復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

2021年マイベストBL漫画【10作品】

2021年にハマっていたBL漫画(商業6作品+一次創作4作品)の感想。
リストにするとこんな感じ。

【商業】

・晴野ヤコ『グッバイ・デイ・バイ・デイ』/『n番目のプリンス
・英数字『兄貴 あれなんだったの』/『めんどくさいけど愛してる
・しおからにがい『スグルくんファイト!
・はやしこ『俺の人生はただ眠りたかったという意思のみで終わる


【一次創作】

・ゆめの『FIRST LOVE
・広田『暇な大学生のたわむれ
・大森小鳩『さしすせそを使う小生意気な後輩と先輩のBL
・ぱせりたん『淫魔のレイラくんが思ったより厳しい

紹介ではなく感想なので、最初っから最後までネタバレ全開
未読の方は注意を……というか該当作品を先に読んでいないと分からない事ばっか書いてあります。

今年はpixivで“創作BL”タグを漁り、そこでツボだった漫画のDL販売や商業連載があれば即購入するという楽しい遊びを繰り返していました。
私が今年使ったお金のなかでも、トップクラスに有意義な金の使い方だったのでは?

でもみんなもっと、PDFをboothで売って欲しいな〜〜〜。
買うから……ブーストして買うから……。

 

•晴野ヤコ『グッバイ・デイ・バイ・デイ

CP / 元同級生:トモ×元同級生:ヒロセ

私は本当にこの人の描く眼差しが大好きだなって思います。

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俺 ヒロセがいなくて こんなにさみしかったんだな……

自分の中には、彼が不在である故の空白がずっとあったこと。
「ずっと見えなかったもの」が突然見えた時、呆然と開く瞳孔が好きです。

今までずっと気付かずにいた自分の本心が、今、こんなにもよく見える。
自分は寂しいんだと自覚なんてしない方が、人は毎日を穏やかに幸せに暮らしていけるのに。
でも見えてしまった。気付いてしまったからもう仕方なくて。


ラストで「どうせすぐ忘れるよ」とヒロセに言われ、彼が返した答えが大好きです。
そうかな 本当にそうなのかな、こんなにも離れがたいのにな」って。

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いや~~~~もう、完璧な答えじゃないですか??

自分の空白に気付いた眼差しが次に追うのは、その空白を埋めてくれる誰かで。
トモにとって、その誰かとはヒロセ以外の誰でもなくて。
自分の心が、自分ではない他者を必要とする時、そこに浮かぶ涙に、全ての人間関係の妙が詰まっているような気がします。

裏切られてきたようにも、裏切ってきたようにも。
傷つけてきたようにも、傷つけられてきたようにも。
好きでいたかったようにも、好きでいて欲しかったようにも思える。

したかったこと、してほしかったこと、出来たこと、出来なかったこと。
これまで全てのままならなさを了承した上で、これから先を共にするために彼はヒロセの背を抱き、ヒロセだってそれに応えた。

7年間離れていたのなら、7年と1日、一緒にいてと思います。
トモにとって、この恋は「ようやくこれから」だし、ヒロセにとっては「何を今更」なんだろうけど。
でも、一緒にいるだけで埋められる寂しさが彼ら2人にあるのなら、この先ずっと、一緒にいて欲しいです。

 

 

・同時収録『n番目のプリンス

CP / アルバイト大学生:八城くん(20)×先輩社員:若王子さん(30)

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顔良ッッッッ!!!

なんか本当に2人の顔が良すぎて、顔が良いとしか考えられないぐらいに顔が良い。
ストーリーも良かったし、彼ら2人の心情だって全部好きなのに、2人が揃うともう全ページ、全コマに「顔が良い……」が先にくる、それぐらい顔がど好み。

それでも特に好きな顔の良さが2つあって、まず1つ目は若王子さんと八城くんが廊下で3回めに出会うところ。

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人は恋をすると、こんなにも綺麗に好きな人の姿を捉えられるんですね……。
この光に満ちた表現がめちゃめちゃ好きです。
トーンの使い方が上手いのかな?

