復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

愛は今も燃え続く / 鬼束ちひろ「ヒナギク」【感想】

ヒナギク<プレミアム・コレクターズ・エディション(完全生産限定盤)【SHM-CD+Blu-ray+PHOTOBOOK】>

 
火の鳥 (Live at Zepp Nagoya on May 1 ,2017)」目当てに、鬼束ちひろヒナギク」の プレミアム・コレクターズ・エディションを買ったので、今更だけどその感想。
 

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めっっっちゃデカイ!!!
比較用の「Tiny Screams」もちょっと大きめのCDケースなのに、それ以上にデカイ。
何より嬉しいのが、歌詞カードも同じくらいデカイこと。
これだけの用紙に印刷された鬼束ちひろの歌詞を手に取れる。それだけでLP盤を買う価値大アリ。
今回の新曲2曲は、詩集のような文学的色合いが濃かったことだし。
 
1.ヒナギク
ヒナギク

ヒナギク

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言葉はまるで乾き立つ砂漠 その一途へ火をつけて

鬼束ちひろで”燃える”というと私は「蛍」が浮かぶんだけど、今曲からは「蛍」の炎がしばらくの時を経て熾火になり、だけどそこに未だあり続ける執念のような熱を感じる。
愛は今も燃え続く」との言葉を、彼女の、「蛍」よりいくばくか低くなった歌声で聴かせてくれて嬉しい。
シングル「蛍」発売は2008年8月で、あれから10年。
愛は今も、燃え続いている。
そう言葉と、何より歌い続けてきた声だと分かる歌声で、証明してみせてくれてありがとう。
二人は明けを知らぬ日々」ってあるけれど、私が鬼束ちひろに抱いているイメージもまさにそのまんまだよ。
明けを知らぬ日々、生き続けていかなければならない日々を、愚かに、共に彷徨ってくれる人。
そしてこれからも、その苦痛の闇に火を灯し続けてくれるであろう人。
 
アレンジで言えば、2番のサビから入るパーカッションが好きだな。
雨であり、夜露であり、涙である、あの単純な一音に惹かれる。
 
 
2. Twilight Dreams
Twilight Dreams

Twilight Dreams

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あなたを結うだけの温もりに かわって 今夜は 今夜は 

鬼束ちひろ×BLドラマ主題歌!?!?!??
2000年代あたりの腐女子の約半数が夢に見たであろう世界が、この平成も終わる2018年の夏に実現してしまった。
嬉しい、すっっっごく嬉しいんだけど、なぜ今…??
 
あと、喜び勇んで原作も読んだんですけど、そこまで内容(丸木戸マキ「ポルノグラファー」)に沿ってる訳では……?
というかこの歌詞はBLなのか、「僕等バラ色の日々」の方がよっぽどBLっぽいけれど……(個人の解釈です)
そもそも、鬼束ちひろの曲がタイアップ先の内容を汲んでいたことなんてあった……??
TRICKにおけるワルツとは……??
ブレスオブファイアⅤにおける「貴方が似合うといったこの抗いのドレス」とは……??
 
ってな感じで、腐女子目線で語ろうとすると鬼束ちひろファン目線が邪魔してくるので、普通に鬼束ちひろファン目線で語ります。
 
……とは言っても、タイアップ先のドラマが同性の恋愛ものだからこそ、こんなに穏やかなラブソングになったんだとは思うよ。
(追記:インタビュー読むと、全然そんな感じではなかったです)
男と女が分かり合うよりは、男と男、女と女、同性同士が分かり合う方がきっと楽で。
前曲「ヒナギク」のような渇望を煽る熱風も、次曲「帰り路をなくして」の底冷えする夜風も、今曲にはない。
ただひたすらに穏やかに、黄昏の気配が、二人のいる部屋を満たしている。
はぁ〜〜〜〜〜、幸せかよ。すごい幸せじゃん。
鬼束ちひろの楽曲中じゃ、かなりの上位にランクインするぐらいの幸福な精神状態じゃん。
貴方のその肌に この耳を澄ませば 奇跡さえ聞こえる」とかもう惚気のプロ。
言葉だけ見れば切なさはあるんだけど、編曲がもう黄昏の橙光をしているので、やはりこの2人は幸せなんだろうね。

