2025年9月にはまっていた12曲分のうち、前半7曲分の感想文で、アーティストの五十音順にするとこんな感じ。
・浮森かや子『この世は地獄』
・GENERATIONS×Da-iCE『Grounds』
・DECO*27『モニタリング (Best Friend Remix)』
・NIKO NIKO TAN TAN『想|像 』
・ヒプノシスマイク -D.R.B- Rule the Stage / -Ideal and Reality- All Cast『QUEEN's Sanctuary』
・ぴゅあくる刀剣男士 / Ghostella『Ghostella』
・山本大斗『さよなら -SAYONARA』
綺羅星も野ばらも 欲しがりませぬ
この世はうつくしいだけの地獄
いや~~、今曲は声がいい!めちゃくちゃいい!
砂糖菓子のようなロリータゴシックボイスでありながら、要所要所で可憐の中にある真っ直ぐな芯を感じさせて。
現実でのロリータ服着用もそうだけど、個性を貫いてる人は周囲の目を跳ね返すだけの強さがあるんだよな。
それを体現するように、今曲の編曲はサーカス・ショウのような華やかさもあり、軍歌のような勇ましさもあり。
眠る少女の夢の中みたいなトイピアノとオルゴールの中で鳴り響くシンバルは戦争の色をしている。
事実「戦火の窓にも 蜜蜂は踊る」「泥にまみれて 息急き駆けても 地獄の果てが 見附からない」と言っているしね。
夢見る少女が夢見る少女では在り続けられなかった戦争という地獄。
それでもその環境で己の矜持を貫き、「壊れた手肢を組み立て直し 透き通るつまさき に靴を履く」彼女の勇敢が眩しいよ。
MVに使われている絵も良い!
アナログ・レトロな筆致と彩色、クラロリ(エレガントでクラシックな雰囲気のロリータファッション)の服に国が戦争に突入する前の豊かさを見ます。
重なり合う2つのFootage
あの頃と変わらないMessage
Da-iCEとGENERATIONSの初コラボ曲。
Da-iCEのデビュー曲が『SHOUT IT OUT』、GENERATIONSのデビュー曲が『BRAVE IT OUT』であることを考えると、サビ後半に「Brave it out×2 Shout it out×2」と入れてくれる今曲はめちゃくちゃいいコラボ曲。
その時の動きも当時のデビュー曲の振り付けだし、コラボした以上は両者の歴史を繋げて、今とこれからを応援したいという意欲を感じるところに好感が持てます。
やっぱりサビの「重なり合う2つのFootage あの頃と変わらないMessage 送り続けて 始め続けていく」が良いんですよね。
Da-iCEのメジャーデビューは2014年でGENERATIONSは2012年。
どちらももう10年以上は活動しているグループが「あの頃と変わらないMessage 送り続けて」と言ってくれるのがいいんです。
1番Aメロ「何にも代え難い経験 地層のように折り重なってる まだ深く潜っていく」にも彼らの音楽に向き合う姿勢がちゃんと言葉にされてる。
タイトルがなぜ『Grounds』であるのか、もうここでその意味が分かるよ。
MVの流動的な振り付けもめちゃくちゃ好き。
みんな膝を使うのが上手いというか、12人全員揃っていてキレがあるのは前提の上で、プラス柔らかなしなやかさを感じさせるのが上手。
1番「折り重なってる」で全員跳ねてステップを踏むところと、「あの頃と変わらないMessage」で2回首を傾げてこちらを指差すところ、「Brave it out×2 Shout it out×2」の口元を隠す動きなんか、見ているだけでこちらまで気持ちいい。
それでいてバク転もしっかり決めちゃうところが、さすが歴戦のボーイズダンスグループという貫禄だな。
私はGENERATIONSの数原龍友君のファンなのでやっぱり彼の挙動ばかり目で追っちゃうね。
2番Bメロ「その高鳴り 芽吹かせて」のビジュなんて完璧すぎる。