ここまで八城くんの顔が良いと、もはや私が付き合いたい!とまで思うんだけど、でも八城くんがこんなにも綺麗に見えるのは、若王子さんの眼差しの中にある彼だからなんですね。
例え私が彼ら2人を見かけたところで「格好いいな」とは思うけれど、こんな風に光を帯びて輝いているようには見えないだろうから。


2つ目は八城くんからの告白シーン。

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普段見えないものが見えるとテンション上がるっていうのは ただの口実
触りたいなって  思ったから触った 

あの時若王子さんのこと、好きだなって思ったから

こんなめちゃくちゃスマートに10歳年上の男に告白出来る20歳がいますか!?
言葉でもそうだけど、もう眼差しが恋を告げていてすごい。

1回目に廊下でぶつかって倒れた時、八城くんの目には若王子さんの素が映ったんですよね。
若王子さんが社会人として、意識的に行っている言動や処世術が一瞬揺らいだその向こうに、彼の本質を捉えてしまった。

だから指を伸ばした、だから触れた。

ぐっと一歩踏み込んだ瞬間には、もう恋が始まっていたこと。
その種明かしの仕方がすんごい上手いよ、八城くんは……。

 

 

•英数字『兄貴 あれなんだったの

CP / 実兄:白石  楽(21)× 実弟:白石  仁(15)

もともと近親相姦BLは好きだったんですけど、基本的にはお互いがお互いへの好意を隠さないタイプばかりでした。
今作みたいな不器用でリアルに仲が良くなさそうで、それでもそういう関係になる兄弟BLタイプは初めてで。
初めてで、こんな心臓ド真ん中を撃ち抜かれる2人に出会って大丈夫なのか、私は?と動揺するぐらいには好きです。

特に白石  楽、このお兄ちゃんがやっっっっばい。

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ずっと好きだった、ずっとだ 

お兄ちゃん………!!!(大号泣)

このお兄ちゃんが言う「ずっと」に込められていた重さたるや、壮絶なものがあると思います。

明確な出来事も理由もないままに、弟のことが好きだった。
そのまともではない好意が、どれほど正気であり続けた彼の精神を苦しめて、彼の人生に暗い影を落としてきたのかを考えます。

彼の人生にはいくつもの選択肢があって、それは「弟のことを何とも思わなければ」全て選べて選択肢なんですよね。
異性と恋愛して結婚して幸せな家庭を築く…とまでは言わないけど、でも知り合いに弟の姿を見られることに怯えて、両親の顔もまともに直視できず、実家に生涯寄り付けないなんてことには絶対ならなかった。


自分がまともな道から外れていることなんてとっくに気付いているのに、弟が好きだという気持ちだけが消えない。
いつまでも、消えない。

誰にも胸の内を打ち明けることなんて出来ないまま、一歩も歩けず、戻れず、一人立ち尽くしてきたであろう彼の姿を思うと、私のほうがどうにかなりそうです。

そりゃ「こんなの一人じゃ耐えきれない 怖ぇよ 仁 ……」って弟にすがりつきながら言うよ、「言っとくけど きついぞ」って言うよ、ずっとずっと一人で……こんな……。

なのにこの弟はさぁ〜〜!!?

「どうしてこいつは言わなくていい時に言わなくていい事を言わなくていいタイミングで言うんだ!?」と頭を抱えたくなるぐらいにはデリカシーが無い。

お兄ちゃんの背負ってきた重圧を考えると、よく「兄貴がいつ俺のこと好きになってくれたのか分からない。俺と同じで 最初からだったらいいのに」とか「俺も楽が好きだ きっと 俺のほうがずっと前から 生まれたときから」なんて言えたもんだなあ~!?

お前と同じで「最初から」お前より先の「最初から」だよ!!!!!