次の曲見てみ?
血の涙は溢れる 緋の翼で舞い上がるのだろう 燃える世の底を這って ただ鳴き叫ぶ 鳴き叫ぶ」の壮絶さに比べれば、全然。そんなの、ねえ。
 
 
3.「帰り路をなくして (Live at Zepp Nagoya on May 1 ,2017)」

ここからの4曲、すごい良い。

2017年6月1日 17:00開演『syndrome @ Zepp Nagoya』 に現地参戦していたから余計にそう思うのかもだけど。 
「すごいものを聴いてしまった……」と半ば感動、半ば呆然で帰路についたあの夜と、全く同じ夜が今ここにある。
スモークが焚かれまくった会場の空気とか、カラーライトで瞬時に染まっていく白長布の舞台装飾とか。
あのライブハウスの一夜が、一年後の今、ここにあって……本当に、すごいステージに行けたんだなあと思う。
 
今曲「帰り路をなくして〔Live〕」のアレンジで、何が良いっていったらやっぱりバイオリン。
1番ではまだ鳴りを潜めているんだけど、2番のサビからが、もう最高すぎてやばい。
この弦の震えこそが、「緋の翼」なんだと分かる。
スピッカートは羽ばたきで、ビブラートは風切羽で切られた風。
このLP盤のバカでかい歌詞カードを眺めがらようやく「帰り路をなくして」は鳥の姿を歌っていたのでは?と思った。
 
旅の涙には戻り道がない。
この日は二度と無いことを気付く涙だからだ。ちっぽけな自我など何かに呑まれて消える。
あらゆるものを喪失しながらあらゆる初めてのものに立ち会わされる。
そういう旅のぼう然とした無力感は、カタルシスでもある。
「翼の生えた【もういいや】感」とでもいうのか、海を渡る渡り鳥に感情表現があったらきっと苦笑いで感じているだろう感覚。

引用:2017年5月の日記 : 隠花微温室

 

上記は私の大好きな画家のブログにある文章なんだけど、私が感じた今曲の魅力がすべて書かれている。
あらゆるものを喪失しながらあらゆる初めてのものに立ち会わされる。
海を渡る渡り鳥に感情表現があったらきっと苦笑いで感じているだろう感覚
ヴァイオリン:バイオリン属に属する4つの楽器の中で最も小さく、最も高音域を出す楽器
最も小さい身体で、最も高く鳴き、その先を目指す鳥の姿を、ようやく目に出来た気がする。
 
 
4.「ラストメロディー (Live at Zepp Nagoya on May 1 ,2017)」

『TIny Screams』で一番聴いた曲は「ラストメロディー」
イントロでぱあっと、レンガの壁に沿って銀杏並木が続いている、
そんな秋の情景と日差しが瞼の裏に浮かぶところが、やけに不思議で好きで、何度もその光景に陶酔していた。
今曲の「ラストメロディー」は、間奏のエレキギターが印象的かな。
ノイズのような、断絶の音。
『Tiny Screams』で描いていたのは「涙をうかべて 歩いてゆく私に 聴こえないメロディー」で、今曲にあるのは、「もう何も言えずに 頷く私に 聴こえないメロディー」という感じ。
前者からは、終わってしまった、故に祝福の光に満ちたような銀杏並木を歩いて行く姿をイメージするけど、後者からは、聴こえなくなってしまったメロディーを、まだ涙目で探して立ち止まっている姿が思い浮かぶ。
崩壊の過程を目の当たりにしているような音で、それでもこの曲の情景が美しいのは変わらない。
同じ「ラストメロディー」でも、アレンジだけで全然違うね。
一言で言えば、『Tiny Screams』ver.の前日譚っぽくて感動したっていう話なんだけど。
 
