復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

東京訪問記④漫画家・森薫と入江亜季展@世田谷文学館

2025年1月18日に東京の有明アリーナで開催された中島健人君のLIVEを観に行ったついでの観光記。

2日目は有明から神奈川県川崎市の藤子不二雄ミュージアムに向かい、午後は東京世田谷区にある世田谷文学館へ。

目的は2024年11月2日~2025年2月24日まで開催されている『漫画家・森薫と入江亜季 展』を観るため。

玄関の扉に展示描き下ろし新規絵がどーんと載るの、特別感あって良いね。

お目当ては森薫先生の『シャーリー』原画。

この絵がどうしてもリアルで見たかったの!

『シャーリー』は森薫先生が2003年に1巻、2014年に2巻を出したメイド日常漫画。

2巻しか出てない漫画ではあるんだけど、私が電子書籍を買うようになった本当に初期に買った作品だからすんごく好きで、印象深くて。

私のAmazon購入履歴では2015年2月7日になっているから、もう9年経ってる!

 

原画展はフラッシュなしのスマホのみなら撮影可能。

というわけであちらこちらでシャッター音が聞こえるなか、私も写真を撮りまくりました。

カメラロールを確認したら120枚撮ってたし……。

 

今回ブログに載せるのは主に『シャーリー』分のみだけど、それにしたって一部分。

展示品の割合として、50%は入江亜季先生、20%がそれぞれ森薫先生の『乙嫁語り』『エマ』、5%が短編読み切りで『シャーリー』が5%くらいの印象かな。

その5%だけでも相当な量があって、一通り見るだけでも1時間半かかりました。

20年近く前の2巻しか出ておらず、アニメにもなってない漫画の原画やグッズが今更こんなに見られるなんて感無量だよ。

 

まず入って見られるのが、作者それぞれ直筆の展示会描き下ろし絵。

森薫先生の読み切り&連載作のほぼ全ての主要キャラが描かれているはず。

私が特に好きなのはこのシャーリーと、主人であるベネットさんの部分。

シャーリーの仕事にニコニコ顔のベネットさんが超可愛い。

ベネットさんの耳辺りにシャー芯の下書き線が残ってるのって写真でも見えるかな?

こういう本来なら消えてしまう線が残っているところに作者の息吹を感じて感動します。

 

続いて『シャーリー』のコーナー。

ここでは同人誌時代の表紙が見れてすっっごく嬉しかった!

Amazonでも電子書籍で買える1巻は、この同人誌の再録という形。

この表紙は単行本には載ってなかったし、20年以上前の個人誌の表紙が今も色褪せずにこんなに綺麗なまま残ってるのも愛だよね。

一番右、赤紙の表紙の雰囲気もクラシカルメイドっぽくて素敵。

 

何とここでは、どでか布印刷の1巻4話『家』の扉絵も見えます!

デカい!嬉しい!

私の背丈以上はあったので、2mくらいの垂れ幕になるのかな?

近づけばトーンのドットの質感まで綺麗に見えるところがすごくいい。

それにこれって仕事から帰ってきたベネットさん視点での絵だよね。

真っ暗な夜の中でも、家の中に光を灯したシャーリーが待ってて玄関の扉を開けてくれる。

一人暮らしでは得られないこの温もりに、ベネットさんとシャーリーの二人が仲良く暮らしている意義を見ます。

 

私がこの漫画を好きな理由って、この女主人と少女メイドの二人暮らしがあまりにも夢のようだからなんだよね。

例えば2巻5話『届け物』の扉絵。

庭の手入れをしてるベネットさんにシャーリーがお昼ごはんを持ってきてるっていう一枚絵なんだけど。

見て!このバスケットの中身と皿の上のサンドイッチ!

サンドイッチもりんごも偶数個ずつあるの!

ちゃんと二人で一緒に庭で食べるんだよ~~~!

私だって優しい雇い主の下で可憐なメイド少女になって、こんな暮らししたいんですよ!したいの!(大声)

 

2巻5話『届け物』の話自体もすごく好きだったし、次の6話『お願い』もめちゃくちゃ好きだったので、その最終ページの直筆原稿が見れたのも嬉しかったな。

その夜 夢を見た

夢の中では人形に作った服を着て
両手にリボンを結んだハタキを持ち

音楽に合わせて ふたりでずっと踊るのだ

ふたりでずっと踊ってくれ……。

手書きのセリフが見れたのもじ~んとしたし、トーン削りやホワイト飛ばしも職人技でした。

こういう単行本に収録されていないコラムも貴重!