って喧嘩売りたくなるんだけど、でも仕方ないんです、だってこの弟まだ中学3年生なんですよ……。
察しが悪くて当たり前じゃん、中3男子なんて……義務教育も終わってないんだよ……(泣いてる)(情緒不安定)

でもお兄ちゃんは、そんな無神経な言動の奥に垣間みえる親愛が欲しかったってこと。
だから弟の方から腕を引いて唇を重ねてくれた時、そりゃ手を出さない訳にはいかなかったんだろうね。

彼の人生にとって、これ以上の決断なんて後にも先にもありません。
人生で一番大きく重い選択を、一瞬の間に掴み取ってしまう手が好きです。
そしてきっと、三日三晩考えてもなお、結果は一緒だったであろうことが哀れにも映る。
どれだけ悩んでも結局、弟の手を跳ね除けることなんて絶対に出来ない人で、その事実が弟曰く「可哀想だこの人 可哀想で可愛い」んですよね。

こんな兄弟でなければ、彼はこんなに苦しむことなんて無くて。
でもこんな弟だから、ずっとずっと、可愛くてたまらなかったってこと。
それぐらい、私にも分かるから。

幸せになってほしいです。
少なくとも扉のカラー絵みたく、彼ら2人が寄り添い合って眠る時間が誰にも邪魔されることのないように祈ります。

 

・同時収録『めんどくさいけど、愛してる

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CP / 職場の後輩社員:村田  春秋×元上司:新倉  恵介

いや~~~~、近親相姦BLの後に摂取する他人同士のBLって最高だなあ~~~!!
いいよ、本当にいい。
安心して次のページに進めるこの穏やかさが心地よすぎる。

『兄貴 あれなんだったの』が近親相姦好きの脳をぶっ飛ばしにきたってだけで、この2人の温度感もすげーーー好きだよ。

全体的にグレーがかった色調と、2人の明るすぎず暗すぎない社会人感に癒やされる。
そもそもこの作品の冒頭をkindleで試し読みした際、この2人の間にある空気が自分の肌に馴染むから購入したわけで。
作品の温度と自分の体温が一緒だと、まるで息をするようにするすると読めるっていうことは、この作品が初めて私に教えてくれたことです。

……なんかこの2人に関しては、すごい萌えるベストな部下×上司ものだったのであんまり言うことないな。

新倉さんの「なあ キスして」っていうねだり方と、

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春秋から、電話越しでの夜の匂わせには胸がときめいて良かったです。

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めぐちゃんこと恵介が気持ちいいと笑っちゃうタイプだって分かっている上の「うん あとでね  めぐちゃん 今日いっぱい笑お」なの、確信犯でずるい男です。

カバー裏の著者コメントには「面倒な人しか出てきませんが、どうぞよろしくです」とあるけど、あの兄弟に比べればこの2人、全然面倒な人なんかじゃないです。
2人ともすごいちゃんとした常識人でしょ、あの兄弟に比べれば誰だって……!!

 

 

・しおからにがい『スグルくんファイト!

CP / CD店店長:真崎  紀幸くん×店員兼高校生:妻川  優くん

もともとはpixivの創作BLタグで連載したものを、商業で引き継いだものなのかな?

WEB版 drap のフリーマンガ枠で連載中。

序盤はpixiv版同様「イジワルなお兄さん×おバカ高校生のドタバタ日常ラブ♥マンガ」という感じで進むのだけど、15話で高校生が急に覚醒するし、そこからの大逆転が良すぎるね。

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嫌われたいってなに!?俺のこと好きならそれだけでいーじゃん 
なあ!? なにがダメなん!?
俺 お前と 仲良くやりてーけど!?

店長だって大の大人だから、自分の性格や人への関わり方がねじ曲がっているのなんて分かってて、でもそれって自覚しているだけなんですよね。

自分じゃ変えようとも思わなかった歪みを、こんなにも年下の男の子が「俺は普通の人間なんだから!お前みてーな!特殊な思考回路の人間の気持ちなんて!!理解出来るわけねーーーーーだろ!!」って叩き折ってくれて、その上で「それで俺があんたのことを嫌いになることはない」とまで言ってくれて。

人間、「好き」とかいう能動的好意よりも「嫌いにならない」っていう最低限の保証の方が安心する時ってあるじゃないですか。
店長もそういうタイプでしょ。

だから、窺っちゃうんだよね!大の大人が高校生の顔色を!

