Miku)

Loading Memories (feat. Hatsune Miku)

  • せきこみごはん
  • ポップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

熱を帯びて 時を駆けて 君に届け
交わる今 キセキのMemory 

マジカルミライ(というVOCALOIDの3DCGライブをするイベント)開催10周年楽曲コンテストのグランプリ受賞曲で、前述した『ラストスコア』の雰囲気とよく似てる。

こういうオーケストラ調の編曲とリアルライブなんて絶対に合うじゃんね。

初音ミクを愛したオタク達への祝祭、そこに捧ぐ祝福の歌なんだろうなと思います。


1番サビで「追いついていくから 追いつかせるから」の言葉にいつも泣いてしまう。

2次元のバーチャルシンガーと3次元を生きる私達の間にある隔絶を、埋められるものだよと走る姿があまりに綺麗で、あたたかくて、嬉しい。

 

 

 

浮世芝居

浮世芝居

  • Se
  • J-Pop
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

今 恋と欲と悲哀と絶望が襲う
枕を濡らすは海

今曲の歌詞について、Youtubeのコメント欄を見ていたら「田山花袋(明治時代の文豪)の蒲団が元ネタ?」というコメントがあったので、青空文庫で読んでみました。

ラストに「芳子が常に用いていた蒲団――萌黄唐草の敷蒲団」「性慾と悲哀と絶望とが忽ち時雄の胸を襲った」という文章が出てくるので、多少はモチーフになっているはず。

どこか懐かしいメロディーにビブラフォンの音がアクセントで入り、また画像の実写モノクロおっさんも相まってユニークな雰囲気の曲。

個人的には「もしも、あなたとまた出逢えたら 私の想いを全て話そう」という小さくて切ない誓いに胸打たれます。

 

 

 

SAYONARA(ダミーヘッド官能ロック 「THANATOS NiGHT Re:Vival」)

SAYONARA(ダミーヘッド官能ロック 「THANATOS NiGHT Re:Vival」)

  • デュラン(CV.豊永利行)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

祈りじゃ届かない何もかもが
今まで、塞いでいた瞼から  溢れ出していく

2016年にRejetが展開していた『THANATOS NiGHT Re:Vival』というドラマCDシリーズのキャラソン。

この時期のRejetのキャラソンって発売当時は配信すらなかったので、数年後とはいえそれが解禁されるのはすごく嬉しい!

Rejet×作編曲:白戸佑輔×CV.豊永利行の安定感も抜群で、二次元好き女オタクが好むキャラソンの及第点は確実に取ってくるような音がしてる。

未だに仮説を唱えてる  君の弱みなら 知り尽くしてる」という言い回しも岩崎大介感ありありで良き。

 

 

 

進退維谷まる (Monologue ver.)

進退維谷まる (Monologue ver.)

  • 畑 亜貴
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

私だけが歩み寄るの飽きちゃったんだな

畑亜貴ってこういう日常生活において恋が褪せていくやるせなさも的確に歌えるのが本当にすごい人だよね。

もはや遠い人みたいだ」から「もはや遠い人だよね」に至った彼への気持ちが復活することはもうあり得ない。

ただそこで、かつて輝いていて幸福だった日々へ「懐かしい歌で泣けてくるけど それだけ ただそれだけの気持ち」と言語化出来るのが彼女のすごいところ。

泣けてくるけどそれだけ、ただ、それだけの気持ち……。

 

 

 

宝石

宝石

  • FictionJunction
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

今は優しさよりも痛さで
凍り付いた君の心を溶かしたい

2004年に新房昭之監督×音楽:梶浦由記のタッグで制作された全3話のOVAアニメ『コゼットの肖像』ED。

今だとAmazon Primeで手軽に観られるのが嬉しいところ。

 

まず今曲の歌詞について、アニメ1話の冒頭でコゼットが朗読するドイツの詩人:リルケの「立像の歌」という詞をベースにしているはず。

愛おしい自分の命を振り捨てるほどに
私を愛してくれるのは誰?

