Apple Arcadeに加入しているので、アプリゲーはもっぱらApple Arcade産のものばかりやっています。
その中で特に私の琴線に触れたゲーム『Assemble with Care』をご紹介。
プレイ時間は2時間で、ED分岐はなし。
世界を旅してアンティークを修理しているマリア。
太陽が降り注ぐ町ベラリーバに到着したとき、壊れているのは物だけではないことを、彼女はまだ知る由もありません。
マリアの願いは、町の人々の大切な物を修理すること。
けれど、本当に壊れかけているのはそんな住人たちの人生だと気づいたとき、マリアはひとつひとつ修理しながら、バラバラな心をつなぐ方法も見つけ出すことになります。
内容としては上記の通り、修理を生業とする主人公:マリアがとある町に辿り着き、そこに住む人々の壊れた物を次々と修理していくパズルもの。
私はこの修理パズルがほんっっっとうに大好きで!!!!
トレーラーを見てもらえば伝わると思うんだけど、実際にある商品のネジを外してパーツを取り替えてまたネジを戻す、それだけのことがこんなにも楽しい。
『プラトモ』とか『ナオシーノ』といった、プラモデルパズルアプリが好きだったから、今作の修理パズルもすんなり理解できた。
今作で修理可能なアイテムは13個。
オルゴールだったり腕時計だったり、カメラだったり、スライド映写機だったり。
その全部が所有者にとっては思い出の詰まったかけがえのない品で。
どれも皆、穏やかな色彩の床の上で、また新しく動き出せる時を待っている。
新しいステージに進み新しい修理物を目の前にする度、しばし手を止めて見惚れてしまうくらいに美しいプレイ画面でした。
メニュー画面を呼び出す際にタップするのが手前のコーヒー入りマグカップだというのがめちゃくちゃお洒落!
毎回新しいコーヒーを淹れて、リラックスしながら最初のネジを外していたこと。
主人公のラフで鮮やかな手付きがプレイヤーにまで伝わってくる、秀逸なUIデザインだと思う。
またUIだけでなく、ステージ選択画面やストーリーの表示方法も気が利いている。
余白たっぷり、ハイブランドの雑誌紙面っぽいデザインというか。
上から下へスワイプしてどんどん読んでいけるのも雑誌っぽかった。
いちいちクリックする必要がないのでストレスが皆無なのが嬉しい。
プレイ中にどこも引っ掛かるところがない、スムーズで滑らかなゲーム体験でした。
プレイ時間は約2時間で、iOSとsteam版で展開中。
iOS版と比べればsteam版は横に画角が広くなり、贅沢な画面の使い方をしてる。
けれど、個人的にはiOS版がおすすめ。
タッチ操作による直感的な修理を体験して欲しいし、このゲームのためにApple Arcadeに加入したって損はしないはず!
ストーリー&キャラだって、めちゃくちゃ良いしね!
ゲーム内で関わるのは、どちらも双方にわだかまりがある父娘と姉妹の2組。
個人的には市長であるお父さん:ジョゼフのビジュアルと、バリバリのキャリアウーマン風お姉ちゃん:ヘレナの言動がすごく好き。
まずこの市長兼お父さんの立ち姿、なんかめっちゃエロくない!?
堅物眼鏡で神経質そうに筋ばった体格なのに、腰回りのスマートさに色気がある。
髪もサイド刈り上げでともすれば不良にも見えるデザインなのに、眼鏡と物憂げに伏せた視線のおかげでアンニュイなインテリに見えるところが流石。
娘と仲直りした時の笑顔もさ~~~、困り眉だけど歯を見せて笑うところに彼の無邪気な父性が感じられていいよね。
私の好みド直球過ぎる男で震えるよ、本当に妻帯者か!??
ヘレナについて理由は後述するけど特に姉妹百合が好きな人は四の五の言わずに今すぐプレイした方が良いです。
以下はストーリーのネタバレ注意。
Apple Arcade版の月600円もしくはsteam版の820円、どちらも破格と言っていい出来だと思うのでぜひぜひ購入を。
美しくないところが一つもない、私にとっては最初から最後まで完璧だったゲームの一つです。
ネタバレ感想
カフェ店主の妹:カルメンとキャリアウーマンだったお姉ちゃん:ヘレナの話、すっっごくツボでした。
私は数ヶ月前に失業したの。貯蓄もほとんど使ってしまった。
私には何もないのよ。私が出ていってから、お互い遠くに流れていってしまった。
つなぎとめているのは、私の口座の残高だけみたいな気がした。本当の事をいわなければいけないのはわかってる。
嘘はいけないもの。
でも、もう何もかも失ってしまった。
妹まで失ったらどうなるの?
わ!最高の姉妹百合キタッッ!!!(大興奮)
小汚いカフェで燻る妹に金を無心されて、嫌味を言いつつ出してしまうのはヘレナの方がずっとずっとカルメンに必要とされたかったからなんですよね。
ばりばりのキャリアウーマンとして生きてきてしまったけれど、本心ではずっと温かい家族愛に焦がれてた。
その不器用な献身さが痛々しくて好きです。いいお姉ちゃんだ。
しかもカルメンのために給料を3ヶ月分はたいて買った自分のカメラを売りに出してくれるんですよ!??
あのカメラは気に入ってたけど、妹のことはもっと好きだから。
で、カルメンの方もそこまで自分のためにしてくれたヘレナのために、エスプレッソマシンを組み立ててラテアートを淹れようと頑張るんですよ!
このストーリーは本編ではなく、発売後に追加されたエピローグというところもたまらない。
主人公の手元には常にコーヒーがあったけど、カルメンの手元にあるのはチョコチップクッキー。
カルメンがヘレナのために添えたのは、少し固めのビスケットで。
そこの対比が上手いなーと思います。
結局はお互い大好きお似合い姉妹なんですよね。
スライド映写機を修理する際に映った幼い2人のスライドにはうるっとくるものがありました。
故障した物達を直すだけでなく、その先にある人間関係の修復を真に描こうとしている姿勢が私は好きです。
すごく優しい眼差しをしているんですよね。
修理したアイテムで出来ること
エスプレッソマシンでコーヒーを淹れられるように、スライド映写機で思い出を壁に写せるように、他のアイテムでも修理後に色々出来るところが面白かったです。
ガスバーナーでスープを作れたり、どこからどう見てもゲームボーイアドバンスSPでしょっていうゲーム機で実際にミニゲームが出来たり。
特にミニゲームの内容、自然の中で鳥の写真を撮るっていうのは、同制作スタジオの次作品『Alba Wildlife Adventure 』への布石みたいで感動しました。
『Alba Wildlife Adventure 』もめっっちゃくちゃ面白い鳥撮影図鑑収集ゲームかつ、switch&Apple Arcade&steamで展開していて手に取りやすいのでおすすめ!
始まりの鞄と旅立ちの鞄
私が今作で一番気に入っているのは、1章:到着のステージと13章:出発のステージが同じスーツケースってこと。
到着して自分の荷物をどんどん出していくだけの荷解きが、出発では皆がくれたシャツやレシピを大切に詰めていく旅支度になる。
色々な人に出会って、色々な人の人生を変えて、去る時はスーツケースに入るだけの思い出だけを携えて。
そうやって次の町にまた渡り歩いていく。
主人公の修理人としての旅はきっとこれからも上手くいくんだろうと思わせてくれる、どこまでも柔らかなこのゲームの後押しが私は大好きです。