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ここが店長の可愛くて、そしてどうしようもなく弱いところだと思います。
「嫌いにならない」っていう約束が反故になるのが怖くて、だからことあるごとに「嫌?」「嫌じゃない?」って聞くようになる。
絶対に嫌われたくないから。

その尋ね方はまるで小さい保育園児のようで、前半の擦れきった絡み方のギャップににやにやしてしまう。
彼はずっと自分のことを知らなかったんですね。
自分の、本心からの愛情表現がそんな風に幼かったことを。

それを暴いて、受け止めてくれたのが主人公だったんだと思うと、そりゃあずっと側にいて欲しいって、可愛がってあげたいって望むのは当たり前だと思う。

だからもうタイトル通り、マジで『スグルくん、ファイト!』だよ!!!
店長のこと、絶対幸せにしてあげてほしい。

 

 

【一次創作】

・ゆめの『FIRST LOVE

CP:どヤンキー同級生:和樹 × どオタク同級生:宏

どヤンキー×どオタクかつ、どヤンキーが向ける感情の方がど重いの最高では!?!!

宏の方はシンプルに和樹のこと慕ってて、そこに邪な気配なんて一切ないのに、和樹の方がめっっちゃくちゃ性欲を直に叩きつけてくるのすごい萌える。

うわ くそ。めっちゃいい匂いする……」とか「はー。くそ。好きだ。」とか、悪態混じりのセリフが超ツボ。
オタクがいい匂いなんてする訳ないのに、和樹にとってはちゃんといい匂いに感じられるの、雄の本能が反応しているという感じで。


宏のどこがどう好き、とかじゃないんですよね。
可愛いものは可愛いから仕方ないという感じの「好き」なのがたまらなく良いです。
例えば私は猫好きなんだけど、今から猫を嫌いになれっていったって無理ですよ。
視界に入る度に撫でたくなるし、可愛いと思っちゃうし、猫が自分以外の人間にばかり寄っていったら腹が立つし。

和樹にとって宏はそういう風に、何をどうしたって可愛がりたい存在なんだなあと思うと、超いいです。


オタクって、触れられない2次元の推しに慣れすぎて、リアルな肌の触れ合いにはまっっったく慣れてないものだから、ヤンキーにこのまま押し切られて付き合うところまでいってほしい。絶対にいってほしいです。

 

 

・広田『暇な大学生のたわむれ

CP / 大学生:北山くん × 大学生:石田くん

こういう清潔な感じのする絵柄って憧れるなあ。
日々の出来事がシームレスに流れていく感じが令和の大学生っぽくて。
2人ともめちゃくちゃ顔が良いのも嬉しい。

友達としての無邪気な戯れの中に、さらっとどきっとする場面があるところにじたばたする。
小指絡めるとこは、何回読んでも「キターーーッ!」ってテンション上がるよ。

石田はかなり北山のことが好きで、それは北山の方も同じで。
彼女が出来た後についてとやかく言う石田に、「そうなる前に 好きならそう言えよ」ってうりゃ!ってする雰囲気が好き。
ラスト場面でさらっと告白するところも、彼らなりの、これからの恋人関係が窺えて良き!
燃え上がる恋という訳ではないけれど、じわっと微熱のする温度帯で、長く続いてほしい2人です。

 

 

・大森小鳩『さしすせそを使う小生意気な後輩と先輩のBL

CP / 営業部の新人:青木 × 先輩:瀬野さん(32)

この生意気後輩、本当に可愛いっすね……。
自分から「ほんと 俺いいよ いちずだし」ってアピールするし、振られてからも半年待ってくれるところも、有言実行の有能な部下というのが伝わってくる。
そりゃ可愛がらない訳ないでしょ。

素直に好意を伝えてくれるところが青木の良いところだし、それに対する瀬野さんはちょっと面倒くさいところもあるんだけど、でも彼に対しては振ってからも褒める時は褒めていて、そりゃ嫌いになれないよね、青木の方は……。

つかやっぱ あんなうすぼんやりした理由で フラれたの納得いかないんすけど……」って抗議したくなって当たり前だよ。

30も間近の男達が甘酸っぱい社内恋愛をしているやり取りが好きです。
序盤にタイトル『さしすせそを使う小生意気な後輩』について、「え  さしすせそ おれの最上級の かわいい相槌だったんですけど」ってタイトル回収してくれるところも良かった!
語尾ものばしてたし」だけで、瀬野先輩が自分の「好き」に気付いてくれることを期待してたのかなって思うとたまらない。

青木くんの、瀬野さんに踏み込む事を恐れない姿勢が、私の目には誠実に映ります。
誠実っていうのは固真面目な態度や言動のことではなく、人やものごとに真心を持って接することなんだなと、彼を見ていると思いますね。

 

 

・ぱせりたん『淫魔のレイラくんが思ったより厳しい

CP / 淫魔の隣人:レイラくん(?) × 隣人の大学生:亘くん(20)

このガン詰めからの甘やかしやっっっっば!!
「こういう場面が描きたいんです!」っていう作者の性癖で、ど直球に頭ぶん殴られる感じがたまんないです。
私もこういうのが読みたかった!

