散り惜しむ 君を象る夜雨 / やなぎなぎ「間遠い未来」【感想】

アニメ「覇穹 封神演義」EDである、やなぎなぎ間遠い未来」を聞いた。

タイアップ先の作品はよく知らないが、それでもこの曲そのものが持つ潤わしさだけで泣いている。 

間遠い未来

間遠い未来

  • provided courtesy of iTunes

いつか いつかの約束を 次の星が回るまで

やなぎなぎの声は優しく澱む酸素で、作編曲:黒石ひとみの音楽は歌詞通りの夜雨で。
霧と霞の中で朧気に滴り落ちてくる、露のような眠らせ歌だと思った。
 
この曲を聞いている間、ずっと思い出していた夜がある。
私が住んでいる地域ではとても珍しい、濃霧注意報が出ていた、数年前の夜。
すぐ側の街灯や、近くのコンビニの内装すら見えないほどの、強い白霧が見慣れた景色を覆っていた。
その細かな水の雫に肌が濡れて、夜が潤むというのは、世界が安らいでいるというのはこういう事だと直感的に感じた、あの夜。
 
パーソナルで些細な記憶が、音楽の力でほんの僅か目覚める。
それだけで、どうしようもないほど泣ける。
この曲が作られて、歌われて、発売されて、それを私が聞いて、私の記憶がまた更新される。
私は、この潤みに相応しい景色を見たことがあって、また次の霧に肌が濡れた時はきっとこの曲を聴く。
そういう記憶の引き出しとなるような音楽に出会えた事が嬉しい。
 
歌詞を見るに、この想いすら作詞者の意図通りだと思うから、やっぱりやなぎなぎの作詞は最高。
タイアップ先の作品にいる、想い人と離れ離れになりながらも、一人で生きていく女キャラの心情を歌ったものだと思うんだけど
それでもこの曲だけで、ちゃんと物語として泣ける。
追憶だけが 寄す処
重要なのは、愛しい人が側にいる、いないではなくて、その人の何が自分の支えになっているのか。
彼女にとっては、何にも損なわれることのない、自分の記憶と彼との約束。
自分と君を揺るぎ無く信じ、祈ることの出来る、強い人だと思う。
 
あとただ単に、やなぎなぎの声で『いつか いつかの約束を』と祈りの言葉を聞けるのがたまらん。