steamにて『FACEMINER』というインクリメンタルゲームをプレイしました。

明確なエンディングがあるタイプのゲームで、ストーリークリアまでのプレイ時間は3時間。
インクリメンタルゲーとは、まあクリッカーゲームとも放置ゲームとも言うジャンル。
プレイヤーの操作がほとんどまたは全く必要とせずに進行するビデオゲームの一種です。
これらのゲームは通常、クリックやタップなどの単純な操作で始まり、ゲーム内の通貨やリソースを生成します。ゲームが進むにつれて、プレイヤーはこれらのリソースを使用してリソース生成プロセスを自動化するアップグレードを購入でき、プレイヤーが積極的に参加しなくてもゲームが「自動的にプレイ」できるようになります。
ただ今作は完全放置して目を離せるほど暇ではないし、クリッカーと言うほどクリックする訳でもないので、やっぱりインクリメンタルゲーと呼びたくなるね。
時は1999年。
プレイヤーは顔写真データを収集・分析し、その処理能力を上げていくことを生業とするFACEMINER社に就職する。

稼いだ金でストレージとメモリとCPUの性能を上げ、高騰するばかりの電気代を自前で賄うためにソーラーパネルや発電機を購入して設置。

顔写真データ数を増やすために、町中にカメラを配置したりして、どんどんデータ処理数と稼ぐ金を指数感的に上昇させていく。

ただ膨大な電力を消費するということは、発電に伴う温室効果ガスの排出も膨大になっていくということで。
ゲームを進めるにつれ、デスクトップ上には山火事や洪水、酸性雨の映像がポップアップしてくる。

インボックスに届くメールに地球環境の変化による警告文が増えてくるんだけども。
送信者:インターナショナル地球防衛
件名 :最も危険な数字
生物は140度を超える温度に耐えられない。
FACEMINER社の排出ガスは温室効果の主要な原因であり、温度上昇を引き起こしている。
FACEMINERの社員は今すぐ行動し、災害を防ぐ道義的責任がある。
環境保全団体からの忠告も、FACEMINER管理局からの称賛も、同僚の戸惑いも全てを無視して、プレイヤーはPCの性能を上げ続ける。
その果てに辿り着く結末とは……みたいなのがストーリーの概要かな。
私がこのゲームで一番感心したのは、ボックスに届くメールを自動音声が全て読み上げてくれること!しかも日本語で!
元々はイギリスのゲームクリエイターが作った作品なので日本語対応したのも発売後3ヶ月後なんだけど、それでこのクオリティは凄すぎる。
温かみのあるようなないような、少しくぐもり湿った男性の機械音声は1999年という世紀末の空気そのものみたいに響く。
ある時は管理局、ある時は同僚のこの灰色の声は、プレイヤーのPCと世界との繋がりを保っているようで、実のところ断絶させているようにも感じました。
常に一定のトーン、一定の音量の声は催眠のようにプレイヤーを内へ、内へと籠もらせていく。
目の前の画面以外、外のことも、自分のことでさえ気にならなくなるPCの魔性を更にかき立てるギミックで素晴らしかったです。
以下、ED後のネタバレ感想。
ネタバレ感想
前述したメールに「生物は140度を超える温度に耐えられない」とあった通り、惑星の気温が140度を迎えるとデスクトップ上で自動的にカウントダウンが始まり、そして終わる。

この終末を迎える時の音が炎や雨風といった自然音ではなく、「戦争でもしてるの?」とツッコみたくなるレベルの爆弾の投下&爆撃のSEだったのには笑っちゃったんだけども!
まあ地球上の限りある資源を奪い合って、第3次世界対戦でも起こっているような気はする。
ただカウントダウンがゼロになった後、また新たに映るのは別のデスクトップ画面。

プレイ開始時と同じ「MINER OS」でありながら、今回入れるのは「Admin View」=管理者画面。
先程のプレイ内容のログや成績評価、更に標準ユーザーでは受信のみだったメールが送信まで出来ちゃったり。
えーっと……つまりさっきまでプレイヤーがやっていた惑星滅亡までの流れもまた一種のシミュレーション、もしくは並行世界の一つだったという解釈でいいのかな?
例えばセーブデータを見てみると、ゲーム開始ごとに「センター#975」「センター#6711 」とランダムに番号が振られている。

このセンター一つ一つに惑星滅亡までのセッションが保存されている訳だし、FACEMINER社は想像以上に巨大、もしくはメタ的。
あんなにプレイヤーを気持ちよく煽ててくれたのにも裏があったんだなあ。
送信者:FACEMINER管理局
件名 :選ばれしもの
今になってようやく分かりました。最初からあなたが鍵だったのです。
変化を感じていますか?残りはあなたにしかできません。まもなくゴールです。
彼らの言うゴールとは「昇天」
気温140度を超えさせて人類を破滅させることの何がどう彼らの利益になるのかは分からないけれど、でも私の生きるこの地球が同じ道を辿っていることは嫌でも分かって、それが恐ろしい。
だって現に日本はもう6月中旬に3日連続で気温35度超えする地になってしまったんだから。
同僚達から届くメールは環境悪化に嘆く悲痛なものもあれば、逆にポエミーに破滅を待つ享楽的なものもある。
件名:情報戦争
インボックスが思想の戦場になってるのにはうんざりだ。
本当に信じられるのはダッシュボードの数字だけだ。それが真実。
そして、止めろと言われるまで、私はその数字を見続ける
件名:昇天はすぐそこだ
顔たちが今、私に歌っている。肉体は弱いが、データは永遠だ。
その中の一通の件名が「白鳥の歌」になっていると気づいた時、 何とも言えない気持ちになりました。
件名:白鳥の歌
私達は世界に本当の自分たちを見せる準備ができている。
私たちは文句を言わない。諦めない。そして去らない。
白鳥の歌、スワン・ソング。
「死ぬ間際の白鳥は最も美しい声で歌う」という伝承が星にも適用されるのだとしたら、死に逝く地球が上げている声を今、私は聞いているのかもしれません。