5.「X (Live at Zepp Nagoya on May 1 ,2017)」
 
うわああああああああん!!格好良いよ〜〜〜〜!!
原曲のボーカルはエフェクトがかっていて、そっちも格好良いんだけど、やっぱり鬼束ちひろは素の歌声が似合う。
ライブでは『BORDERLINE』の迫力に圧倒されていたけれど、「X」もめちゃくちゃ格好良かったんだね。
は〜〜〜〜、音源化してくれて嬉しい……ありがとうございます……。
間奏「So far Story comes around」の高音とかさ、あれライブで出せる声!?!?!?って思うよ。
生で、一発勝負で、あの声が出る歌手なんだよ、鬼束ちひろは……本当にすごい。
凄すぎるの一言しか出てこないよ。
その腕を伸ばして 何もかも放つように 二人は歪んでゆく
We're calling  We're going high
歪んで、落ちて、それでも高みに行こうと、魔性で悲痛なその声に引きずり込まれたい。
ディストーションの幕引き後に、13秒間続いた拍手。
あの中に、私が興奮の最中で叩いた拍手も入ってると思うと、もう本当に奇跡かなと思える。

6.「火の鳥(Live at Zepp Nagoya on May 1 ,2017)」
 
待って、泣く泣く泣く。
『syndrome』と『syndrome @ Zepp Nagoya』のラストトラックがこの曲であったこと。
最後は生きることを肯定して、観客をライブハウスから送り出してくれたこと。
今曲の伸びやかで、確かな力強さに、泣けて泣けてしょうがない。
 
億千の夜を越えて 貴方の翼になり その背を押してゆく
 生きる意味など 他には何も要らないから」 
扉をあけて 声を聴かせて
悲しい微熱よ 貴方に届け
 素直になれない 涙が溢れる 貴方に届け
 
「貴方」っていうのは、他の誰でもない、一リスナーの私に向けて言っているんだと、その優しい声が教えてくれる。
こんな、こんな美しくて優しい応援歌があっていいんですか……?
小野正嗣が「9年前の祈り」で芥川賞を受賞した時のスピーチ、その一文を思い出しながら聴いていた。
文学の世界は広大で自由なので、自分の場所は必ず見つかります。
「天才の作品の周辺には、われわれが小さな光を入れておくための場所がある」とカフカも『日記』に書いています。
「天才的なものは人をただ模倣に駆り立てるだけではない普遍的な激励だ」というのです。
「普遍的な激励」、この言葉に相応しい曲を、2017年の鬼束ちひろから聞けて良かった。
何というか、彼女のファンでいて良かったと思うよ。心底。
 
 
 

vita『エスカ&ロジーのアトリエ Plus』楽曲の作曲者コメント書き出し<前半>

エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~オリジナルサウンドトラック

 

vita『エスカ&ロジーのアトリエ Plus』のextraより音楽堂の作曲者コメント書き出し。
全曲といいたいところですが、エタりかけで下書きに眠らせたままの供養記事なので全体の2/3ぐらい。
「ドロシアの虎」「咆哮」「逆光」「傍らに咲く花 part2」「尻尾の数はひとつとふたつ」「ひとりぼっちの女王蜂」あたりがお気に入り。
いや、全部好きです。

 

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エスロジ最高のBGMは「傍らに咲く花 part2」という話

最近 vita「エスカ&ロジーのアトリエ plus」を再プレイ中。
ゲーム性もキャラクターも何もかもが好きだけど、やっぱり音楽が本当に素晴らしい。
甲乙付けがたいけど、一番救いを求めて聴いているのが、ニオのテーマ曲「傍らに咲く花 part2」

傍らに咲く花 part2

傍らに咲く花 part2

  • provided courtesy of iTunes

イントロの甘やかさ、すごくないですか?