オールバックに黒サングラスにゴールドのネックレス。
このワイルドさを私はLDHから摂取したいんです。
つらい時は弱いくらいで丁度いい
あたし、きみの味方だよ
↑普通に泣いてしまいますが……。
原曲(Best Friend Remix じゃない方)が出た時は、まさかその後にこんな爽やかであたたかく、人の善性を信じている友情バージョンが出るとは思わなかったです。
MVのラストはここからまた原曲のサイコっぽさに繋がるようだけど、私としてはこの友情はこの友情のまま、綺麗で完璧なものとして覚えておきたいよ。
「きみはひとりか それは違う ひとりじゃない」って断言してくれたミクの声を信じ続けていたいの。
「つらい時は弱いくらいで丁度いい」「名前を呼んでよ いつだって会いに参上」の時のミクの笑顔も可愛くて格好良くて。


もうこの表情だけで泣ける。
真っ直ぐ友達のことを心配して、友達のために行動出来るのって、やっぱり学生じゃなきゃ難しいじゃん。
社会人になったら仕事もあるし、家庭もあるし、友情を最優先にするのって難しいけどでも今の10代でなら出来る。
青春の苦悩と友情によるその克服を経験して大人になれた人は幸せ者だよね。
想像して 目を見て
夜が明けるまま
NIKO NIKO TAN TANとは2019年に結成されたクリエイティブミクスチャーユニットで、今曲の印象だけで言うならサカナクションに近い音楽性かも。
ABメロは淡々とした一定のリズムを保ち、サビで一気にメロディアスでエモーショナルなメロディーを入れてくる構成とかがね。
MVのビジュアライザー映像を見ていると、平成時代の深夜にタイムスリップした気がします。Windows98とかXPあたりの。

25画面で展開される映像は見ているだけで画面酔いしつつ、でもこの3Dと2Dごった混ぜ状態の渦流が平成時代に夢見た近未来を想起させてくる。
ピロピロしてうにゃうにゃしたシンセサイザーにオブラート1枚隔てたようなエフェクターボイスの男ボーカルが、それでも「想像して 目を見て 呼んで 名前を」と言う。
その真っ直ぐな訴求が心の懐かしくて変わらない場所に刺さります。
Hey girls, we go 行こう
ヒプステ中王区、今曲がすごく良かったから千秋楽公演の配信観よう!と思っているうちに月日は流れあっという間に色々終わってました。
まあアマプラで配信されたら観るという形で。
各個人ラップで一番好きなのは仄仄パート。
「あらあら 哀れ虫螻の巣 壊すおままごと」「ん~暇つぶしにもなんない」「ねえもっと滾らせてちょうだい」とか、全部語尾に♡ついているのが透けて見えるくらいのドSっぷりがたまらない。
合歓の後というのがまた場の雰囲気を一気に変える良い配置だよね。
私は合歓の金切り声すれすれの高い声も好きです。
私にはない若さと張りを感じるから。
結局この曲の頂点に立っているのは「さあ、狂い咲け」と言う東方天乙統女なのもまた良き。
歌唱キャラ全員が「行こう」と声を重ねるところ、客層がほぼ女であろう私達観客にそう言ってくれるところにいつも涙が出そうになります。
やっぱり私は女なので、彼女たちが女としての尊厳を掴み取るためにかける戦いに泣けてきちゃうんだよな。
最高温度の熱で 最高難度の夢へDive
今曲をリリースしている「ぴゅあくる刀剣男士」とは、3Dモデルの刀剣男士によるバーチャル音楽ライブプロジェクトとのことで。
ぴゅあくるの意味はぴゅあでクール、Ghostellaというグループ名はメンバー8人全員が江(刀工・郷義弘によって打たれたとされる刀)だから。
Gho(江)+stella(星)でGhostellaとは上手いこと言ったもんだなと思います。
もしかしたらGhost(幽霊)としての意味も多少混ぜているのかも?
幽霊、亡霊、人ではない付喪神としての存在達。
作詞作編曲をHoneyWorksとそのメンバー:shitoが手掛けただけあって、すごく聞きやすくてキャッチーな王道アイドルデビュー曲になっているなと思います。
明るくて爽やかで、それでいて確かな熱量がある。
「OK!」や「Hey!」でのコール&レスポンスもライブを見据えてのことでしょ?
それに加えて2DMVのクオリティがめっちゃ高い!
モーショングラフィックスやカメラワークにキレがあって、ちゃんと実在する男性アイドルのMVっぽいしステージっぽいんだよね。

