レベルファイブが贈る謎解きゲーム『レイトン教授』シリーズのサウンドトラックが2021年の9月頃から配信&サブスク解禁されていた事に今さら気付きまして。
初期3部作のサントラCD、かなり高騰していたので嬉しい!
私の場合、プレイ時にサントラCDが近所のTSUTAYAでレンタル可能だったからそこで借りたので音源は手元にあるんだけどね。
気付いたらそのCDの取扱いが無くなっていて、もうその頃には中古で6000円からというプレミア値だったので実物の入手は諦めていました。
実物のサントラは作曲者:西浦智仁のコメントが一枚の大きめな紙に全曲分載っていて、そこにゲーム内に出てくる塔は福岡県にある志免鉱業所竪坑櫓という建物をモチーフにしていた……みたいな事が書かれていたような気がする。
(引用:志免鉱業所竪坑櫓 - Wikipedia)
レベルファイブの本社が福岡県福岡市にあることを考えると、この話自体は正しいはず。
それがこうして音源だけでもサブスク解禁されたというのはすごくすごく嬉しいことです。ありがとう、レベルファイブ!
改めて聞くとレイトン教授の音楽の質はめちゃくちゃ高いし、私自身もこのゲームのことが大好きだったことを思い出しました。
というわけで、サントラに収録されているBGM全19曲+おまけ曲をゲーム内で使われている場面ごとにご紹介。スクショはアプリ版から。
以下、ネタバレ注意!
②不思議な町
意外だけどタイトル画面で流れるのは「レイトン教授のテーマ」じゃなくて、こちらの「不思議な町」。
(レイトン教授のテーマが流れるのはもうちょっと後)
ただこれを根底にアレンジしたのが「町を歩く」や「謎」なので、やっぱり今作のベースはこの曲なんだよね。
メインのアコーディオンの音色は懐かしいセピア色の焦げ茶を思わせ、それがそのままレイトン教授のカラーになっているのがお洒落。
③旅の始まり
レイトン教授とルークが不思議な町に向かう30秒ムービー専用BGM。
フルートと木琴&鉄琴の音色が不思議な旅へ誘う、レイトン教授らしい始まりの予感に満ちていて、個人的にこのサントラの好きな曲トップ3には入る曲です。
③謎
「不思議な町」をオルゴールにアレンジして、かなりテンポを落とした謎解き中のBGM。
間違いなく今作の中で一番聞く曲になるので、この静かに思索にふけるBGMは聞き疲れしなくて有り難い。マジで延々と聞くからね!?
メロディーが町のBGMと同じなのも、謎が見つかったその場ですっと謎解きに入っていけるよう設計されているはず。
考えてみればレイトン教授とルークってずっと立ちっぱなしで謎解きしてるんだよね。体力がすごい。
①レイトン教授のテーマ
本当にすごい曲ですね……。
今作ではチュートリアルが終わった後、もう1回タイトル画面に戻る時に流れる、シリーズ全体のテーマソング。
冒頭のコンマ0秒から飛び出るピアノの和音が一瞬でレイトン教授の世界観を体現し、そこに加わる弦の音、アコーディオンの美しさと言ったらもう言葉に出来ないレベル。
中盤はタンゴのリズムで明るい色を差しているのもお洒落で、他のBGMにはないドラマティックさでこの曲を特別なものに仕立て上げてる。
ゲームが発売されたのは2007年だから、もう16年前になるのか。
実際に私がプレイしたのはもう数年後だけど、まだ全然幼かった私の手の中のDSからこの曲が流れ出した時の衝撃が分かる?同年代の女子なら分かるよね!?
そりゃさ、こんな神BGMのゲームやっちゃったら今後この先ずっとゲームオタクになるのは確定でしょうよ。
終盤の塔脱出場面でも流れるんだけど
ここめっっっちゃ格好良い。
このサントラには「レイトン教授のテーマ(生演奏バージョン)」というおまけのオーケストラ.verも収録されていて、そっちの豪華さもすごいことになってる。
マジで超格好良い!!