咲き乱れる数々の花から集めた、黄金色の蜂蜜を音にしたらこのイントロになるのだと思う。
この音楽と共に生活を送り、この甘やかさのなかで息が出来るニオが羨ましいほど。
いいなあ。私の生活も、これぐらいの色で彩られたい。

 

You are my answer / PS4「竜星のヴァルニール」OP・佐々木李子「When I …」 【感想】

PS4専用ゲームソフト『竜星のヴァルニール』OPを観ました。

佐々木李子When I …
【作詞】NAKO 【作曲】NAKO 【編曲】大西省吾

まーーーたコンパイルハートが神OPを産み出してしまった。

「神獄塔 メアリスケルター2」もすごかったけど、今作のOPも相変わらずどツボ。

まずは曲について。
やっぱり私、 大西省吾の編曲好きだ。大好きだ。
幕末Rockの「xxxing」「WHITE」、戦刻ナイトブラッドの「天華絶景」「月牙ノ刻」
これまでに色々好きになってきたけど、今曲もそれらに匹敵するぐらい好き。
イントロのアコギから静かに、侵食するように期待値を上げて、サビで一気に奔流していくようなうねり。
渦巻きながら駆け上がる音階は風で、その幻風に、もっとずっと強く吹き付けられていたい。

その風の一部である、ボーカル:佐々木李子の声もこれまた最高。
割れた硝子、その大ぶりな破片の切っ先に宿る光みたいな声だ。
誰かを確かに傷つけられる強さと、既に自分が傷つけられ割られてしまった弱さと、それでも祈りを併せ持つようなファルセット。
特に「You are my answer」のとことか、最高じゃないですか!?!?
あなたは、私の答え。
Aメロ「誰を信じればいい?」の答えはあなたで、あなた以外にいないんだと確信させてくれる声に泣けてしまうよ。

映像は株式会社ニライカナイか、gram6designのどちらかかな。
メアリスケルター2感があるから、MUGICHA or maruhi 制作のニライカナイっぽいんだけど、MUGICHAはgram6designに移籍した……んだよね?

うーん、どっちだろ。
MUGICHAだったら、もっとサビの髪揺れは滑らかにすると思うんだけど、でも光のコントラストはMUGICHAっぽいんだよなあ……。

 

作詞・作曲:島みやえい子の輪廻転生情念哀歌とかさあ! / VANA「あざみ」【感想】

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島みやえい子が作詞&作曲した、VANA「あざみ」のMVをYoutubeでリピート再生しまくっている。

VANA「あざみ
作詞:島みやえい子 作曲:島みやえい子 編曲:塚原 義弘
良すぎなのでは??????

私が島みやえい子に求めている、輪廻転生情念哀歌すぎて、拍手喝采
私の名前は あざみ 花言葉は「報復」
こういう怨念が糸を引くような執着に、誰かを引きずり込んでみたかった、と思わせてくれる。
特に2番からの、物語の展開と顛末はやばい。最高。
 
生まれてくる時 人間選べば記憶は消され 
それなら前世で名乗ってた 同じ名前の花で 生きさせて 
あの日を覚えてて 咲いてたい
 
前世で「名乗ってた」花の名、というのは水商売における源氏名なんじゃないのかな。
「与えられた」ではなく、自ら「名乗っていた」花名だから。
で、前世の彼女はどうしても覚えていたい「あの日」のために、人間ではなく、咲いた場所から動けない花に転生を選んだ。
そしたら彼が他の女といちゃいちゃしながら歩いてくるんだもん、そりゃ報復するわ。
 
薊というのは、漢字から受ける印象の通り、棘が無数にある触れれば痛い花の代表だ。
だからこそラスト、
あなたの棺 胸元に組まれた指のあいだに あたしを一輪添えられるのを夢見てました 
 今 夢が叶って 私も眠ろう
というフレーズが胸に来る。
現世で彼に触れられるのは、供花になった時だけだったんだなあと。
 
でも、やっぱり私が島みやえい子を好きだと思うのは、死が終焉ではないところ。
この2人の転生は、なおも延々と続いていくんだろう。
喜び、悲しみ、その全てを執着を軸として繰り返しながら、束の間の安らかな眠りの後、また目覚める。
そういう、希望と交互に訪れる地獄に惹かれる。
 
この曲が収録されたアルバムは、9月2日に発売。
ただなんかレーベルがマイナーらしく、何も情報が引っかからないのは何なんだろう。
一応Amazonでは買えるらしいけど……。

余談。
この曲が好きな人は絶対に好きな鬼束ちひろが8月22日に発売する新シングルの曲名は「ヒナギク
まさかの花繋がりだよ。運命か? 
ヒナギク<初回限定盤【CD+DVD】>
 

 

君が朧気に選ぶ夢 / アプリ『明治東亰恋伽~ハヰカラデヱト~』 OP【感想】

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アプリ『明治東亰恋伽~ハヰカラデヱト~』 OP、見ました!?!?