私のために海で溺れ死ぬ人があれば
その時私は石から解き放たれ

また生命へ 生命へと還っていく


でも一番大切なものを与えてくれる命の中に
もしいつの日か私が蘇ったとしたら

その時は私は一人きりで泣くでしょう

私の石を求めて泣くでしょう

それはわたしを一番愛してくれた人を
水底より呼び戻すことは出来ないのだから

この詞を梶浦由記が自分の音楽に変換すると

小さな光はきっと 暗闇の深くに沈んでいるから 
遠く微睡む宝石の夢 夜の底に二人で探している

になるんだと思います。


ただアニメEDでのボーカルはコゼット役の声優:井上麻里奈で、サブスクで配信されてるFiction Junctionのカバーアルバム『Everlasting Songs』で聞ける『宝石』とはまた違うんだよね。

アルバム収録版のボーカルはKEIKOなので、個人的にはどうしてもそっちの声に馴染みがあるんだけど、アニメのEDとして流れてくると感動するのはやっぱり井上麻里奈版の方。

恋人のようだね もっと抱きしめて」「逃れることの出来ない影のように  いつも近くにいるから」というフレーズはコゼット役の声優が歌うからこそグッとくるものがあります。

あとアニメ版の尺だと1番Bメロから即「贖う傷の深さが この想いを支えるような気がして」に繋がるんだけど、主人公とコゼット、そのどちらの心情も重ねて掬うこのフレーズが個人的には一番好き。

 



踊れ 
何もかもはかない世界では 光は影と同じ

「ユアマジェスティ」というソシャゲのマーニャというキャラのキャラソン。

私は去年の夏頃にこのMVを知って一目惚れし、サービス開始時にゲームまでDLしていたので、今回のフルアルバム発売は素直に嬉しい。

いや~~~、FullのためにCD買って良かったです!

Youtubeで公開されている尺でも十分格好良かったけど、2番Aメロから更にその上を行くクオリティに震えました。


2番からの歌詞もかなり良かったので、歌詞カードから引用して書いておこう。

正直、全曲デジタル配信する前にゲーム自体がサ終しちゃったらフル版の歌詞なんてネット上のどこにも残らないだろうし、それは流石に勿体ない出来なので。

Voron (※2番から)


遙か彼方 打ち捨てられた時計の針 かすかに響く

そこに誰がいるのかすら見えない

誰かを悼む鐘の音をあざわらったワタリガラス
錆びれた都市の廃墟には声もなく


幻視硝子の歌声は猟犬の牙に露と消え

虚しい心をただ駆ける雷鳴だけが
雪 影 花 月 歌 涙
届かない輝きをすべて 刹那 闇に映し出す


未来はかすれて 過去はまほろば

もう指先からこぼれて

嘆きも 祈りも 恨みも 呪いさえ
溶けぬまま降り積もる

嘘と裏切りと噂と疑いが
支配する世界なら

踊れ 笑え 歌え 恐れよ 我が名を
眠らぬ夜の彼方で


凍りついた魂に形はなく

夢見ることも知らず
色も音もない世界にただひとり
立ち尽くす いつまでも


白い闇 朱に染めゆく風の中

黒い羽根が舞い散る

嘆きも 祈りも 恨みも 呪いさえ
溶けぬまま降り積もる

踊れ 何もかもはかない世界では
光は影と同じ

月は消え 星だけが枯れた花びら
さくりと握りつぶして

特に「虚しい心をただ駆ける雷鳴だけが / 届かない輝きをすべて 刹那 闇に映し出す」が本当の本当に最高。

雷鳴王と忘却王、その2つの冠を被る少女の悲しさがそこに表れてる。

嘆きも 祈りも 恨みも 呪いさえ 溶けぬまま降り積もる」のフレーズもめちゃくちゃ良い。

たとえ彼女自身が忘れていたとしても、彼女に向けられた悪意は何一つ変わることなくそこにあって、そのどうしようもない重みがやりきれない。


ちなみにタイトル:Voronはロシア語で渡り鴉という意味。

1番では「空に黒く翼広げ 月を隠すワタリガラス」に過ぎなかったものが、2番では「誰かを悼む鐘の音をあざわらったワタリガラス」になるのが邪悪で良き。

 

 

 

邪魔くさいね 手に入れたモン勝ちでしょ

同じく『ユアマジェスティ』のアルバム収録曲。

マーニャとデュエットしてるコンスタンスというキャラのボーカルが前島麻由(というアニソンシンガーの方)なので、そりゃ上手くて強い最強の曲だわと言うしかないです。

この曲のフルのためだけに通常盤じゃなくて特装盤を買ったんだけど、その価値は全然あって良かったです。