復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

友情を星座にする時間操作系ADV『The Gardens Between』(switch&ios比較)感想

The Gardens Between』というパズルADVをプレイしました。

The Gardens Between

The Gardens Between

  • THE VOXEL AGENTS PTY. LTD.
  • ゲーム
  • ¥610

ストーリーは、以下引用。

『The Gardens Between』はノスタルジックな雰囲気と繊細なアートが詰め込まれたパズルアドベンチャーゲーム

美しい庭園の島が連なる不思議な世界。
それぞれの島に隠された秘密を見つけるため、親友のArinaとFrendtと共に時間を操りながら数々の謎を解いていきましょう。

色鮮やかで夢のような島には、ふたりが幼い頃に毎日触れていたモノであふれています。
ふたりの友情の大切さを知る、穏やかで心から感情が溢れ出てくるような旅路。
ふたりには捨て去らなくてはならない思い出と、絶対に手放すことのできない思い出があるのです。

ふたりが過ごしたかけがえのない瞬間を探検し、謎をひも解きながら島の頂上へと一緒に進みましょう。
ほろ苦い物語を紡ぐ糸と、その糸が作りだす星座を照らすために…。

引用:(The Gardens Between ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

という訳で、片方の引っ越しにより、大親友のArina(少女)と少年(Frendt)は離れ離れになることに。
その引っ越しの前夜、2人で作ったツリーハウスで落ち込んでいると、突如稲妻が落ちてきて、彼らはいつの間にか不思議な島に漂着。
島は彼ら2人が共に過ごした記憶から出来ていて、簡単なパズルを解きながら島の頂上を目指すと、2人の思い出が星座となり空に浮かぶ。
そんな島々を巡るうちに、空は次第に暗く、重くなっていき……という感じ。

steam版→switch等のコンシューマー版→iosAndroidの順に展開していて、まずios版を610円で購入。
プレイ時間4時間程でクリアして「めちゃくちゃいいゲームだった……!感想書こう!」と下書きまで進めていたら、switch版がセールで483円になっていると知り、そちらも購入。

せっかくなので、タイトル画面とプレイ画面の比較画像でも。
画像画像

f:id:yugurekou:20210829211653p:plainf:id:yugurekou:20210829211732p:plain

画像
f:id:yugurekou:20210829211902p:plain
こうして見ると、結構違うことが分かりますね。
横長表示だとは島の全体像が分かりやすいのに対し、縦長表示だとは表示画面が狭い分、島のオブジェがダイナミックに見える。

オプションにも多少の違いがある。
アプリ版には実績解除があり、switch版は実績要素が無い代わりに、ビッグヘア・モードと、スピードラン・モードがあります。

f:id:yugurekou:20210829212957p:plain

f:id:yugurekou:20210829212515p:plain

実績解除は、実績の説明文自体がサブキャラのエピソードとなっているので、本編への理解が深まるし、スピードラン・モードは2人の歩く速度がかなり早くなるので、操作が快適になる。
ちなみにビッグ・ヘアモードは、2人の髪が増量するというかなりしょうもないオプションなので気にしなくていいです。

画像

どっちの要素を取るかは悩ましいところ。
switch版の定価2199円と、アプリ版の定価610円を比べるとアプリ版の方が手に取りやすいのかな?
ただ、私の iPhone SE(第二世代)ではかなり発熱し、バッテリーもがんがん削られたので、充電器に常時接続しながらのプレイでした。
体感的に1分で3%くらいは消費していた気がする。

ただやっぱり、実績解除で読めるサブエピソードが魅力的なんだよなあ。
でもswitch版の画面の方が画角が広くて、あの島への愛おしさがより増す気もするし。
個人的におすすめなのは、どちらかと言えばアプリ版……かなあ?
というか、どちらも買えばいいと思います。
内容は一緒だし、個人的には大傑作のゲームだったからです。

という訳で以下ネタバレ感想。

 

 




まずパズルの舞台である、2人の思い出から構成された島のビジュアルだけで、100点
序盤、2人がお互いの庭の間に建てたツリーハウスは

f:id:yugurekou:20210830082808p:plain
2人が設計図を書いて、のこぎりで板を切って、一から2人で作り上げた事がオブジェから分かる。
画像
博物館で展示されている、お触り禁止の化石にこっそり触った事があるからf:id:yugurekou:20210901081917p:plain
その骨を崩壊させたり、また再生したりと操る仕掛けがある。
画像
2人でゲームをしながら、駄弁った夜があるから、
f:id:yugurekou:20210901082213p:plain
島の中でもそのテレビゲームがプレイ出来る訳で。画像

とにかくこの2人の大親友っぷりがたまらない。
会話もテキストログもないのに、2人の仕草だけで、2人がちゃんと友達であることが伝わってきて、めちゃくちゃニヤニヤする。
快活で元気いっぱいな少女と、その後をついていく、気弱そうに見えるけどきちんと頭の良い少年。
言葉を使わずとも、こんなにも2人の性格や、ズルを解こうと一生懸命に考えている様子が理解できる。
いやはや、ボディランゲージってすごいものですね。

このゲームの結末、友情を星座にするという意味を思います。
何度も繰り返すけど、2人にとってお互いは、掛け替えのない親友なんです。
お互いのことを性別関係なしに分かり合い、毎日の楽しみを分かち合い、いつでもどこまでも一緒に遊べる大親友。
例え、そんな日々の思い出で構成された島が別れによって崩れ落ち、忘却の海底に沈んでいくとしても、星座にした2人の友情ならずっと空で輝き続けられるんですね。

f:id:yugurekou:20210901085415p:plain

f:id:yugurekou:20210901085044p:plain

私は今作の、思い出の保存形式を星座にするという発想がすごく好きだなと思います。
単に2人の友情は素晴らしかったと表すだけなら、最後に島を崩壊させなくてもよかったはずで。
だけど、2人がまだ幼い子供である以上、別れは必ず来る。
新しく始まった生活に気を取られ、お互いの存在が薄れていくことは当たり前にある。
けれど、彼らの手の届かない空に星座という形で保存された友情は、ずっと2人の頭上で輝き続けるんです。
昼は太陽の明るさで見えなくても、でもいつも2人に降り注いでいる。
崩れることなく、記憶の海に沈むことなく。

その形を、光を、彼ら2人は今後の人生の糧にしていけるんでしょう。
それこそが友情というものの本質だと、私は思います。