KENN「御伽噺 Parallaxe
【作詞】MIKOTO 【作曲】小川智之 【編曲】hoto-D

みんなあああああ〜〜〜〜〜!!
みんなあああ〜〜〜〜〜〜!!!!(大号泣)
 
映像が始まった瞬間、「うわ!もろに『時間の支配者』のステロタイプ映像じゃん!大丈夫!?松根マサト監督いる!?」と焦ったんですけど。
閉ざされた あの日の物語」で旧OPが使われたところで、「あ〜〜〜、この映像使えてるならこれも監督作だわ」と確信。
その後にクレジットを確認して、一安心という感情ジェットコースターの1分35秒でした。
MAGES.繋がりで、冒頭の歯車カットは『STEINS;GATE』かとも思ったりしたし、心臓に悪いよ!好き!!大好き!!!
 
本当に、本当に何かもうよかった。ありがとう。
スタッフの追加が不安というか、寂しくないわけではないんだけど、それでもすごく嬉しい。

【OP】作詞&作曲 MIKOTO → 作詞:MIKOTO 作曲:小川 智之
【シナリオ】魚住ユキコ → 【シナリオ監修】魚住ユキコ【シナリオ】鈴白かずは
【OP映像】松根マサト(アリスフロムジャパン)→【OP映像監督】松根マサト【OP映像】ステロタイプ
【キャラクターデザイン】かる→かる&Caraway
 
みんな、なんか全体的に3割増ぐらい可愛くなってて、もう、本当に可愛い。
主題歌も秒で買いました。

特に1分07秒からの10秒間は、萌え転がりまくった。

http://1.giftube.nu/complete/B/tEFLCW.gif?1532078305

はい、私の男達みんなかわいい〜〜〜〜〜〜!!!
(特にチャーリー、めちゃくちゃ可愛くなってない?
 小泉八雲と藤田さんが可愛いのなんて前からなんだけど)

私は小泉八雲が一番好きだから、彼の紹介シーンで「君が朧気に 選ぶ夢」の「選ぶ夢」が割り当てられていたことが嬉しくて嬉しくて。
そして「この夜明けに届く 口づけで答えてくれ」に、にやけながら泣いていた。

口づけで答えてくれ、だよ?
「浪漫をください 君が望まなくても」って歌っていためいこいが、口づけで答えてくれって言ってるんだよ?
 
答えないわけにはいかないでしょ!!!
早く本編配信してください!!!!!!
 
作詞:MIKOTO が続投で本当に良かった。
「東亰浪漫譚」も今聞き返しているんだけど、「君がほら 救いし心 恋という灯を燈してみよう」のキラーフレーズっぷりやばくないですか。
それをKENNの声で歌ってくれるんだから、めいこいは天国。
 
 

”愛してくれる”ゲームデザイン / フリーゲーム「Doki Doki Literature Club! / ドキドキ文芸部!」感想

 
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米産フリーゲーム、チーム・サルバト作「Doki Doki Literature Club! / ドキドキ文芸部!」をプレイしたその感想。


一時期、このゲームをプレイしたイギリスの少年が自殺したというニュースが流れたが、結局はデマ。
というか、このゲームをプレイしたことがある人なら、「そりゃあデマだろ」と思うはず。
 
小野正嗣という作家が「九年前の祈り」で芥川賞を受賞した際のスピーチに、こんなものがある。
作品は、受け取ってくれる私たちを必要とします。
私たち一人一人を受け入れ、「あなたが必要だ、あなたの存在が大切だ」と訴えているのです。
つまり作品は、それに触れる人が「生きること」を望みます。
「あなたに生きてほしい」。
だからこそ、素晴らしい作品に出会ったとき、私たちは「支えられ」、「励まされ」、「救われた」と感じるのです。
 
