アトラスが贈る傑作DRGP『世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER』を3作まとめてプレイしました。
クリアまでのプレイ時間は難易度:ピクニック、フルマッピング利用時に3作品とも10時間程度。
ED数は3だけマルチエンディングの2つあるけど、1と2はどちらも一本道のDRPG。
まず起動して驚いたのは画面の綺麗さ!
き、綺麗~~~~!
考えてみればDSの画素数なんて256x192で、それがHDリマスターで少なくともswitchの画素数:1920×1080になるんだからそりゃ綺麗になって当たり前なんだけど、でも想像以上に細部がはっきりしていて驚きました。
特に3のアーモロードの一枚絵の美しさが尋常じゃない!
1~3までの背景を手掛けたのはアトラスの美術スタッフ:横路ゆかりという方で(ジブリの背景で超有名な山本二三は4から参加)この人の描く世界樹の背景は本当に綺麗なんですよ。
私はDS時代の世界樹Ⅰ&Ⅱ&Ⅲと3DS時代のⅣ&Ⅴ、新世界樹の迷宮1&2、ペルソナとのコラボ作であるペルソナQに至るまで、計8作品をプレイ済なのでそこそこのファンと言っていいはず。
それでも私の中でやっぱりDS時代の3作が特別なのは彼女が手掛けてくれた階層の一枚絵が素晴らしいから。
そこに古代祐三の音楽と日向悠二のキャラデザ、超楽しいマッピング機能が乗っかってくるんだから、そりゃ一発でファンになるのは当たり前だよ。
日向悠二のキャラデザも超綺麗!
1~3を続けてプレイすると、UIの色の微妙な変化が見て取れて面白かったです。
確かに2は緑色が濃かった記憶があるけど、1のUIが一番青いのは驚き。
日向悠二の絵もいつ見ても最高の一言ですね。
マッピング機能は慣れれば書ける程度
シリーズ最大の特徴であるマッピング機能について、個人的には慣れれば書けるレベルだなと思いました。
ただDS時代の快適性に比べればかなり落ちるのは確か。
現に私は早々に諦めてフルマッピング(床と壁を同時に塗ってくれる)を使いました。
でも元々世界樹のファンでここまで付いてきた冒険者は、全員その事を分かってたよね?
DSと共に生まれ、3DSと共に死す運命だったシリーズが、switchとsteamでこうして綺麗になった姿をまた見せてくれたのはすごく嬉しいこと。
ありがとうアトラス、ありがとう世界樹!
古代祐三の音楽と階層感想
世界樹のファンになってから他のDRGPにも手を出したんだけど、やっぱり世界樹ほど綺麗で美しくて最高のダンジョンには出会えなかったです。
それだけⅠの1層に入った瞬間の美しさは衝撃的だったんですよ。
プレイ中もずっと「早く次の階層に行きたい!」というモチベが保てたのは、どう考えても階層の一枚絵と古代祐三のBGMのおかげだし、その2つの要素が私にシリーズ8作品をやらせました。
という訳で以下はシリーズの中でも一番好きなⅡの通常プレイ時BGM感想。
視聴リンクは迷ったんだけど、無印サントラ開発音源版(PC-8801 FM音源サンプリング)の方を貼っておきます。
「オリジナル版の音源を全曲PC88音源でリマスター収録」されたリマスター版のサントラも出てほしいところ。
いや、ただでさえ世界樹のサントラは何枚あるんだって感じなんだけど、それだけファンの需要があるってことなので。
以下は1~6層までの感想を書いているので、ネタバレ注意です。
タイトル画面&引き継ぎ画面選択時のBGM。
しばし観ているとちゃんとガンナーの子が街の入口までたどり着き、ハイ・ラガードの街を見上げるカットになるのは凝ってるよね。
葉上の雫が落ちゆくようなきらめきはⅠからの流れを引き継いだんだろうし、世界樹という植物の中を探索するDRPGに合ってる。
冒険者ギルドBGM。
初回起動時はキャラクリのために延々と聞くことになる曲。マジでめちゃくちゃ聞くことになるからね!?
