復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

兄弟2人、ちょっとエグめの大冒険!switch『ブラザーズ 2人の息子の物語』感想

switchにて『ブラザーズ  2人の息子の物語』というゲームをプレイ&クリアしました。

兄と弟を同時操作して「生命の樹」なる地を探し求めていく3Dアドベンチャーゲームで、クリアまでのプレイ時間は約4時間。

いや~~~、めちゃめちゃに楽しい&兄弟愛好きにはたまらないゲームでした!

冒険の始まりからその終着点に至るまで、ずっと夢中でプレイしてました。

 

終始テーマパークのアトラクションに乗っているかのような冒険の連続がすごく楽しかったんだよね。



誰もが自力で快適に進められるよう、丁寧にステージ設計されているのがよく分かる。
スウェーデンのフィルムディレクターが開発に携わったということで、随所のカメラワークにもこだわりが感じられて良かったです。

 

フィールドのデザインもバリエーション豊富で素晴らしかった!
天空に鎮座し、杯を掲げる巨大石像や

巨人の血が溶け込む川、

数多の雪像が侵攻する無人の城など、
画像

そこに多くの物語を抱え込みながらも、何も語らない風景の数々にくらくらしっぱなしでした。
こういうどデカ遺跡の中を探索出来るゲーム、本当に好きです。

 

スクショや無音のgif動画では、ここに付随する環境音やBGMの良さを伝えられないのももどかしい!

轟音でうねる川音や、滑空する風。
鉄を鋳造する金属音や、雪原を踏みしめる鳴き雪。
どんな音も、プレイヤーの行動に合わせてとても気持ちよく響いてくれてたんですよ。


ただCERO:Dのゲームでもあるのでエグいのが苦手な人は要注意。
どばどばの血に全身浸った上で、異教の祭祀に乱入したり

首吊り男を救出するイベントでもたもたしてるとそのまま息絶えちゃったり。

割と露骨な描写が多々あるし、この兄弟2人のボスの倒し方も中々えげつない。

特に蜘蛛女戦はプレイしていてきつかった…!

2人がかりで、蜘蛛女の脚を一本一本もぎ取っていくんだけど、蜘蛛女のほうが徐々に脚を失って、よろよろと逃げ回るようになるんだよね。
それをこちらから追いかけていって更に抜くの、なかなか精神的にくるものがある。

敵モンスターである以上は仕方ないと言えど、でもその追い打ちをプレイヤーにやらせるのはちょっときついっすよ。

 

それはさておき、今作で私が一番好きなのは、ラストのストーリー展開です。

という訳で以下、ネタバレ注意の感想文。
なかなか衝撃的なラストだし、兄弟関係大好きオタクにはたまらないイベントもあるので、これを読んでくれてる人には、是非是非ネタバレを知る前にDL購入して欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

旅の目的地である「生命の樹」の根本に辿り着くも、直前の蜘蛛女との戦闘で傷を負った兄(ナヤ)はそのまま死亡。

そこからの彼の埋葬シーンが、私はすごく好きです。

たった一人で、こんな……こんな……。

兄を埋めるための穴を掘っている間中、弟ことナイーは一体どんな気持ちでいたのかを想像するだけで、たまらない気持ちになります。

素手で地面に爪を立てた瞬間。
その爪に入り込む土の感触。
立ち上がる有機物の匂い。

兄の亡骸を背に、泥のように進んでいった埋葬の準備を思うと、涙が出そう。


この時の彼の足取りがひたすらに鈍いのも、演出として非常に上手く出来てるなと思います。
さっきまでと同じ様に入力しているのに、さっきまでとは全然違う重み。
その一歩の深さが、そのままダイレクトに彼の疲労と悲嘆をプレイヤーに伝えてくる。

 

埋葬を終えて生命の樹から去る時に迎えに来てくれたのが、2人が協力して助けてあげたグリフィンだったという点にもぐっときました。

2人が救出してあげた時点で既に息絶えていたので、この鳥もまた死の側に立っているのかもしれません。

それでもナイーがその背にしがみついた時、広げてくれた翼に泣ける。

顔を埋めた羽の柔らかさと、その奥から伝わる命の温もりが、今の彼にとってどれほど有り難かったのかを思うと……。

 

 

兄の加護と弟の成長

グリフィンの背に乗り、一人、自分の家がある島まで戻ってきたナイー。
で、父が待つ家までにはどうしても泳がないといけない箇所があるんですよね。

ナイーはずっと泳ぎが苦手で、いつも兄の背にしがみついてばかりだったんだけど…

泳いだ!泳げてるよ、ねえ、お兄ちゃん……!!
ここのシーンは泣けるね。めちゃめちゃ泣いた。

弟の右ZL操作だけでは渡れなかった海を、兄の左ZL操作を同時に押すことで、一人でも進めるようになったんですよ。
兄の助けがあってようやく手が届いていた崖の上にも、自分一人の跳躍で何とか届くようになって。

2人でしか出来なかったことが、1人でも出来る。
それは兄の加護でもあり、弟の中で培われ始めた勇気でもあるんですよね。

 

 

父の慟哭と兄の墓標

物語のラストは、兄弟の父親が自分の妻と息子の墓の前で泣き崩れて終わります。

そりゃあさあ、お父さんからしてみれば、こんな耐え難いことってないでしょ!
自分を生かすために、愛する息子が、自分の知らない遠い遠い場所で命を落とすなんて。


ネタバレ感想前に、首吊り自殺を決行する男のイベントがあるって書いたけど、その理由は男が妻子を亡くしたからなんですよね。
心境的には、ナヤとナイーのお父さんと全く一緒。

さすがにナイーが帰ってきた以上、そんな直接的な自殺はしないだろうけど、父親としてのこの先の人生を、重く塗り潰すのには十分のはず。
本当に、本当に辛い結末だなと思います。

 

それに加えてこの父には、ナヤの身体が本当に眠る場所は一体どんなところなのか、きっと永遠に分からないままなんですよね。
もちろんナイーだって説明はするだろうけど、言葉だけで伝わるはずもない。

もう弟本人にだって、二度と彼の地を訪ね当てることは出来ないはずです。
2人でだからこそ辿り着けたあの場所に、もう一度一人で行くことは不可能だから。

兄の眠るあの美しい樹の下を、彼だけは生涯覚えているのだと思います。
彼だけしか知らないから、彼だけは絶対に忘れる事なく、ずっとずっと永遠に覚えていく。

そこに表れる兄弟愛の深さが、本当に私は、たまらなく大好きだなと思います。