どういう感性があればこんなに格好良い音楽を生み出せるんですか?ってぐらいにすごい格好良い。
原曲にピッコロやらパーカッションやら色々足されてて、もし私がオーケストラの責任者だったら絶対にこの曲を演奏会の曲目にするってくらい華やか。
ゲーム内BGMと違ってループする必要がないので、スパッと終わる切れ味の良さもまた魅力的。
④㉔町を歩く
前半の町BGM。
「不思議な町」の旋律を木琴(たぶんマリンバ)主体にアレンジした曲で、その柔らかなで少し不思議な単音が、あの町の石畳の上を歩くレイトン教授の足音のよう。
こちらはサントラおまけとして(ハイクオリティーバージョン)というまた別のバージョンがあるんだけど、多少音のキレが軽快になったくらいで、正直違いは全然分からない。
なのでどちらを聞いてもいいと思います。
というかApple Musicはちゃんと(生演奏バージョン)と(ハイクオリティーバージョン)まで表記してください。
⑥㉕ラインフォード邸
ラインフォード邸のBGM。
オルゴールのソロから始まる物寂しい雰囲気が、住人全員が機械人形であり、既に生命が絶えて終わった家の空気をよく表している。
最初だけ聞くと本当に一人ぼっちの子守唄みたいなんだけど、後から入ってくる2つのアコーディオンの音が少しは富豪の邸宅らしい威厳を連れてくるのがいいね。
⑦何かが起こる!
チェルミー警部の登場シーン&彼のいる場面で流れるので、まあチェルミー警部BGMと言ってもいいはず。
殺人事件が起こった後の刑事到着ということで、マリンバが刻むリズムは多少緊迫感があるけど、アコーディオンの音は変わらず優美なのでラインフォード邸の雰囲気が壊れていないのが流石。
というか私のイメージではチェルミー警部といつもセットになっているバートンって『悪魔の箱』からの登場だったんだ。
まあここでのチェルミー警部はチェルミー警部本人じゃないので当たり前なんだけど。
私はバートンがサブキャラの中では一番好きなので、ここで会えないのがちょっと寂しかったり。
⑬㉑夜のとばり
ラモンを探している時の夜の町BGM。
個人的には夜の町BGMの方がごく穏やかで安らかなメロディーなのが意外でした。
昼の町BGMにはあった不穏な不思議さがなくて、静かに眠る住人達を町の灯りが温かく見守っている感じ。
普通なら夜のBGMの方がちょっと不気味になるはずなのに、今作は逆なんだな。
⑧ガントの酒場
ガントの酒場専用BGM。
多少細部を変えながら、でもほぼ同じメロディーで繰り返されるフレーズが大人の憩い場という雰囲気を醸し出してて良い。
ストーリーで一回訪れるだけの場所だし、専用のBGMがあるのはリッチ。
私としてはクルトンの食堂のBGMも欲しかったですけどね!?
ストーリー進行にほぼ関係ない場所だし専用BGMがないのも当たり前なんだけど、食堂にいつも入り浸っているフリックとこの内装の雰囲気が好き。
2人が出す謎も難易度が徐々に高くなる同一問題で一貫性があり、足繁く通った覚えがあります。
⑫深夜の追跡
ブルーノを追いかけるイベントムービー専用BGM。
どことなく童謡の「黒ネコのタンゴ」を思わせるリズムで、跳ねるように逃げていてくブルーノの真剣だけどどこかコミカルな動きをユーモラスに描いている。
クラリネットの黒くて深い音色も”深夜の追跡”らしくて素敵。
ただこれを確認しようとした時に気付いたんだけど、シークレットファイルで見返せるムービーにBGMって入ってないね!?
観覧車やドン・ポールの襲撃シーンでも入ってなかったので確実に別。
BGMはムービーに収録せず、同時再生とかにしてるのかな?容量の問題っぼいけど。
⑰町の記憶
アロマの母:マリアの墓を訪れたシーンや、アロマとマリア関連の話の時に流れるBGM。
こちらはただ純粋に物悲しく、既に終わった生がきらりと綿埃の中で瞬くような印象を受けます。
⑮動き出した町
城の真下まで行けるようになると変わる、町の後半BGM。
前半BGMより深みを増した低音は、塔内BGMである「そびえ立つ塔」にそのまま繋がり、この町の真相はあの塔と地続きにあることを示している。
また前半BGMのベースがマリンバであったのに対し、こちらはピアノになってるんだよね。
マリンバより固く響くピアノは先を急ぐレイトン教授達の足音のようで、物語も終盤に近いんだなと思わせてくれたり。
⑨謎の少女
アロマの登場シーンで使われるBGM。
どことなく雰囲気が「町の記憶」、つまりお母さんの音に似ているのにじんわりうるっとくる。それでもやっぱり寂しい曲だよね……。
⑩薄暗い地下
地下水道のBGM。
ここにヒゲマフラーとポーロがいるの、シリーズファンとしては「おっ!」と思いました。
ポーロは『最後の時間旅行』、ヒゲマフラーに至っては『カトリーエイルと大富豪の陰謀』にまでいたので、その2人の第一作目の居場所がここ、不思議な町が唯一外界と繋がる下水道なのは何かの伏線みたい。
妙に胡散臭くて湿ったオーラを放つこのBGMも彼ら2人のキャラクター性とぴったり。
⑪観覧車のある公園
ズンチャッチャと3拍子で刻むワルツが、日曜日の午後に遊園地のスピーカーから流れ出してくる音楽そのもので素敵。
今は常時封鎖されていて廃墟に等しい公園だからこそ、この無邪気な陽気さが寂しく響くね。
といってもこの遊園地自体がアロマ一人のために作られたんだから、ずっと寂しい場所だったのは変わりないのかも。
彼女がこの町を去った後も、何一つ変わらないままずっと同じリズムを奏で続けるのかも。
⑭ドン・ポールのテーマ
初期3部作通しての悪役:ドン・ポールのテーマ。
観覧車が追いかけてくるシーンや彼が悪事を働く時に流れるこの悪役ヒロイックな曲の勢いは好きなんだけど、マジでずっと誰?