ネーミングやパーティー構成に悩みまくるのもまた世界樹の醍醐味といえど……。
冒険者ギルドの雰囲気はⅠ~Ⅲまで共通で、マーチのリズムが冒険の準備!という高揚感を引き立てていて好きです。
ハイ・ラガード大公宮BGM。
この大臣と公女様は最後まで隠し事しないし裏切らないしで「美しく気高い地」という名に相応しいな。
ゆったりとしたテンポの硬質な音は堅牢に出来ている公宮、その床や壁を思わせて、静かな威厳がある。
街MAP画面&フロースの宿&公国薬泉院BGM。
ハイ・ラガード自体が北国の標高の高い場所にあるということで、逆に町の人達や音は優しくて人情味のある人達なのがお気に入り。
私がⅡを一番好きなのはこういうところなんだよね。
自然界の厳しさを耐えるための人の温もりが街全体に流れていて、それがまた迷宮から離脱した時の安心感に繋がってる。
好きなんですよ、ハイ・ラガードという街そのものが。
シトト交易所&鋼の棘魚亭BGM。
そこまでインパクトの強い曲ではないんだけど、迷宮から帰った後は必ず聞くことになるBGMなので、耳に入るとひどく懐かしい気分になりますね。
1層「古跡の樹海」BGM。
Ⅰの1層と同じように緑を感じさせる爽やかな曲調で、夏をモチーフとした階層に相応しい。
またⅡの音楽の素晴らしいところは、後半のメロディーまで良い曲が多いとこ!
階層名に「古跡」と付いているだけあって、人が滅びた後もなお残る建造物に差す、寂しくて懐かしくて無性に泣きたくなるような光の音が見えるんですよ。
またⅡは1~4層まで四季折々の迷宮を探索するんだけど、その道中には石柱や石畳といった人工物で支えられている。
遥か昔に人によって整備された道を辿って上を目指すⅡの構造が私にはツボなんですよね。
1層から3層までの通常バトルBGM。
これぞ世界樹の戦闘BGM!という高揚感に満ちていていい曲。
『初陣』という名前が付けられてるのも、初期装備で迷宮に突っ込む冒険者の初々しさと野心を一言で表していて好き。
FOEとの遭遇等、恐怖を感じるイベントでのBGM。
ゲーム内だとメッセージウインドウが表示されている間しか流れないので、ほんの数秒ぐらいしか聞く機会がなかったんだけど、フルで聞くとちゃんと怖い!
メロディーの後半で音階が上がっていき、その後にふっと真っ暗闇になる感じが正統派ホラー音楽してて、これちゃんとゲーム内で聞いておけば良かったなと後悔するくらい。
まあサントラを聞いてる今、ちゃんとこの曲に出会えたしいいか。
FOE戦闘BGM。
ⅡはFOEを倒しても経験値が入らないという信じられない仕様だったので、苦労して倒そうが何をしようが単なる徒労でしかないんだけども、遭遇してしまった瞬間に血の気が引いて心臓がばくばく跳ね回り始めるかのようなスタートは迫真。
それにしたってⅡの制作者は何を考えてFOEの経験値を0にしたんだろうね?
その分階層ボス戦の経験値が結構良かったような気もするけど……。(DS時代に2層ボスでめっちゃレベル上げした人)
フロースガルやアーテリンデといった他のギルドキャラが絡むイベント時のBGM。
こぼれ落ちていく雫のようなきらめきが『蒼と銀』というタイトルに映えていて涼し気な一曲。
1層ボス:キマイラ、2層ボス:炎の魔人、3層ボス:スキュレー、4層ボス:ハルピュイア、5層中ボス:ジャガーノート戦BGM。
めっちゃ格好いいボス戦闘曲。
背後に薄っすらコーラスが聞こえるかのような荘厳さがボス戦という感じでテンション上がるな。
2層「常緋ノ樹林」BGM。
1層から2層に上がった時の「あ、今回は四季モチーフでいくんだ!?」という驚きと、そこに広がる血のような紅葉に震えた時をまだ覚えてるよ。
今見てもこのダンジョンは美しいと思うね。
物悲しいメロディーと相まってずっとどこか空恐ろしい雰囲気なのもお気に入り。
アーテリンデ&ライシュッツイベント時&戦闘BGM。
シリーズの中でもトップクラスに大好き!
