森見登美彦の新刊『熱帯』を読んでいる。
千夜一夜物語が鍵というか、ベースになっている作品で、私の好きな作家達はなぜか千夜一夜物語要素を絡めた創作物を作ってくれるなあと勝手に喜んでいる。
オタクは初めてみたタイムリープものを親だと思うように、私にだって親とする千夜一夜物語がある。
see-saw『千夜一夜』だ。作詞作曲は、オタク大好き梶浦由記。
「誰の心も動かせない ただの無口なシエラザード
幾つの夜を重ねても 一つの恋さえ語れない
温もりにもなれなかった 寝物語は何処へ消えて」
この一捻りした解釈を親にして育ってしまったので、千夜一夜物語というかシエラザードに夢を見続けている。
物語の語り部でもあり、贄でもある才女。
島みやえい子なんて、その名を冠した曲「Scheherazade」も作ってる。
iTunes発売はなく、アルバム収録のみなのが残念なぐらいの名曲。
「さぁ 私のうでの中 昨日の続きを話しましょう
でも話は終わらない 終わらせるわけにいかない」
12月に発売されるオトメイトの新作乙女ゲー「蛇香のライラ ~Allure of MUSK~」のEDに島みやえい子が起用されたの、絶対にこの曲があったからって思ってる。
OPはいとうかなこで、それもまた嬉しい。
漫画で言えば、大高忍「マギ」が浮かぶかな。
小説なら、吉田篤弘「つむじ風食堂の夜」の『唐辛子千夜一夜奇譚』。
思わず手に取った本は、古い革装で、天に金が施してある。
判型は見慣れたもので、それはいいとしても、厚さがなんとも非常識だった。
全体が立方体の箱のように見える。それくらい分厚い本なのである。
らくだ色の質素な革表紙は、一見何の変哲もないが、よくよく目をこらすと、『唐辛子千夜一夜奇譚』という題名が、活字で空押しされていた。
奇書なるこの本、実写映画化されたときに、クラフト・エヴィング商會らしい装丁で小道具として出てきたんだよね。
そういうところがいい。好き。