2023年1月前半にハマっていた10曲の感想文で、アーティストの五十音順にすると以下の通り。
・angela『RECONNECTION』
・ヰ世界情緒『パンドラコール』
・打首獄門同好会『はたらきたくない』
・打首獄門同好会『布団の中から出たくない』
・打首獄門同好会『なつのうた』
・PELICAN FANCLUB『儀式東京』
・PELICAN FANCLUB『新世解』
・PELICAN FANCLUB『俳句』
・PELICAN FANCLUB『ユーラ・グラビティ』
・ReoNa『Simoom』
去年からの習慣でぬるっと今年も始めちゃったけど、今年は去年よりもう少しライトにまとめていきたい……とか思っていたら新年一発目から結構なボリュームに。
2023年冬クールのアニメが始まったからね、仕方ないね。
「彼方」よ 今ここで 始まる時代を 呪え
アニメ『最強陰陽師の異世界転生記』OP。
やっぱりangelaのアニメOPは血が滾る!
私の中に流れているアニソン好きの血は、atsukoのパワフルな歌声+KATSUが多用するグリッサンド奏法にいつだって沸きます。
アニソンを聴き始めた初期の初期に好きになった人達なので、私にとって彼らの音楽は一つの源流。
それは今もまだこんなにも鮮やかに新しく流れ続けていて、その変わらなさに感動する。
いつもいつまでも、聞けば一発でangelaだと分かる曲をリリースし続けて欲しいよ。
アニメ本編は陰陽師をテーマとしたなろう系らしく、それに合わせた和の音使いと言葉選びもアニソンアーティストらしくて大好き。
「今ここで 始まる時代を 呪え」とか「明日はどっちだ? 吉凶に抗うかい?」とかね。
アウトロの造語コーラスも性癖!
わたしから貴方へと送るの
生まれ行く災厄を
KAMITSUBAKI STUDIO所属のバーチャル・シンガー、ヰ世界情緒。
あまりにその名に相応しい曲とMVでびっくりしました。
ここではないどこか、少しズレた世界で歌われる破滅の小唄。
今曲のMVも雰囲気あって大好き!
自分が後ろ手に引きずられていくような、頭上に落ちていくような感覚に脳がむず痒くなるし、タイポグラフィのセンスも抜群。
特に「散々と踊りましょう」で文字がリボンのように巻き込まれていくところと
「さぁ全部忘れましょう」の文字サイズの緩急が好き。
サビで文字が全面に来る時、洗練された明朝体と野暮ったいゴシックを混ぜ込んでいるところもヰ世界らしいちぐはぐさで良い。
フォントの違いだけで不気味な違和感を表現するの、本当にセンスがあるとしか言いようがないな。
だから働かなきゃいけないとは わかっているけれど
はたらきたくない
フリュー制作のゲーム『WORK×WORK』テーマ曲。
たまたまこのゲームをセールで見かけ購入したところ、とにかくキャラや雰囲気がすごく私のツボで。
それでネットを検索したらこの主題歌MVが出てきたんだけど、めちゃくちゃ良い!
ゲーム内の雰囲気そのもののキャラ達が打首獄門同好会のメタル音楽に合わせて生き生きとアニメーションしてくれていて、不覚にもうるっときました。
ゲームをプレイした今なら、何で主人公と一緒に「はたらきたくない」とパレードしているのがぱっと見モンスターなのか、どういう風に王子との仲を深めていったのか、全部分かって泣けてくる。
ラストサビの「はたらきたくないね でもはたらいたよね」で主人公のポチ夫が前向いてにやっと笑うところとかもう、もう……!
「あしたがまたくるね どんな日になるかね
いい日だといいよね ワクワクしたいよね」
というラストも主人公とその仲間たちへのエールだと思うと素直に感動します。
布団の中はあたたかすぎるから
コウペンちゃんとのコラボ、めちゃめちゃ可愛い!
5年前にリリースされた曲だと思っていたら、ちょうど今日、マクドナルドのCMで起用されてるのを見かけてびっくりしました。
ある意味メジャーな冬ソングになっているのでは!?
