再来月に、日本で開催される木下大サーカスの公演を観に行くことになりまして。
周りで行ったことのある人達に話を聞くと「絶対に面白いから行ったほうがいいよ!」と100%の確率で言われるので、それはそれは楽しいんだと今から夢見ています。
で、個人的にはサーカスっていうタイトルがついた曲って結構好きなの多いんですよね。
シド『サーカス』とか岸田教団&THE明星ロケッツ『circus』とか、Fiction Junction.YUUKAのアルバム名『circus』とか。
という訳で、今回は好きな(サーカスというタイトルがついてるけど、別にそこまでサーカスとは関係ない)ラブソングについてご紹介。
ピンとピンで交った願ってもない 舞台 二倍速 鼓動
学生時代のピュアな恋愛って最高ですね……。
中学生か高校生ぐらいの間でやり取りされる初々しい恋を、当事者だった時分の私はすごく恥ずかしがっていた気がするけど、愚かだったなあと思うよ。
真正面から人に好きだと伝えられる度胸は、得難くて尊敬するべきものだったのにね。
「一本の長い廊下 挟んだら 年上という名の壁 邪魔をする
窓際 選んだのは 空じゃなく 君焦がれて」
「何も手につかなくて いつも 遠くから見てました
迷惑じゃなきゃ この気持ち 答えください」
とかさ~~~、強い子だなと思います。
私より随分年下だろうに、ここぞという時の勇気の出し方をもう知ってる。
「ふと想ってるとか そんな次元じゃなくて 日々が君色」とかも、学生ならではという若々しさにあふれていて好きだ。
否応なく労働に巻き込まれる前の、自分の意志で何色にでも染められる空白の日々で、”君”を選んだ。
その選択が今はひどくいじらしく尊いもののように映ります。
私のアニメOP好きオタク人生とって、シドは青春そのもののバンドだったので!
久しぶりに聞くとたまらなく懐かしくて泣きそうになる。
黒執事の『モノクロのキス』、BLEACH の『乱舞のメロディ』、鋼の錬金術師の『嘘』と『レイン』等、アニメタイアップ楽曲はもれなく全部好きだったし、アルバムも『hikari』だけはよく聴いてて。
収録されていた『楽園』『妄想日記2』『泣き出した女と虚無感』『罪木崩し』『2℃目の彼女』とかも大好きでした。
でもアルバム内に出てくる女の子(男子かもしれないけど)の中で、一番精神的に強いのは今曲の子だと思うな。
空中で上手に手を離し 誰かに渡っていく指先を見て
こちらは前曲とは打って変わって、少し歪んだ、それでいて真理の片鱗をなぞるラブソング。
「訳もなく悲しいこと 全部僕のせいにしていいよ」「答えなんて望まないから いつも君の好きにしていいよ」と”君”を全肯定し、自分を蔑ろにしておいての「君が見つけることはないだろう 僕以上のヤツを 探しても、もう二度と会えないと思うよ」の逆恨みですよ!
この心理プロセス、私自身にもかなり心当たりがあるから”僕”の気持ちがひどくよく分かる。
分かる、分かるよ、こういう事やっちゃうよな……。
それに”僕”だって痛いぐらい分かってるはずだろうに。
”君”は僕のことを別にそれほど、何とも思ってないってことぐらい。
歌われているのは全て僕の願望であり、君からされた事なんてひとつも書いてない。
全ては彼の悲しき一人相撲で、その哀れさが胸を打つ。
ボーカル:ichigoのサンダーボルトを思わせるような声で歌われているからこそ、よりその虚勢さが際立っていたりもするようだし。
で、これはCDを手にした人のみ分かる仕掛けなんだけど、ラストの「鳴り止まない歓声の中 僕はいなくなって 君だけ揺れて」というフレーズは、歌詞カードに載ってないんです。
ネットで見える歌詞サイトにもあらかた記載されてないはず。
だからあれは、カーテンコールなんですよね。
歌詞カードという演目の台本上にはない、閉幕の延長線上。
あんなにも「誰かを愛しても 手を離さないでいて」と言っていたのに、結局僕は去って君は残って。
サーカスの語源は、「輪」を意味するラテン語キルクスのcircus。
離されて揺れる手の空白が、サーカスの終わりを、君と僕の間で完結していたはずの輪の崩壊を告げている。
FictionJunction YUUKA の2ndアルバム 『circus』。
アルバム名そのままの『circus』という書き下ろし曲も収録されているんだけど、それよりも私は断然『荒野流転 ~Full Size Mix~』『blessing』『ピアノ』の3曲を聴いてほしい!(もう全くサーカス関係ない)
僕等はきっと 暗闇の腕から 生まれてきた
かなわぬ恋をするように 光へと彷徨ってく
「生き抜くことに戸惑い 死に行くことに怯えて 僕等の呼吸には哀しみが宿る」が好きすぎる……。
梶浦由記が作編曲した曲で一番好きなのは決められないけど、作詞した中で言うならこのフレーズが一番好きかもしれない、それぐらいに好き。
タイアップ先のアニメ『幕末機関説 いろはにほへと』の主人公が幕末の剣士だから、武士道の死生観とリンクさせている言葉なんだろうけど、でもこんなもの皆全員そうじゃないですか?