展示会のグッズ売り場付近には先生へのメッセージが描けるスケッチブックも置いてあったので、ずっと『シャーリー』が好きだったことと、「3巻もぜひ……!」と書いておきました。

あ、厚かましくなかったかな!?

 

続いて、漫画家の展示関係では王道の「漫画ができるまで」コーナー。

これをシャーリーのあの靴の絵でやってくれるとは思わなくて、嬉しさのあまり叫びだしそうでした。

あの見開き絵は、私がまだ絵を上手になりたいと思っていた頃に模写したこともあった絵だから余計に興奮しちゃって。

私もこのラフの靴レベルの絵なら描けるんです。

人物画はこの時点でもう無理。

エプロンとスカートのあの優美な膨らみの線を、どうしてああも的確に引けるんですか?

それがペン入れでこうなって

トーン貼りでこう。

上手すぎないか、絵が……。

生で直に見ると「えっ、この細さの線をこんなにも美しく、こんなにもたくさん!?」と呆然とするしかなかったね。

スカート全体を手でたくし上げる時の布の描き方やフリルの描きわけ、「絵が上手いというはこういうことを言うんだ」とぶん殴ってくる華やかさにやられました。

 

近くには森薫先生の机が再現されているコーナーがあって、使用画材が知れたのもファン的にはにやにやポイント。

このサイズの用紙にあんな細いペン先で、あんな緻密な世界を……。

モノクロ原稿だけでなく、カラー絵用の机まで再現してくれてて太っ腹!

ああいう水彩絵の具とか筆とか、私は中学の美術の時間で使ったきりだけど、森薫先生は今もほぼ毎日握っておられるんだろうなあと思うと、かけてきた時間の違いに圧倒されます。

 

あと展示物で一番驚いたのがこれ、『シャーリー』のTo Doリスト!

今からでも再販しませんか!?

まず『シャーリー』にこんな可愛くてぴったりのグッズが存在していたのが初耳でした。

雑誌か何かの付録だったのかな?

シャーリーの思案顔が新鮮だし(作中ではずっとテキパキしてるので)何よりメイド漫画のグッズとしてTo Doリストは大正解すぎる。

実際手元にあったら可愛すぎて一枚も使えないだろうけど……でも1ページ頂けたらコピーして使うんで、コンビニでのネップリ配布とか検討していただけませんか?

 

 

以上!

繰り返すけど、今回私が載せた写真は『シャーリー』の分だけでの約半分、展示会全体で考えたら3%あるかないか。

これの数十倍の情報量が詰まっている展示会なので、森薫先生と入江亜季先生、どちらかの作品を読んだことがある人なら行った方がいいよ!

森薫先生と入江亜季先生のコラボ絵も複数枚あったことだし。

これは前に雑誌の企画で行ったコラボかな。

『乙嫁語り』の服の柄、細かすぎてやばい。

そもそもの手先が器用じゃないと漫画家ってなれない気がしてきた……。

 

会期中盤の1月の日曜日、午後1時過ぎでも結構人は入っていました。

50人ぐらいは鑑賞者がいたような?

私が行った時は子どもの姿が一切なく、ほぼ全員の大人から「この作者のこの漫画のこの絵を観たくてここにきました!」というオーラが全身から漂っていて、妙な仲間意識を感じました。

皆、めっっちゃ真剣に観てたし、真剣に見るべき展示会だったと思います。

 

まあここで真剣に展示会を観ていたことで昼食を食べ逃し、東京訪問記①の超絶体調不良に繋がるんだけど。

4回続いた東京訪問記もこれで終わり。

肝心の中島健人君のライブは一分一秒一瞬全てが最高に格好良くて、目を開きながら見る夢だったし、詳しい感想はライブDVDが発売されてからにしたいので。

 

とにもかくにも楽しい2日間でした。

最後の日に藤子・F・不二雄ミュージアムとこの展示会をハシゴして良かったな~。