↑このカットのフォントとか配置位置、ライブDVDのCMで普通にありそう。
YouTubeの概要欄にMV映像制作会社のクレジットは載ってなかったけど、光と音ハメでの気持ちよくさせ方がプロ。
もしかしたら本物のアイドルのライブ映像なんかも手掛けてるところかも。
少なくとも絶対に腕のあるところが作ってるよね。
あと声で言うなら、1番とラスサビの「夢を紡ぐ」「守りたいんだその表情 語りきれぬ無限の愛情」を担当している篭手切江(CV.広瀬裕也)が好きだな。

顔も可愛い!
無くしたってまだ残ってる
微かなあなただけ
夏の乾きを感じるアコギの上に湿った色気を含む山本大斗の歌声が重なる、それだけで決まる格好良さがあるね。
繰り返される「さよなら」はただの失恋のような気も、MVのサビでスパークする爆撃のような火花と血糊のように塗り潰す朱のライトを観ていると死のような気もする。

今曲のMVを観ていると、幼少期の花火大会で感じた死の気配をはっきりと思い出します。
今、この花火を一緒に観ている祖父母も父母もいとこも兄弟も、ここにいる全員いつか必ず死ぬと突きつけられて怖くなった、ぬるい夜の記憶。
歌詞で言えば1番Aメロでは「涙が夜満たすまで 終わらないすれ違い」だったのが2番では「涙が夜満たして 何かが終わる予感」になるところが好き。
すれ違いではない何か、より決定的な何かが訪れて二人の関係性が終わる予感に震える心が好きなんです。
余談
急に9年前の思い出話をし始めて悪いんですけど、私にとって刀剣乱舞ならではの曲といえば2016年秋アニメ『刀剣乱舞-花丸- エンディング』第2話ED、『心魂の在処』なんですよ。
特に2番の「幾重にも枝分かれし運命を 再び辿る事の重さ 眼を伏せてなお残る紅き焔の色」がやばいの!
だって「幾重にも枝分かれし運命を 再び辿る事の重さ」が指しているのは原作ゲームのストーリーそのものでもあるし、
西暦2205年。歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって 過去への攻撃が始まった。
時の政府は、それを阻止するため「審神者」なる者を各時代へと送り出す。
審神者なる者とは、眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる、技を持つ者。
その技によって生み出された付喪神「刀剣男士」と共に歴史を守るため、審神者なる者は過去へ飛ぶ
ゲームのプレイ画面そのもののことでもあるから。
加えて「眼を伏せてなお残る紅き焔の色」ですよ!
この「紅き焔」は自分の主君が死ぬ間際まで経験してきた戦火のことだろうし、もっと言えば自分の素となる玉鋼が溶かれ打ち出された時の火花かもしれない。
最期の記憶と最初の記憶、人間では持ち得ない2つの瞬間を「物」故に刀剣男士は持って今、ここにいる。
そんな重さを日常ほのぼの番外編アニメEDの2番で明かしてきた事実に当時の私はえらく興奮しまして。
ラスサビ最後のフレーズが「さぁこれから 見送ろうか 留め置いた 孤独に啼く過去」なのもたまらないです。
もう皆仲間が出来て、一人じゃないんだなあ……。