”生き抜くことに戸惑い、死に行くことにおびえて、僕等の呼吸には哀しみが宿る”
ああ、もうタイピングしているだけで幸せだな……。
全体的を通してみても、See-Saw時代からKalafina時代まで、変わることのない梶浦由記の世界観、キーワードが存分に表れている曲だなと思います。
「真昼より眩しい日没」とか「胸に響く悠久の音楽」とか「かなわぬ恋をするように 光へと彷徨っていく」とか「あれは月の夢か 白く光る花 けぶる丘の彼方 煌めき招く」あたり。
歌詞もいいしメロディーもいいし編曲もいいし、個人的超神曲。
初めて恋してるみたいに 綺麗な不安が溢れてく 君の目の方へ
微かなトライアングルの音が、銀の煌めきを添える可愛らしい3拍子のワルツ。
なのにどことなく哀しみが匂いたつのは「フレスコの空」や「灰色の野原」といった無彩色な光景の中に一人響くメロディーだからで、また、幼女のような無垢さには戻りきれないボーカルの歌唱力の高さにも切なさを覚えるから。
今曲が歌い上げるのは少女の祈りで、結局の所祈りでしかない。
「フレスコの空から 愛の翼 はためかせて欲しい」
「願いは一つ 離れないでいたいの とこしえに 愛を叶えて」
と、各フレーズの語尾はほぼ「~して」「~だったらいいのに」という願望なんですよね。
その願いは可愛らしくもあり、同時に少女の哀しいまでの無力さをも表している。
「綺麗な不安が溢れ出す」というのは、本当に言い得て妙だなと思いました。
無力であるゆえの不安が、無知ゆえにこんなにも綺麗で。
だからこそ「雲を抜けてくる 迷いのない光」が痛いほど輝いて見えて、その輝きに届きたくて、私は泣いているのだと思います。
いちばん好きな曲だけ 弾けずにいた ずっと
貴方が教えてくれた 音符が もう 見えなくて
超好きです……。
もう好きとしか言えないな。
ピアノ一台のシンプルなメロディーに、どうしてこうも感情が揺さぶられるのか不思議だ。
一人の少女が一人の青年にピアノを習っている光景が見えるんですよ。
一台の黒いグランドピアノ、栗色の髪をした少女の細い指先、青年の着ている白いシャツ。
そこにある淡い恋心も、信じられないぐらい鮮明に。
「波音に誘われて 爪弾く青いピアノは
逝く春の思い出を このまま戯れに なつかしむ」
「愛を恋しがってこの胸はなくのです
肩に優しい手を まだ待っていたくて ひとり」
「この指が紡ぐのは 悲しい歌ばかり」
と、第三者が口を挟む余地なんてないほど完成されきった、彼女の、彼女の中にだけある恋が歌われてる。
間奏から流れ込んでくるストリングスだって、梶浦由記が好きなら全員超好きでしょ、あんなん!
ピアノの小波を巻き込む大海のうねりのような、空を染めてく夕陽のような、立ち上る黒煙のような、あのチェロ。
不穏を予感させる深さがあるのに、それでも雄大で美しい。
これも個人的超神曲。大好き。
そう言えば、藤田和日郎先生の漫画『からくりサーカス』も全43巻、全部電子書籍で持っているんですよね。
上記の楽曲達とは違って、こっちはきちんとサーカス、特にサーカス団員としての生活がクローズアップされてる。
いつも読破しようとして3巻まで読んで、その展開の濃密さに大満足して終わってしまう。
一応17巻まで読んではいるんだけど、1巻~3巻分の濃厚さがすごくて。
私が知っている作品の中では、この『からくりサーカス』が一番サーカス団員の生活について詳しく、なおかつエンタメ的に描かれていると思う。
主役である鳴海、勝、しろがねの3人は別格扱いとして、女キャラでは猛獣使いのリーゼロッテちゃん、男キャラでは人形使いの阿紫花さんが一番好きです。
いつでもスマホで読める状態にあるんだし、再来月までには読破しておきたいところ。
絶対に読破してから行ったほうが、木下大サーカスも楽しめるだろうし……。