Switchにて『薔薇と椿 〜お豪華絢爛版〜』というおビンタバトルゲームをプレイしました。
ED数は5で、プレイ時間は2時間。
元々Switch liteでも出来ると聞いて去年買っていたんだけどスクリーンモードだとどうしても勝てない敵がいまして。
つい先日『リングフィットアドベンチャー』目当てに有機ELモデルのSwitchを買い、ようやくJoy-Conを手に入れたのでクリア出来た次第。
今作の魅力は何と言っても、華族一族の女達を主人公に据えた豪華絢爛な世界観!
昭和時代のセルアニメちっくなOP映像と曲を聞いてもらえれば、今作の方向性が分かるかと思います。
おんなだもの しゅくじょだもの
わたしは たたかう
このアニメOP、めっっちゃ好きやね……。
チェンバロのイントロから始まるゴシックな編曲+サビは分かりやすく歌謡曲風に盛り上がるメロディがめちゃくちゃ私好み。
Switch版発売1周年記念でロングバアジヨンが制作中とのことだけど「おボヲカルの人と連携が取れないわ」と言っていて、だ、大丈夫ですか!?
何事もなくロングバアジョンがリリースされることを祈ってます。
内容としては各章それぞれの女主人公が、Joy-Conによるおビンタバトルを連戦連勝してのし上がっていく、昭和メロドラマ風ビンタアクションゲーム。
チュートリアルで説明される世界観だと、作中ではおビンタは正式な決闘方式のようで。
あなた様にはこれより椿小路家にふさわしい淑女となっていたゞくため、おビンタの訓練をしてゐたゞきます。
おビンタは華族の女性がお相手を許せない時にだけ許される、由緒正しき競技でござゐます。
というわけで、ビンタされたら
即座にカウンターキメてひっ叩き返して
勝利を掴むのが、手に汗握るバトルでとても楽しかったです。
相手がビンタを仕掛けてくるターンでは全てに予備動作のアニメーションがあるので、避けられない時はただただ自分の反応が鈍いだけだと痛感できるところが良い。
負けに納得できるから、再戦する気力が沸くんです。
声優さん達によるフルボイス演技も全員が全員めちゃくちゃ熱演ですごい!
プレイできるおシナリオはおまけ合わせて5つあるので、操作できる主人公も5人。
名家である椿小路家に長男の嫁として嫁いできた玲子、椿小路家長女の静香、椿小路家次女の沙織、椿小路家に遣える見習いメイドの三田 右子、同社制作ゲー『LA-MULANA』のキャラであるムーブルク。
その中だと一番好きなのはやっぱり1章主人公の椿小路 玲子かな。
(以下、ネタバレ感想)
もう今までの私とは違ふのです。
私は椿小路家長男の妻、 玲子です。
この家は私が継ぐのです。私のものです!庶民の女は打たれ強くてよ!
↑かっけぇ~~~。
彼女は椿小路家の長男に嫁いだはずが即夫が他界し未亡人となり、椿小路家の女たちにいびられるようになったといういわば王道系主人公。
まあばか強いので1章でさくっと椿小路家の女達を全員倒して大奥様になり、2章では椿小路家次女:沙織のラスボスとして立ちはだかるところが好きすぎ。
さっきまでの主人公が作中で一番強いの反則ですわよね!?
私が一番勝てなかったのがこの沙織VS玲子戦で、20回近くは負けた気がする。
予備動作からビンタまでの間隔がほぼノータイムで避けるタイミングが掴めず、「また、おビンタしませうね」の煽りセリフを何回聞いたことか。
でもまあ、自分がさっきまで操作していた主人公がめちゃくちゃ強いラスボスとして立ち塞がるという展開はすごく熱くて嬉しかったよ。
沙織編のVS玲子BGM『薔薇は美しく猛る』も格好良すぎだし!
渦巻くようなチェンバラの伴奏と、高らかなコーラスのシンフォニックさに痺れる。
これぞラスボス曲!という威厳があって素晴らしいです。
1章から肩出しドレスにお着替えして髪をおろし、より派手になった玲子との立ち絵に相応しい。
庶民の女の力と痛み、もうお忘れかしら。
沙織さん、貴方はその庶民の女に負けたのよ。
華族の貴女が庶民の力にひれ伏したの。お負け犬なのよ。
私は煽り力が強くて実際に強い女が大好き。
ただ一番好きなセリフは、1章で言った「静香さんの旦那等ものの数ではないわ。これは女の戦いなのよ」かな。
この作品に詰まっている気高さとバカバカしさが詰まっていてにやにやしちゃいます。
玲子に次いで好きなのが、椿小路家長女の静香。
彼女のシナリオは椿小路家に侵入してきた元華族である賊を成敗するというものなので、「落ちぶれた華族=下民」という思想を再三突きつけてくるストレートな罵倒台詞に笑っちゃう。
元華族などと笑止ですわ。今は下民でせうに。
現役華族の椿小路家の敷居をまたぐことは許しませんわ。
何が古の大華族です。
華族とは常に自分を高みに置くものです。
孤高であり、至高!それが華族たるものの務め。
落ちぶれた華族など下民と変わりはないのです。
沙織とは対象的に、自分に一度打ち勝った玲子を大奥様と認め逆らわないところが長女らしくて好印象。
いや、沙織の負けん気わがまま娘なところも好きだけどね!?
私は椿小路家の次女!
我慢の仕方など教はつてゐません!
私は↑の台詞を聞いた時、すごく次女っぽいなあって思ったんです。
逆に長女である静香は我慢の仕方はきちっと教わって生きてきたんじゃないかなあと。
だからこそ彼女のシナリオの最後の台詞に胸を打たれました。
これが私の日常。
椿小路家は今日も、いいえ、これからも。
私がゐる限り安泰なのですわ。
家を守ること、それこそが長女の役目と受け入れてその通りに動いている姿は格好良かったです。
まあ、椿小路家姉妹のロード中カットインを見るに、二人とも結構ロックに育てられた気配があるけども……。
顔が良くてスタイルが良くて、態度の悪い女たちって最高や!
エンドロールではシナリオごとにED一枚絵が出てきてくれるのも豪華でした。
玲子編「伝説の薔薇の夢」での最後、彼女の君臨っぷりの凄まじさったら!
椿小路家姉妹とその母を立たせ、メイドにはハープを奏でさせ、自分はパイプを片手に猫を撫でる。
ここまでやってくれてこそ「この家、戴きます!」と切った啖呵が映えるってもんです。
ただED曲が流れるスタッフロールの方では、やけに彼女の姿が寂しく、一人ぼっちに描かれていて、なんだか恐ろしかったです。
あれも これも ぜんぶのみほしましょ
にがさは おミルクで うすめちゃいましょ
何かやけに怖くない?
歌声にもメロディにも妙に怖い童謡っぽさというか、そこはかとないバッドエンド感に溢れていて怖かったよ。
まあこれが暴力でのし上がった女の孤独と言われればそうなのかも。
彼女がお茶する相手は、目の前に置かれた薔薇と椿の花瓶、すなわち死んだ夫との思い出しかいない。
椿小路家姉妹は元より、メイドだって珍妙な踊りでお茶を持って来るけど、すぐに去っていく。
『お茶しましょ』というタイトルに対する「誰と?」という問いが虚空に響く、哀しい終わり方でびっくりしました。