最近、YouTubeで「きいろやまんねる」という方が創作されている、”怖いCM”にめちゃめちゃハマっているので、個人的に好きな4本をご紹介。
こういう創作CMやインディーズアニメといった動画系コンテンツのクリエイターさんについても、今後は書き残していきたいところ。
まずは1つ目!「處内省ダイヤル」※微ホラー注意!
本家ACの「怖いCM」にダイレクトに寄せてきていて大好き!
昭和40年代頃に流行した玩具の”水飲み鳥”が、響く鐘と共に延々と自分の存在意義を問うCMなんだけど
「わたしはいつまでわたしなのか」
「わたしの存在に意味はあるのか」
「わたしはそもそも必要なのか」
「わたしは消えたら何処へ行くのか」
「わたしは今、わたしは今、わたしは今、
本当に存在しているのか」
の答えは全て、水飲み鳥の姿そのものが提示していてて残酷。
玩具の鳥はいつまで経っても玩具のままで、物理法則によって動き続ける体に意味はなく、飽きて忘れ去られた玩具はその処分すらも忘れられ、壊れたわたしが何処かに行けるはずもない。
鬱を想起させる内容に水飲み鳥というモチーフを持って来た時点で勝ちだと思う。
絶え間無い怯え、その反芻から逃れる術がない絶望を、その全身で体現している。
「こわれる前にお電話ください」という最後のナレーションは一見救いの手であるようにも見えるんだけど、小さく「※DNS-613(別動画参照)のダイヤル機能でおかけください。一般の電話機ではおかけできません」って書いてあるんだからたまらない。
DNS-613を家に置いてる人だけには対処する政府の姿勢も、その手助けがどこまで人道的な範囲なのかも疑わしいのに、その文面さえ見逃せば、最後の言葉は自分に手を差し伸べてくれる柔らかな人の声で。
そういう罠のような優しさまで含めて大好きなCMです。
2つ目は「DNA「夢の旅をお手伝い」篇」
最初はANAのリゾートムードをパロった雰囲気なのに「健全に夢のつづきを見るためには」から即「潜在意識と訓練 外的操作」に繋げる強引さに笑いました。
もうちょっとつくろえや!
「早く目を閉じて 急いで」に合わさるSEがマウスのクリック音なのも、人為的操作を思わせる不穏さで好き。
それにこのエアラインって、乗客に夢を見せればいいだけの洗脳施設なんだし、コスパ的に考えて空なんか絶対に飛んでないと思うんだよね。
だから文字通りのイメージ映像な訳で、その空っぽな航空会社のカラーが薄ら寒い夢の旅とよく合ってる。
3つ目は「サイド・イー16社『虚住の家』」
「心に浮かんでいるのは思い出ですか それとも展望ですか それとも…虚構でしょうか」という「本当に家を売る気ある!?」って感じの謳い文句だけど、でも「家」の本質って大体そんな感じかも。
過去と未来を抱き込んで、家主が去れば永遠に沈黙する場。
最後にちょろっと挟まれる「【いちねん型】は一年で自己完結します」の注意文も、それを承知で購入するなら自分で飾れる立派な棺だよねえ。
個人的には「こころに建てよう」が「ここ❁に建てよう」になるところにかなりゾッとする。
左胸に飾られた赤いパンジー、どう見ても銃痕なので……。
4つ目は「惑いの襞〜ドナイのことば〜」というミニ番組。
「その惑い、折りたたんで格納していませんか?」から始まるお悩み相談番組で、まずそのタイトルが「惑いの襞」なのがセンスいいなあ。
これも水飲み鳥が流行った昭和40年代頃の特撮を意識してるのかな?
「出かけるとき いつも雨に降られてしまいます」という可愛らしい悩みに
「あなたは雨に降られているわけではありません。
あなたは雨に降られていると一方的に思いこんでいるだけなのです。
そう、被害妄想のようなものなのです。
雨の方はあなたにその様なことをしているという意識はないのです」という
至極真っ当な意見を述べる一方、
「どうしたらあなたの被害妄想は取り除くことが出来るのか?」で
例えどんなお悩み相談も並行団地の勧誘に持っていける構成が見事。
「あたらしい生活を 再構築しましょう」というワードも特撮SFっぽくていいし、何よりどーんどーんどーんどーんと6回もアップに迫ってくるドナイちゃんが可愛い。
最後のキメ顔カットも格好よくてキュートだし、ドナイちゃんグッズとか出たら買います。並行団地に引っ越しもします。