iOSにて『市立カクレザ図書館』という司書体験ADVをプレイしました。
プレイ時間は2時間でED数は6。
プレイヤーはカクレザ図書館の司書となって、本の貸し出しや検索、利用者カードの発行等といった業務を淡々とこなすお仕事もの。
これがね~~~、すごく楽しかったです!
バーコードリーダーのピッという音が軽快で、ついついエンドレスでやっちゃう中毒性がありました。
利用者が借りたり返却する本からその人の生活や性格、他の利用者との関係性が窺い知れるのが今作の醍醐味。
例えばストーリーモードで序盤に来るゴスロリお姉さんは、『幻想館の殺人者』というダーク系ミステリ小説と一緒に『時短離乳食の作り方』や『つきのおひめさま』という絵本を借りている。
私はこれを「こう見えてシングルマザーとかなのかな、大変そう」と思っていたんです。
そしたらそのゴスロリお姉さんが借りていった絵本を「「つきのおひめさま」は、私の妹が読んでくれてこの子すっかり気に入ったみたいで」と話す子連れの母娘が来て!
慌てて利用者カードを確認すると、2人の名前は「ヤマダ ノブエ」と「カワカミ ユキエ」。
下の名前は似てるし、名字が違うのは姉の方が結婚したからだろうし、よく見たら立ち絵の目元の雰囲気も似てる!
あのゴスロリ娘は服装は尖っているけど、お姉ちゃんの育児に協力する姉妹仲のいい子なんだなということが一発で分かって興奮しました。
他にも初日に『きれいな文字の書き方』『手紙で伝える気持ち』という本を借りてく女の子がいたら、その1週間後に「あの…貰った手紙に返事する時にどんなことを書けばいいとかそういう本ある?」と聞いてくる男の子がいて。
その男の子にきちんと『手紙にひとこと添える~返信のコツ~』という正解の本を勧めると、後日2人で一緒に来館してくれるの!
か~わ~い~い~!
男子学生と女子学生の恋の成就に一役買ったと思うとにやにやしちゃうね。
一日の勤務を終えると利用者の生活が描かれた一枚絵のカットインが入るんだけど、その演出もすごく好き。
例えば『人と比べたって仕方ない』『整理整頓でなりたい私になる!』と一緒に『ずぼら飯のすすめ』『冷凍食品アレンジ集』を一緒に借りていく内気な女の子が、スーパーでメモを見ながら買い物している姿が見れたり。
今作で私が一番好きなキャラはこのジョウシマミオちゃん。
自己啓発本を読んだだけで何かが大きく変わるはずもないんだけど、でも変わろうとしている姿に共感出来るし応援できる。
頑張れ!って思っちゃうよ。
他にも『コールの基本』を借りていったVチューバーが実際にアイドルのライブでコールしている姿が見えたり
『沿線別住みやすさランキング』『ミニマム一人暮らしの家具』を借りていった子が、新居の部屋から電車を眺めているのが見えたり。
本を読んで知識を得る=変わりたい、なりたい自分になろうとする意識の表れなのだと、彼女たちの姿を見てて思います。
生活に根ざした小さな一歩で、より良い人生を目指す姿勢に感動しました。
こういう風にプレイヤーに気付かせてくれる匂わせが今作は上手いんですよね。
そしてそれが次第に不穏でホラーな雰囲気を帯びていくところも非常に私好み!
例えば『そそっかしいあなたに』『仕事メモ術』『リマインダーソフト50選』を借りてく配送業のお兄さん。
貸出期日を延滞するイベントもあるし、最初は忘れっぽいだけの人だと思っていたんですよ。
そしたら後日『PTSDにより記憶障害』『目撃者は口をつぐんだ』を借りていってギョッとしました。
絶対何かあったんじゃん……。
そこから村人殺しの新聞記事は出てくるわ
主人公は「天使がいます」「天使の声を聞け」「偽りの天使を許すな」「天使とは心で会う」という声を聞いてぶっ倒れるわ。
日付を進めるごとに、因習村要素がより強く表に出てくるところが面白かったです。
時の泥の中に埋まっていたものがどこからともなく染み出して、漏れ出していく感じがあって私は大好き。