復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

真っ青に澄み切った空で 蒼穹のファフナー (1期) 7~9話 感想

 

蒼穹のファフナー Arcadian project 03 [DVD]

 

蒼穹のファフナーDVD第3巻(7~9話収録)を見た。
空の蒼さが残酷に写るほど、喪失の痛みに満ちた話の流れだった。
何かの本で「日本人はテキサスの澄み渡った青い空に耐えられない」と読んだことがある。
四季が豊富で、稲作を中心に発展してきた日本人にとって、
変化することのない晴天というのは不安を煽るものだと。
前巻でもこの巻でも、ファフナー搭乗者から脱落する者が出た。
その二人が意識を手放すときも、空はいつも通り青かった。

 

 

7話 家 おやこ 賊

f:id:iroribatadanngisitu:20151129183130p:plain

 (えっ、君ら連れだって墓参りに出かけるほど仲良かったの?)

翔子の弔い&要咲良と春日井甲洋のパイロットテスト回&甲洋の犬探し回
はたから見れば翔子のやったことは、重要な戦闘機一機を犠牲にした独断行為だ。
要咲良は「戦って満足して死んだんだよ、翔子は」と語り
春日井甲洋は「翔子は苦しんで…苦しんで死んだんだぞ!?」とこぼす。
残された者が、取りたいように取る死者の行動。
そこに死者の願いが介入する余地はきっとないのだろう。
甲洋が飼っていたいた犬のショコラは羽佐間容子に引き取られることに。
個人的には全くショコラが可愛いと思えないのだが、 

f:id:iroribatadanngisitu:20151129182708p:plain
(ちょっとリアルすぎて…その…)

娘を失った母親である容子の傷が少しでも癒えるならそれでよかったと思う。

 

 

8話 確 こうよう 執

f:id:iroribatadanngisitu:20151129190516p:plain

(建物は石造りの中世ヨーロッパ風。島ごとにコンセプトがあるのか?)

未知の島探索回。
確執と書いて「こうよう」と読まれたら、甲洋好きとしては少し心が痛む。
そりゃあ好きな子が他の男のために死んだら自暴自棄にもなるだろって。
ただこの回は個人的な心情よりも、物語の設定が大きく動いた方が印象。
例の「階段で行けていいんか~~~い」と思った島の最深部に囚われている少年少女。
その者が「他人と同化する」能力を持っていたり、言語を発声することが出来たり、赤い液体外でも活動できることが判明。
囚われていた少年は島の上空へ浮かび、青年へと姿を変える。 

f:id:iroribatadanngisitu:20151129184055p:plain  f:id:iroribatadanngisitu:20151129184139p:plain f:id:iroribatadanngisitu:20151129184033p:plain

何でやねん。

これと上記フェストゥム捕食シーン が意味不明すぎて他の感想が吹っ飛んだ。
フェストゥムって人間を捕食することも可能なのか、それとも捕食することが目的なのか。
どっちにしろ絵面がエグいのは勘弁してほしいものだが…無理か。

次回予告で「ねぇ、春日井君…目を覚ましてよ」と甲洋の死亡フラグが屹立しているのが
「次回までに心の準備しとけよ!」と言われているようで、逆に親切だなあと思った。

 

 

9話 同 わかれ 化

f:id:iroribatadanngisitu:20151130174430p:plain

(甲洋の瞳孔は美しいなあ…)

もうタイトルからして死亡回だと宣言しているようなものである。
それでも「同化」と書いて「わかれ」と読ませるタイトルセンスはかなり好き。
探索していた島は自爆装置によって消滅し、甲洋は敵によって同化された。

だが彼はまだ死んだ訳ではない。
同化現象を無に返す技術がこれから出てくるかもしれない。
私は、Arcadian職員(?)の「息子さんはまだ生きているんですよ」の一言に救われた。
だが春日井の両親にとって、その言葉は絶望で。
甲洋の延命装置を切ろうと震えた手もまた一つの「おやこ」のかたち。
もしまた甲洋が目覚めた時、帰る場所が溝口がマスターとなった喫茶店「楽園」で
迎える家族が羽佐間容子が世話したショコラであって欲しいと願わずにはいられない。

Bパートで何だかんだ真矢に後輩が出来たり、
小楯 衛の「生徒の数が減ったからじゃないの」という発言は未来への伏線か。
最後の最後でま~~たこの二人は海を見ながら言葉を交わす。

f:id:iroribatadanngisitu:20151130175948p:plain

(そんな服、島内で売ってんの!??)

一騎「ファフナーと俺たち、お前にとってどっちが大切なんだ
総士どんな返事を期待しているんだ

この発言、総士は一騎が望めば一騎の望むような返事をする気があったのだろうか。
毎度お馴染みポエムも
失ってはならないものがあった。
それを守るためなら、目の前にある小さなものなどいくらでも捨てられた。
そのせいで結局はすべてを失うことになると分からず 小さな自分を守り続けていた
総士の感情をストレートに表したものになっている。
そしてEDは angela 「Separation [mf] 」
本当にこのピアノアレンジはズルすぎだろう。
翔子の場合と違って甲洋はまだ死んでいないのに、もう天へと旅立った気がしてしまう。

 

という訳で蒼穹のファフナー第3巻だった。
翔子の死を引きづったまま、甲洋も同化されるという全体的に暗い展開の巻。
angelaが歌うEDもそれに切なさを加えて物語を締めるものだから
見終わった後も、このアニメの悲しみを引きづってしまう。
もうこうなったら、はやく見終わってしまいたい。そうじゃないと精神の体力が持たない。

ちなみに7~9話内で一番興奮したのはこの場面。

f:id:iroribatadanngisitu:20151130173802p:plain

8話で甲洋がフェストゥムから同化攻撃を受けた際、
どうやらリンクしている総士にもダメージがくるらしい。
「くっ…」といううめき声と
右目が長髪で隠れているというフェティシズムがたまらん。