復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

ふたりは寂滅の春を待っている sajou no hana 「星絵」【感想】

sajou no hana/星絵

 
sajou no hanaの1st single「星絵」の感想を書いておく。
彼女らを知ったのは、2018年夏クールアニメ「天狼 Sirius the Jaeger」のEDだった。
そもそもはOPを担当した岸田教団&THE明星ロケッツのファンで
アニメの主題歌繋がりで「星絵」を聞き、「お、いいな」と思った。
で、シングルを聞いたところ2曲目「夢の中の僕らは」でドハマリ。
 
当時の私は職場で追い詰められており、通勤途中に聞く音楽だけが救いだった。
そんな時にこの「夢の中の僕らは」は本当に泣きたくなるぐらい沁みて、運命だと思った。
運命だと思いたくなるほど、この曲に出会えなかった自分を想像できない。
 
それから彼女たちの音楽は、デジタル配信シングルまで含めて全て追っている。
「夢の中の僕らは」の「蒼過ぎた眠りの中、ふたりは寂滅の春を待っている。」というフレーズを、
おまじないのように唱える時がある。
わたしは、今でもまだ、寂滅の春を待ち続けているんだと思う。
彼女たちの歌う心の痛みも生き辛さも、全てが消え去るいつかの春の日を。
 
 
 
1.星絵

星絵

星絵

  • sajou no hana
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 作詞:渡辺翔 作曲:渡辺翔 編曲:キタニタツヤ

 
あまりに最低な終幕
息を吐いて吐いて吐いて待った
 
無慈悲な世界のもとで
逃げ出し眠ってゆく
 
「僕なりに…」なんて言葉盾に
結局振り返ることしかしない
 
変われた気分になっていても
空巡る星の位置が変わっただけ
 
壊したら全部が楽になるかなって
君思いながらぼやけていく前に
抉ったらこんな僕でも一等星のように光る
綺麗な夢見つかりますか?
そうやって希望 抱いて
 
出来損ないなこれまで
強く拭いて拭いて拭いて消した
 
立ち止まらない背中を
眺めて何度理不尽な思い突き立てていただろう
 
ためしても何もうまくいかないなって
取り繕うようにさも大変なふりを
構ってほしいなんて言えない僕の遠回りな
軌道上にはなんにもないな
そうやって思考止まった
 
広大に見えてた空はスクリーンで
無数の糸の下で飾り揺れて
嘘に身を任しそれが心地いい
本物は息苦しい
 
壊したら全部が楽になるかなって
君思いながらぼやけていく前に
抉ったらこんな僕でも一等星のように光る
綺麗な夢見つかりますか?
そうやって希望 抱いて
 

「星絵」というタイトルの通り、星屑が降り落ちるようなイントロが印象的。
そこにsanaの空気を微細に震わせる声が入って、Bメロまでは一種幻想的な雰囲気。
サビではタイアップ先のバトルアニメに合わせて勢いが激しくなるが、個人的にはBメロまでの雰囲気がずっと続いてほしかったり。
間奏も、ベースがメインの音作りの方が好きだなと思う。
 

2.夢の中のぼくらは

夢の中のぼくらは

夢の中のぼくらは

  • sajou no hana
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

作詞:キタニタツヤ 作曲:キタニタツヤ 編曲:キタニタツヤ

 
きっとふたりで、どこか遠くの方まで飛んでゆけると思っていたんだ。
寝室の窓、カーテンを閉じよう。
瞼の奥でさ、旅をするんだ。
 
双眸が閉じ、濁りだしたら、終わらない夜が迎えに来る。
白く、ぬるい、夜が、やっと。
 
夢の中のぼくらは、月の裏側で暮らした。
蒼過ぎた眠りの中、ふたりは寂滅の春を待っている。
 
また誰かが始まり、終わっていくのを、象牙の塔からずうっと見ている。
温みのある忙しない脈動たち。
きっとどこかで羨んでいた。
 
ここで見える景色はもう、幻燈のようにくすんでいた。
欠けた月の黒から浮かんだ、現の世界。
ぼやけていく。
 
夢の中のぼくらは、月の裏側で暮らした。
蒼過ぎた眠りの中、いつまでも幸福の中で、優しい終わりを待っている。
 

好き〜〜〜〜〜〜!!!

何が好きって全部好きです、最初の一音から最後の一音に至るまで全てが好きです。
こんな眠りの中で見る夢に溶けていけたらいいのに、それは絶対に心地よくて幸せな終わりなのに。でもこの曲は夢で、いつか覚める夢で、現実ではない。だからこそここまで優しい曲なのだとも思う。

 

3.つもり

つもり

つもり

  • sajou no hana
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

作詞:渡辺翔 作曲:渡辺翔 編曲:キタニタツヤ

 
声やり過ごして柔らかな此処で眠る
層になるように降り積もった埃
あぁとても心地いいんだ
 
唯一安らぐ秘密の場所
 
際限なんてない もうはまってく
置いてきた僕の裏腹な本音は
目逸らしてくれたほうがいい
身軽にそう まみれて まみれて いいでしょ
 
喉絡みついて咽せ返って夢が覚めて
そっと指這わせ剥がれ落ちて
見えた素肌は痛々しい
 
誰からも隠れていたい
 
かまってほしい気付いてほしい
もう何が本物かさえわからないくらい遠くに
慣れだしてるこんないつもに
違和感さえ抱かず
 
際限なんてない もうはまってく
置いてきた僕の裏腹な本音は
目逸らしてくれたほうがいい
身軽にそう まみれて まみれて いいでしょ
  
1曲目と2曲目を繋げるような、アップテンボなナンバー。
歌っている内容はほぼ引きこもりについてだが、こういう、人が怖い、上手く社会に馴染めない人間の姿を歌ってくれるsajou no hana が好きだよ。