まず絵柄がすごく好み。
線が強弱強めの黒ペンなのがまず好きです。
このちょっとだけ等身が低めで、丸みを帯びた輪郭と、大きめの瞳もすごい可愛い。
興奮も抑圧も焦燥も願望も、全ての熱がその目から伝わってくる。
目は口ほどにものを言うって、こういうことを指すんだよなと思います。

そしてレイラくんの言葉責めな〜〜〜〜!
こんなの嫌いな女オタクいるか!?全員好きだろ!!
口に出して  おねだりしてみな 早く」からの「なら態度で示して」からの名前呼びからの「どうしよっか 俺と何がしたい?」ですよ!?

腹の底では何を企んでいるか分からない男の、エゲツない飴と鞭に振り回されてえ~~~!

一方の亘くんも、結構素直に適応して欲しがる感じが超可愛い。
最初は何やかんや言いつつ、ちょっと詰めれば即落ちるちょろさが、レイラくんにとってはたまらなく遊び甲斐があるんだろうな。
最後に自分から「…また会ってくれますか」と言えたところもポイント高かったと思うよ。

このレイラくんは、このまま亘をずっと甘やかしてくれるような気も、次の日には捨てていきそうな気もする。
期待と不安の間で馬鹿みたいに鳴る心臓が痛くて、早くて、恋の始まりを告げている。
たまらないです、この感覚。女オタクやってて良かった。

 

他、数年前から好きだったものの、今年改めて再燃したのもあり。

別記事で感想を書いた、さいとう林子『俺の人生はただ眠りたかったという意思のみで終わる』の2人はいつでも好きです。

CP / 軟禁主のアメリカ人:須藤 × 誘拐された日本人:樫村

ジャンルとしては逃避行ものになるのかな?
世の中に何の興味もなく、ダラダラとコンビニバイトをしていた日本人の樫村を、母親殺しの過去を持つ日系アメリカ人の須藤が誘拐し、奇妙な軟禁生活を始めるという話。

2人がしているのは、辿り着きたいところも辿り着くべき場所もない漂流の旅です。
2人共、死にたくもなければ生きたくもない。
そういう停滞した旅の果てに須藤は何やかんやあって殺されるんだけど、それを知った樫村の行動が私はすごく好きです。

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いいや! 死んでない!
俺は決めたんだ 須藤の言葉を全部信じるって
アイツが生きてるって言ったら 生きてるんだ
俺に会いたがってる 行かないと…!

このセリフがずっと、私の心に焼き付いたまま離れないです。

須藤の死によって、樫村の旅は始まる。
彼ともう一度会うための旅が、今から始まる。
そこに須藤の実際の生死なんて何一つ関係ないんですよね。
彼の言葉を信じると決めた以上、その言葉だけが樫村を支え、行動していく理由になるから。

誰もが皆、自分の生には原動力があると感じ取れる訳ではないので。
怠惰一色だった樫村の生が、須藤と過ごした日々全てを糧に、飛び出していく奇跡を思います。

 

 

私の経験上、好きなBL漫画と出会う方法って、運命を頼りにするしかないんですよね。
流行りやランキング、口コミの多さが当てになったことなんてほぼない。
割と本気で自分の勘と引きの強さを信じるしかないんです。

という訳で、今年は自分の引きが強くてよかった!!!
編集部へのファンレターもそこそこ送れたし、個人的には大勝利(?)の年でした!

日常生活では一番くじとか全然良いの当たらないし、大してラッキーなことが起こる人間でもないんですが、私の運ってもしかしてこういう風に、好きになれる作品と運命的な出会いをするために費やされているのかもしれません。
それで本望です。