第1作目の終盤で急にプレイヤーの知らないキャラが宿敵として登場して大暴れされても反応に困るし、塔を攻撃する時のムービーを見るにモチーフは考えたってバイキンマンなんだけど、だから何?としか言いようがない。
3作目の『最後の時間旅行』までやれば彼がどうしてそんなにレイトン教授を目の敵にしてるのも分かるんだけど、普通それってこの時点で何らかの説明をすべきでは……。
まあでもBGMの良さで全部帳消し!
サントラの中でも一番テンポが早く目まぐるしく変わる音階が彼のもたらす混乱を表し、ばんばん鳴るシンバルもこれまた破壊の象徴っぽい。
何より急転直下するイントロのキタ―― !!感が好き。
⑯そびえ立つ塔
不思議な塔内のBGM。
長引くアコーディオンの不協和音が塔の物々しい雰囲気と圧迫感をプレイヤー側に伝えていて、ずっと聞いてると私は普通に怖い。
塔の外部だけでなく、中も一応、旧志免鉱業所竪坑櫓をベースにしてるのかな?
「竪坑櫓」は、ケージと呼ばれる籠を昇降させるために造られた巨大なビルディングです。
この櫓の真下にまっすぐ掘られた深さ430mの「竪坑」という穴を使い、地下から石炭を上げたり、鉱員を地下の石炭層まで移動させていました。
まるで金づちを立てたような形の櫓に、巻き上げる機械が組み込まれた、エレベーターのような仕組みとなっています。
さまざまな形の竪坑櫓の中で最も発達した形式で、地上8階、地下1階のうち、地上1階から5階までを柱のみで構成し、6階以上には壁をつけています。
8階部分には吹き抜けの大空間があり、ケージの巻き上げに使われた1000馬力のモーターが、休みなく稼動していました。
ゲーム画面もどことなくそれっぽいところがあるような。
⑱少女の旅立ち
事件の決着が着き、アロマが町を去るムービーのBGM。
最初から最後まで寂しくも温かいお別れの空気があって、同時にここでこの町の物語は終わるんだという切なさも感じさせてくれる。
何より見送ってくれる町の住人達の姿に泣きそう。
キャラデザ:長野拓造の仕事が凄すぎる!
もちろんルークやアロマといった美形メインキャラのデザインもすごいけど、こういうモブキャラデザインの幅広さにも、最後の最後で改めて感嘆してしまう。
それぞれ個性的で、かつ性格が一発で伝わってくるんだよね。
ゲーム内ではモブキャラに声は付いてないんだけど、皆ちゃんと脳内で喋ってくれるというか、声が浮かぶ姿かたちをしているのが素晴らしすぎます。
なんかもう本当に超可愛くて全員好き。
⑲㉓エンディングテーマ
(↑最高の音楽家)
「少女の旅立ち」ムービーからそのままシームレスに繋がるエンディング曲。
このエンドロールの上画面に表示される一枚絵も、今作の振り返りとエピローグを一緒にやってくれて、ED曲と共に「あぁ、いいゲームを遊んだな」という余韻に浸らせてくれる。
個人的にはアロマとルークがチェルミー警部のマスクでふざけて、そこにレイトン教授がお茶を持ってくる絵が大好き。
アロマが今後この2人と上手くやっていけることが描かれていてうるっときました。レイトン教授もいい保護者の顔している。
そうそう、アロマの声優がCV.能登麻美子だった事も意外でした。
私にとっては妖艶なお姉さんもしくは神秘的な美少女声というイメージがあったので、こんな可愛らしいキャラも演じるんだなと嬉しい驚き。