アニメーションで言えば、特に1番サビでコウペンちゃんと敷布団と掛け布団と枕がぐるぐるして合体するところがお気に入り。本当に布団の中はパラダイスなんだな。
2番Aメロ「不本意ではあるが 誠に遺憾だが」の歌い方も、すごい柔らかくて素敵だし、最終的には「布団の中から出てえらい」で締めるところが教育的だなと思います。
想像を絶するレベルであつい
朝から晩までとめどなくあつい
本気出した日本の夏はあつい
コウペンちゃん×打首獄門同好会の夏のうた.ver。
喫茶店に入るとこと出るところ、ちゃんと前フリを回収する流れが何度見ても笑える。
本気出した日本の夏のレベルは年々上がるばかりで、同時にこの曲の評価も年々上がっていくんだろうな。
現実の夏はAメロの南国ハワイアンな雰囲気など欠片もなく、ひたすらデスメタル調に暑くてやばい。
触れただけで完成しないで
レコメンドでたまたま流れてきて、一発でアーティストごと好きになった曲。
正直”儀式”の部分の歌詞は何を指しているのかよく分からないけど、それでも伝わってくるものはあるし、それが何なのかも感覚的に分かる。
こういう「何か知らんが、とにかく分かる」みたいな曲と出会えるのは本当に貴重。
今曲のメロディーも編曲も歌声も全部好きだけど、一番はやっぱり作詞だな。
「夢にみた人 夢でみた人
夢をみた人 ゆえ捨てた人
揺れていた希望 ゆえ夢をみた
呪いが解けるまで仮の東京」
の部分が私は特に好き!韻の踏み方がすごく心地良い。
「選んだ全て正しいと言い切れ 生きてけ」「君だけ生きていけ」も、「君がこれから生きる道は正しい」とあまりにも真っ直ぐ言い切ってくれるエールで眩しいな。
この『儀式東京』に限らず、後述する曲は全部深夜徘徊のお供にぴったりなフレーズばかりで、そこも好き。
「ネオン街は眠らない 使いすてられた人で渋滞」
「空腹を加速させる街灯 神経までインプラント」
「人混みの中で気づけない カウントダウン」とか。
私にとってのキラーフレーズばかりで痺れまくりです。
震わせて 震わせて 黎い光を
飲み干して 潤して 革命を踊って
サビのメロディーが良すぎ……。
特に「革命を踊って」や「愛して 愛したいの」のところ。
なんかもうすごい好きで、好きとしか言えないな。
あの音も、あの声も全部が好きで恋してしまうよ。
歌詞も「この間違いも あの正しさも 今夜暗くてどれもみえない」からの「震わせて 黎い光を」なものだからたまらない。
1番と2番ではギターリフだけだったCメロに、ラストサビでだけボーカルが付くところも技巧的だなと思います。
そしてそれが「ひとりにさせて せめていまだけ」というのがね、いいんですわ!
どこまでもたった一人の自意識のために歌われている曲で、自分が自分を追う眼差しだけを言葉を尽くして描こうとする。
そういう自分自身に対する執拗なこだわりは、その人にしか出来ない事だから。
この世でたった一人、自分の感性を音楽にして他者に伝えられること自体が、まさしく表現という感じでやられちゃうな。
今曲が収録されているアルバム名は『解放のヒント』。
自分の解放と、それを目の当たりした誰かの解放を誘発する一枚に出会えて良かったです。
困った 警察に俳句を詠まれた
すぐ殺してくれ
「撃ってくれーれーれ」「殺してくれーれーれ」といった語尾の”e”音を繰り返すところがアクセントになってて中毒性がある一曲。
終盤で「困った 警察なんていなかった 自分で生み出した幻」や「困った 最初からそんなのなかった 本当は美しさに溢れていた」という種明かしがされた後でも、ラストの「それで僕は」は不穏さに満ちていて。
最初から最後まで漂う犯罪臭が私は好きです。
この後通り魔犯罪でもしでかしそうな雰囲気だし、そうさせるほど「天才」に対するコンプレックスは凄まじかったんだなと。
現実すら歪める妄執が彼の中で解消されるタイミングはいつなのか、そんなものはもう誰にも分からなくて。
誰しもが多かれ少なかれ、それぞれの思い込みに囲われて生きているようなものだよなと今曲を聴くと思いますね。
溢れ出しそうで 星みたいだ
連れ出して これが欲しかった
良い!良いよぉ~~~!
「体温は3000° 歪つな熱を求めて
太陽は大脱走 この世は冷たすぎる傾向」
という出だしからもう痺れた!
1番Bメロ「同期して 夢のセットリスト」が2番では「同期して 君のセットリスト」になるのもグッとくるし、ラストは「目が醒めるような夢みたいだ 宇宙で一番綺麗な夜」で締めるのも最高。
何というか本当、「ゆらぐ蜃気楼」「めぐる神経」「ゆらぐ神秘」を「めぐる箱の中」で混ぜると「世界で一番綺麗な夜」になるっていうのが、私にはない感性で羨ましい。
この曲の何がどう私にぶっ刺さっているのか全然上手く言葉に出来ないんだけど、言葉に出来ないまま、好きでいさせて。
ああ 何もかも
砂嵐の向こうに 消えていくだけ
タイトル『simoom』の意味は、熱風を伴う砂嵐現象とのこと。
ReoNaの湿気を伴わない声で行われる幾度もの問いかけに神は答えず、ただ砂だけが強く体を打つ。
乾き切った寂寞の渦を叩きつけてくるような声と編曲が素晴らしいです。
私が今曲でどうしようもなく泣きたくなるのは、同じ単語を2回繰り返すところ。
「贖いのその術を 答えてよ 答えてよ」
「永遠など どこにもないよ どこにもないよ」
「砂嵐の向こうに 消えていくだけ 消えていくだけ」
自分の発した言葉が誰に拾われることもなく消えていく諦めと、それでも自分がまだここにいるどうしようもなさを俯くように繰り返す。
「虚しいほど 正しさも醜さも 塵になって」と真理めいた言葉を口にする割に、その語尾は寂しさに震えていて。
そのか細い命の震えに泣きそうになってしまうよ。
終わりゆく世界が終わり切る前の今ここに、まだ彼女は立っているんだなと。