2025年9月12日から10月6日まで京都高島屋S.C.で開催されていた『田中達也展 みたてのくみたて in 京都』に行ってきました。

ミニチュア写真家、見立て作家として活躍する田中達也氏の作品がミニチュア・写真含めて160点ほど展示されており、一周するのにかかった時間は1時間半。
すっっごく面白かったです!
多種多様な洒落をひらめくユーモアとそれを形にする実力に感心しっぱなしでした。
というわけで以下、展示されている中でも個人的に特に気に入ったミニチュア7作品と、写真3点をご紹介。
ミニチュア作品

手術を受けるブラックジャック
め~~~っちゃ好き!
手塚治虫由来のブラックジャックを手術を受ける患者側に反転させたことと、その胸を切り裂いた中にはハートの心臓が入っていたところにめちゃくちゃ感動しました。
ジャックの横を向いた横顔も手術シーンにはお誂え向きだし、かかっているシーツもトランプの表側なのがこれまた最高です。
ほぼ同胞を被せているのも同然じゃんね(笑)

今日も1日ガムばろう
粒ガムを4粒組み合わせ椅子に1粒のまくら。板ガムのシーツに銀の包み紙のマットレスと掛布団。
このミニマルさとグリーンアップルの緑がモーニング・ルーティンの爽やかさにあってる。
大きさとしてはすごく小さいんだよ。全作品これ↓くらいのサイズ。

目を凝らさないと細かいところまで見れず、でも目を凝らすからこそ作者の意図に色々気づけて楽しかったな。

当分は糖分を控えてください
これもね~~~、すごい!
ウエハースの寝台にシュガーレイズド・ドーナツのガントリ、操作コンソールまでキャラメルとホワイトチョコレートから出来ていて、お菓子の家ならぬお菓子のCT装置。
診察されている小太り中年男性がこんなにも甘いもの好きっていうのも微笑ましいな。
それとは対象的に「当分は糖分を控えてください」と言う医者のしかめっ面も笑える。

この波にかける
半透明の青いハンガーを50枚ほど束ねることで波のうねりを表現できると気づくそのセンスにまず脱帽です。
プラスチックのある種チープなブルーがマリンスポーツという単語の爽やかさを体現しているよう。
あと個人的に感心したのが影の部分。
半透明な材質のおかげで影が濃い青、それこそウルトラマリンブルーになっていて、その青は海中のようにも、入道雲が落とす日陰のようにも見えて綺麗。

ジム用品
ダブルクリップのランニングマシンにホッチキス針のプレスベンチ。
またこの2つの組み合わせで、背筋を鍛えるマシン(ラットプルダウンと言うんだっけ?)まで表現出来ているのがすごすぎ。
シルバーとブラックの2色は肉体鍛錬に励む男たちのいぶし銀という感じで光る一方、それを文系筆頭事務職事務用品で表す発想も好き。

菓製婦は見た
「家政婦」を「菓製婦」に転換出来ているだけでおおーって思うのに、その業務内容をポテチのアイロンがけにまで繋げられますか、普通!?
シワになっているのはカルビーのア・ラ・ポテトで、ぴしっとなっている方はヤマザキビスケットのチップスターかな?
アイロンをかけることで、生じゃがスライスチップスを成形ポテトチップスに変えているという解釈にも取れるのがニクいね~~。
またジャンクフード筆頭のポテチをこんなにもクラシカルなメイドさんやアイロン台で綺麗にしているという点もポイント高いな。

えんぴつがカットにやってきた
いや、ちょっともうすごすぎる!
これまで展示されてきたミニチュアよりも規模が大きい作品で、どうやら本人著『おすしが ふくを かいにきた』という絵本のために作られたものみたい。
対象年齢:幼児~小学生の子供達のためにここまで作り込んでいる姿勢に感激する一方、これは大人になって見ても興奮する。
だって1つの物で2つ以上の物を再現しているんですよ!??
・ダルマピン:施術台ごとの照明、台の上に載っているヘアミルクといったポンプ類
・鉛筆削り機:各台のドライヤー、ゴミ箱、サインポールの土台
・ダブルクリップ:ちりとり、施術台の手すりと脚
・透明定規:鏡前の長机、ガラスウインドウ
見れば見るほど「すげ~~~!」としか言えなかったね。
他にもセロハンテープ容器を2台重ねたレジ台に目玉クリップのレジスター、汚れたら剝がせるふせんで出来ているウェルカムマットにも感嘆。
美容院の目印であるサインポールが鉛筆で出来ているのも、鉛筆専用の美容院ってことを示しているんですよね、きっと。
鉛筆削りの様子を散髪に結びつける発想の上に、重ねる見立ての技術が本当に凄まじい。
と同時に、ここまでの作り込みを要求する絵本という媒体の厳しさも感じます。
絵本、子供だましという言葉から一番遠いコンテンツかもしれん。
写真作品

チキュウヲ、スクイニキタ
ここからは写真展示作品で。
といってもどの写真の額縁にも使われているミニチュアが展示されていて、見ていて十分楽しかったな。
例えば今作で「チキュウヲ、スクイニキタ」と言っている宇宙人スプーン。

このちっこさが可愛い~!
銀色のスプーンを宇宙人に見立てた上で、「スクイニキタ」のが救いに来たのか、掬いにきたのか、好意とも悪意ともどちらにも取れるセリフがいい味だしてる。
まあ2枚目、コックとウェイターの「ほえ~」という様子から、そこまでの敵意は無さそう。
UFOからの下船を透明ガラスコップ、UFO本体が銀のクローシュ(料理に被せる蓋)で出来ているのもどこか平和的。
食事という生活に最も根ざしたもので構成される異星人、あんまり怖がりようがないよね(笑)

音速の貴公子
イヤホンのスピーカー部分はフェンシングマスクで、端子はそのままフェンシングの剣。
同じ「刺す」もので関連を持たせているところが上手いなあ。
個人的に好きなのが、選手の素早さをコードで表現しているところ。
目では見えない音速の効果線をコードで視覚化する、その漫画的表現がセンスいいな〜。

豆板醤、XO醤、麻雀
醤=雀=ジャンで、牌で中華料理屋を構成するところが上手い!
言われてみれば確かに筒子(ピンズ:丸い柄)はコンロに見えるなあ。
索子(ソウズ:竹の柄)も竹らしく中華料理屋の壁の役目を果たしている。
また白を縦に2つ重ねることで冷蔵庫、横に1つ置くことで作業台になっているところも良き。
右下にちゃんと店主がいるのも可愛いなあ。
