個人的お気に入り度 3.8 / 5
スピッツのシングル「みなと」を聞いた。
きっかけはMステで今曲のパフォーマンスを見たことだ。
曲への入りを間違えて「間違えちゃった」と呟くボーカルに、巨漢の男がタンバリンを叩きながら口笛を吹く……という何とも面白なステージで。
だが、曲自体はしみじみとした良い曲なのだ。
そりゃあ、ギャップにやられちゃうでしょ!!
それでも、彼ららしいなあと感じられる雰囲気がCP曲含めてこの2曲には流れていた。
ジャケットと盤面デザインに使われているのは、桜色と若草色の図形モチーフだ。
花見団子みたいなカラーリングが、「錆びた港で」一人歌う彼に色を添えているように思う。
ジャケットを見る限り、そんな解釈も間違ってはいないよね。
1.みなと
汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
茫漠とした明るさが漂うこの「みなと」
切なさの中に確かに光は感じられるが、その光源を見定めることは不可能のような。
ぼんやりとした雰囲気が心地よくて、何回もリピートしてしまう。
ボーカルの声質や、渇いたアコギの音や、間奏で流れる口笛が、余計にセンチメンタルな気分に拍車をかける。
「君ともう一度会うために作った歌さ」と言っているが、再会の気配はどこにもなく。
遠くに旅立った君が、またこんな錆びた港に降り立つ日がくるとは、私には到底思えないのだ。
だからこんなにおセンチな気分になるのだろうか。
伝えたい相手には、たぶんきっと届かない歌。
想いや優しさだけが、行き場を無くし、あたりにふわふわと浮かんでいるような曲だと思った。
フレーズで言えば上記の「汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース」と
「知らない人だらけの隙間で 立ち止まる」がお気に入り。
クレジットされている楽器を見ると、
教育楽器のようなものが多く使われているせいかな?
気の抜けた陽気さにあふれているので、お気楽にリピートできる一曲。
歌詞も「あいつは何だ でっかい方のマンタ 」とか「粟 稗 コーリャン 対象外のオーラ」とか、
遊び心と感性だけで書いたでしょ!!と言いたくなるフレーズだ。
それでもメロディーはキャッチーというか、J-POPな感じなのが彼らの音楽っぽいよなと思ったり。
個人的にはAメロで入ってくるソプラノリコーダーの伴奏がすごく好き。
可愛らしい上に、どこかいじらしい響きがあるのがいい。
しかし聞けば聞くほど、「みんなのうた」で流れていてもおかしくない曲だな。
音の弾み方とか、このちょっと意味不明な感じとか。
カンガルーがいる、かんがえがある、るるるこんなのある〜?
いいなあ、この呑気な感じ。
この呑気な感じが、心に沁みるんだよなあ。