私が世界樹シリーズで好きな曲を3曲選べと言われたら、Ⅰ&Ⅱの5層と今曲になるってぐらいには好きな曲。
彼らの初登場は2層ラスボス撃破後なんだけど、常緋ノ樹林の中に一瞬で凍てついた空気を持ち込んでくる音が本当に衝撃的で、初プレイ時もプレイする手を止めて聞き入っていた記憶がある。
冷徹で壮麗、その空気感に圧倒されていました。
後半で音階が上がっていき、その後、鐘の音と共に雪のように落ちていくところとか荘厳過ぎてもうね。
「悲しき氷の守護者」というタイトルも言葉通りの意味でグッときます。
3層「六花氷樹海」BGM。
厚く積もった雪が音を吸うように、少しこもった低音がベースなのが雰囲気ある。
そしてこの層の最上階のタイトルが「凍える悲しみの果て」なのがたまらなく良くって!
「悲しき氷の守護者」からの「凍える悲しみの果て」ですよ!?
アーテリンデ達の冒険と苦悩がここでようやく終わることを示していて、その寂しさと微かな安堵が胸を打ちます。
4層「桜ノ立橋」BGM。
満開の桜に満ち満ちたこの階層、シリーズの中でもトップクラスに美しい層だと思います。
冬がきたら春がくることは分かっていたんだけど、空に浮かぶ桜の並木というここまで綺麗な光景を見れたこと自体が嬉しい驚き。
BGM自体も人気があって、メロディアスで聞きやすい和の感じがその理由かも。
4層以降の通常戦闘BGM。
通常戦闘BGMが変わると終盤になってきたなあという感覚がするね。
「初陣」と比べれば戦闘にも手慣れてきた感があって、冒険者としての成長を感じるんだけど、この階層には「危険な花びら」がいるんですよね……。
あの全体石化をもろに喰らうと普通に全滅するからね!?
4層になっても1層と同じよう雑魚戦でボロ負けするのが世界樹のまた過酷さだと思います。
5層「天ノ磐座」BGM。
この曲は原曲も神曲だけど『ピアノと弦楽器の生演奏による 世界樹の迷宮I&II スーパー・アレンジ・バージョン』というアレンジアルバムでの.verが本ッッ当に最高なんですよ。
配信&サブスク解禁してくれ~~~!
2008年発売のアレンジアルバムなんだけど、私がDSでプレイしていた頃にはもうプレミア値が付いてて入手困難なほどの名盤だったんだよね。
2013年に5pb.が再販してくれたのでその時に私も入手出来たんだけど、いやはや5pb.は音楽に関しては本当に良い仕事をしてくれる。
『メタルギアソリッド』『ベヨネッタ』等の音楽を担当している日比野則彦アレンジということで、楽曲のクオリティもめちゃくちゃハイレベル。
演奏者もピアノ、バイオリン、チェロ、ギター、パーカッションの5人と少人数にまとめられていて、これもきっとパーティーが組める最大人数を意識してくれているんだと思う。
それに呼応するように、パラディン(チェロ)カースメーカー(ピアノ)メディック(バイオリン)ガンナー(パーカッション)のミニキャラ姿が帯裏&ブックレットに描かれてるのもまた可愛い。
収録されている全曲素晴らしいんだけど、やっぱり「迷宮V 遺都シンジュク ~ 迷宮V 天ノ磐座」は格別!
