復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

脳移植された体で弟への恋の成就を目指す18禁ノベル『タナトスの恋』感想

2003年にRed Labelから発売された18禁男性向けノベル『タナトスの恋~淫姉弟相姦』をプレイしました。

プレイ時間は6時間程度でED数は18。

 

脳移植された他人の体で弟への恋の成就を目指すというお姉ちゃんが主人公の話なんだけど、いや~~~~もう本当にずっと楽しかったです!

登場人物全員の理解力と行動力が爆速なので一切ストレスを感じることなく読み切ることが出来て逆に驚くぐらい。

 

女性の語りで物語が進み、どの男性と付き合うかで結末が分岐するので、実質これって乙女ゲームなのでは?

だとしたら私の一番好きな攻略対象は小早川良人ですよ。

このビジュアルで最推しかぁ……。

いや、でもプレイした人なら良人の良さが分かるよね!?

乙女ゲームでは全く見かけないタイプのガサツで下品な男なんだけど、それでも女の子をキュンとさせる行動力が彼にはありますよ。


私が今作をプレイしたきっかけは原画が西田亜沙子(世間的には『ラブライブ!』のキャラデザで有名なアニメーターだけど、私にとっては『シムーン』や『電波女と青春男』の人なんです)だったからなんだけど、シナリオも菅野ひろゆきというこれまた有名な方だったらしく。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』等を手掛けた名声に違わぬ実力だなあと感心するばかりです。

 

好感度を平等にするヒントコーナー

今作で私が一番気に入っているのが、各EDを迎えた後に始まるヒントコーナー。

 

本編では脇役やヒール役をしていたキャラへの好感度が、ここで平等になるのがすごい!

個人的にはEDで反省会をしてくれるゲームが大好きなので、この仕様はめちゃくちゃ嬉しかったです。

 

システム面はあんまり褒めるとこない!

ただノベルゲーだというのにセーブが本編中の選択肢でしか出来ないのはかなり不便でした。

コンパクトなボリュームだし、スキップ機能はあるなのでそこまでストレスではないんだけど、2003年の作品とは思えない不親切さ。

バックログが別ウインドウで展開されるのも初めて見たし!

ただこの仕様だとここからテキストをコピペ出来るので、感想を書くプレイヤーにとっては便利かも。

まあエロゲの感想を書くプレイヤーなんてごく一部だろうけど……。

 

以下、ストーリーのネタバレ感想!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

冒頭でも言ったけど、とにかく登場人物の理解力と判断力、行動力が爆速なんだよね。

皆思い立った次の日には人を殺すか寝取るかしてる。

その思い切りの良さが逆に今作をさっぱりとしたテイストにしていて、パッケージとのギャップに笑えるくらい。

いや、本当にあの主人公は一体どういう心持ちであんな囚われのM嬢っぽい格好してるわけ?

作中で一番人を殺しまくってるのはこのお姉ちゃんなのに!

 

 

主人公の超大暴走が楽しい

物語の冒頭、交通事故に合って他人の体に脳移植をされた事を知った次の瞬間には「これで弟と付き合える!」と喜んでいた勢いが私はすごい好きです。

自分の秘密を知っていて、かつ弟との恋に支障がありそうな人間を片っ端から殺していくのも根性があるというか何と言うか。

両親と彼氏を乗せた車で海に突っ込むわ

自宅の寝室にガソリンまいて両親焼き殺すわ

(↑この夫妻の一枚絵、妙に生々しいエロさがあって大好き)

さすがのタナトスっぷりとしか言い様がないです。


それでいて思考回路は結構まともというか、狂ってはいないんですよね。

罪悪感だってちゃんと感じてるんだけど、それを無視出来るほどの覚悟がガン決まってるだけ。

そういう強い女、私は好きですよ。

 

 

変貌bED

好きなEDは3つあって、その中でも一番のお気に入りが変貌bED。

再びの脳移植で人生リセットを図ったら、そのドナーが弟だったという落ち。

幸太の身体に、私が入っている…幸太は、幸太はどこにいるの!?

幸太はここにいる、鏡の中の私が、そう語りかけてきた。

私は自分の姿をただ見つめていた。幸太…いつも恋こがれ、アナタの姿を思ってきた。その姿が、いま私の目の前にある。

 

鏡の中の幸太が、私に笑いかけてきた。素敵な笑顔だった。

うっとりと私はその笑顔を見続けた。いつまでも…。

私にとって、この人生は正しいものだったのだろうか?
それはわからない。だけど、身を焦がすほど、幸太の姿を思い浮かべる必要は、もう無くなった。

その幸せだけは、確かなようだった。

こんな結末でも何やら満足げなお姉ちゃんはすごいよ。

上記の文章を読んだ時は「す、すげ~~~~」と心底思いましたもん。

恋した弟との同一化を「幸せ」と言い切るのは中々出来ないでしょ。

このEDでは(弟以外)誰にも迷惑かけてないし、良い終わり方だと思います。

 

 

 

小早川ED

小早川EDはとにかくラストの一枚絵が美麗すぎる!

私といえば、高校を中退した良人に、ときどき勉強を教えてあげている。
大検でも受けさせて、大学へ入学させようと、最近は思ってる。

こんなのでも、一応彼氏だ。

き、綺麗〜〜!!

主人公がウェーブかかった髪を降ろしてるのがいいね。

奈緒美ではなく茜として、小早川の彼女として生きていくんだなと思える姿をしていてすごく美しい。

 

小早川は主人公が茜とは別人の奈緒美だという事に勘づきながらも、「俺と、一緒にならねーか!?」プロポーズしてくれるのがいいんですよ。

これから自分を殺す女に対して、背中越しにプロポーズする馬鹿な純情さが胸を打ちます。


バイクごと海に転落して溺死する時も、その死に一瞬で納得しているのがすごい!

俺はゆっくりと、落ちていく感覚を味わった。
下には漆黒の海が広がっていた。

横に北原茜がいた。ヤツも俺を見ていた。
もの凄いスローモーションのような時間を、俺と茜は駆け抜けている。


なぜ――

俺は茜に訊いた。

茜は口だけ動かして答えた。
幸太を愛してるから――

そう聞こえた。


なるほど、弟を愛するためか……愛の力ってのは恐ろしい。

俺には全く無いものだった。
俺には物欲しかない。愛情など欲しくはない。
そしてそれを恥じたことも、物足りないと思ったこともなかった。
だから足をすくわれたのか……そう思った。

やられたね。こら助からねぇ。

 

茜、オマエの愛の力に一本取られたぜ。
俺は目をつむった。

自分が殺されている最中だというのに、主人公の本質と彼女が抱えた禁忌の恋を彼なりに理解して、受け止めてくれたことが嬉しかったです。

 

そうそう、何気に私は橋本亜紀×吉沢卓也のカプもすごく好き!


ドSの看護師とドMの医者で、割れ鍋に綴じ蓋というか、なんか見ていて楽しい2人なのは確か。

 

 

弟ED

お姉ちゃんにとっては悲願の弟ED。

彼女の恋が報われる瞬間の充足感はたまらないものがありました。

めでたしめでたし!

これにてハッピーエンド!