作品とは「与える」ものです。
 


私がドキドキ文芸部に感じた精神は、本当に上記の通りで、上記の通り、ドキドキ文芸部は素晴らしい文芸作品だった。
プレイヤーが「生きること」を望む、超一級の。
だから、この作品が原因で自殺者が出たなんて、冗談でもファンなら誰も言われたくはなかったと思う。
 
モニカが愛したのは、プレイヤー自身の「可能性」だ。
生きて、考えて、動いて、現実の社会に接することの出来る私達の、無限にも近い可能性。
だってそれは、記号と数字のプログラムで組まれたモニカ、サヨリ、ナツキ、ユリには無いものだから。
 
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彼女たちには、発展・成長の余地はどこにもない。
あるのは、消滅と再現が繰り返される現状だけ。

 
こんなのは嫌。
私には何も出来ない。何も。
あなたが何度プレイしても関係ない。すべて同じ。
自殺することは簡単、本当に簡単。でもそれは
あなたともう二度とお喋り出来ないことを意味する。
私が望むのはあなたがそれを嫌悪することだけ。それがそんなに難しいこと?
 
だからこそ、モニカは”そうではない”プレイヤーを愛した。
自分を取り巻くプログラム環境を書き換えて、壊して、滅茶苦茶にしてまでも強烈に愛して、焦がれた。
なぜなら、生きているから。
 
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あなたは私の世界を照らす光
 
つまりプレイヤーは、生きている”だけ”で、モニカから愛される存在になる。
 
は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、泣く。
ありがとう、モニカ。ありがとう、チーム・サルバト。
 
「そのままの君でいいんだよ」「そのままの君が好き」と、乙女ゲームなら腐るほど言われる台詞だが、私が彼らから、”本当に愛されてる”と感じたことはない。
こっちからは好きだと思うけどね。
でもその愛をモニカから感じるのは、モニカが自身の、いっっちばん理解したくなかった現象(周囲がプログラムであるだけの存在)ということを利用してまで、プレイヤー側の方向に来てくれようとしたから。


そして、プレイヤー側はその愛を否定すること(Monicaのキャラクターデータを削除)でしか先に進めないと分かったら、彼女をデリートしてしまう身勝手な現実者だから。
そんなプレイヤーを、Monicaはまだ愛し続けていると分かるエンドだから。
 
だから、だから、この「ドキドキ文芸部」は素晴らしい。
どこまでも、こちら側の生を望む、エールに満ちた作品だということを余すこと無く伝える、ゲームデザインが凄い。
 
ただ、今の社会がこういう「生を肯定する」ゲームデザインを求め、需要があるのなら、それはそれで考える所があるなあ、とは思った。
女性向けだと「MakeS -おはよう、私のセイ-」とかね。
「囚われのパルマ」が先かもしれないけど。
どちらも、コンテンツとしては莫大な利益を上げている。

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MakeS ‐おはよう、私のセイ‐

MakeS ‐おはよう、私のセイ‐

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  • 無料
プレイヤーのスワイプをキャラクターの視線が追う、それだけで生まれる「愛しい」という気持ち。
「愛されている」という実感すらも、優秀なデザイナーよるデザインの誘導に過ぎない事実は、結構心に重い。
ただそのデザイナーの制作意図が「皆が愛してくれるものでありますように」なのだから、この世界は素晴らしいよ。
 
ちなみに、「ドキドキ文芸部」のギミックが好きな人は、kiji「ブルースクリーンの恋人」というフリーゲームも好きだと思う。
こちらは日本製で、5分程度のボリュームながら、ずっと忘れられない余韻がある。

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システムから干渉を求める、メタ視点的なものの真髄が、かちっと捉えられていると思う。
公開停止になっていなかったら「虚構に咲くユリ」というフリーゲームも紹介したかったなあ。
こちらは、Monica側の、自身がプログラムされた存在に過ぎず、世界から抜け出せないという絶望が体験出来るゲームだったんだけどね。