Ⅰの5層とⅡの5層BGMが繋がった一曲になってて、私はいつも3分36秒、天ノ磐座の後半メロディーに入ると泣きそうになります。
人が滅びた後の音が、旋律が、あんなにも美しくて、綺麗で……。
世界樹の階層BGMで人気投票したら確実に「遺都シンジュク」が1位になると思うんだけど、それぐらい伝説的な曲とタメを張れて、私にとってはそれ以上のものを「天ノ磐座」は見せてくれて、だから私にとってはⅡが一番なんです。ずっと一番。
天空に浮かぶ機械仕掛けの黄金城、という5層の設定もまた良いんだよね。
5層ラスボスの名前から察するに、元ネタはアーサー・C・クラークのSF小説「幼年期の終り」のはず。
世界樹はクエスト名がSF小説のパロディになってることが多くて、それに感化されて私もいくつか読んでいたのが懐かしい。
5層ラスボスであるオーバーロードの第一段階&6層最上階ボス戦闘BGM。
開幕から「ラスボス戦です!」という荘厳な華やかさがあるのがらしい。
オーバーロード自体はサクッと倒せた記憶があるんだけど、後述する6層最上階ボスの方がとにかく強くて長引いて、延々とこの曲を聞いていたイメージが強いです。
オーバーロードの第2段階戦闘BGM。
スクラッチのようなキュッキュッとした音が入るのが特徴的で、これは6層の通常戦闘にも引き継がれてるんだよね。
ストーリーのラスボス戦とだけあって戦闘BGMが2曲あるのも、この形態になる時にムービーが入るのもリッチさを感じさせます。
通常クリア時エンドロール曲。
何度クリアしても「急にポップになるじゃん!」と笑えるところがあります。
街の皆も全員めちゃくちゃ好意的なのが嬉しいね。
6層「禁忌ノ森」BGM。
もう本当にⅡの6層は最高過ぎる……。
ここにきて5層までにあった石柱や石畳が見当たらない、一見純粋でのどかな自然が広がっているのがたまらなくグッときます。
でも足音は固い床の上を歩いていて、周りの樹木も青空も書き割りのようで。
空飛ぶ城の上にあるのは人造の楽園ってところがまず最高だし、そこを探索出来ることにも興奮する。
音楽もどこか子供を寝かしつける時のような静かさと寂しさがあって、この雰囲気は全部最上階のボスのために、5層ボスのオーバーロードが用意したものだと思うとまた……。
ラスボスの親心が作り上げた偽物の楽園の中を進む感触もまた、何とも言えない奇妙な哀しさと恐ろしさがあります。
6層通常戦闘曲。
こ~~~~わ。
ストーリークリア後、特に何も考えずに突っ込んできた冒険者達を雑魚戦で一掃してくる感じが世界樹6層そのもので怖いですね。
難易度ピクニックだと5層まではオート戦闘のゴリ押しで瞬殺出来るんだけど、6層もその考えでいくと秒で痛い目に合います。
階層BGMから一瞬でこのソリッドで血の匂いがする戦闘曲に移るのも毎回心臓に悪いし……。
ゴーレムやクエストで戦える隠しボスバトルBGM。
耳にする機会は少ないものの、この派手派手しい開幕のメロディーは一瞬で「強敵だッッッ!」と理解させる力があって痺れます。
最後に6層最上階ボス:始原の幼子についても書いておこう。
会いたかったよ~~~!
私がDS時代に唯一辿り着いた6層ラスボスであり、ほぼ彼に会うためだけにI・II・IIIリマスターを買ったようなものなので語りたいんだよね。
まず「始原の幼子」という名前が目に入った瞬間、今まで彷徨ってきたこの「禁忌ノ森」は子供部屋だったんだと分かる仕掛けが素晴らしい!
見た目は「旧劇エヴァの量産機?」って感じなんだけど、そういえば6層に突入するためには地面に刺さっている剣を引き抜くイベントを起こす必要があり、それもエヴァのロンギヌスの槍あたりがモチーフなのかも。
まあ、それを抜きにしても、白い巨体の成人済み男性みたいなものが膝を抱えてる姿を「幼子」と呼んでいる歪さが好きです。
リマスターで改めて戦ってみると本っっ当に強くて、ピクニックでも苦戦するくらいなのに、よく過去の私はDS版で倒せたよなあ。
スキル名も「我に従え」「我に触れるな」「我の怒り」「我の悲しみ」「我の慈悲」と、幼子と呼ばれている割に尊大な自我を持ってる事がうかがえるし、「我は軟弱を嫌う」「孤独は尊ぶ」と好き嫌いがはっきりしてるのも好印象。
特にパーティーの人数によって被ダメージが変化する「孤独は尊ぶ」が好きなんだよね。
5人フルMAXでいると数千ダメージなのに、3人以下だと一桁台で済むの、逆に優しくないですか!?(感覚の麻痺)