日本ホラー小説大賞受賞作品一覧【一言感想付き】

KADOKAWAが主催する日本ホラー小説大賞の24回分、全55冊の受賞作品一覧まとめ。
2018年(第25回)受賞作品は、単行本化したらまとめます。
個人的に読んだ本には感想付き。一応、全読破を目指して。(現在:10冊読了)

 

2017年(第24回)

■大賞:受賞作なし
■優秀賞:木犀あこ「奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い

奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)

奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)

 

死ぬのが上手な生き物もいれば、死ぬのが下手な、いや、その境界がいっそうあいまいな生き物だっている。
肉体の死があいまいである生き物は、どうやって、ゆるやかに、あちら側へ移り変わっていくのだろうか。
今まで生きていたことを引きずりながら、今まで通りに振る舞い、その波が静まって、初めて次の形へ行くことができるのではないだろうか。

表紙の雰囲気やキャラクターの軽さに対して、「謎」の部分が堅すぎるような気が…
ラスト付近は小説じゃなくて、学術書を読んでる気分だった。 文字が出来るまでの概念に興味ある人にはぜひ。

 

山吹静吽「迷い家

迷い家

迷い家

 

 ■読者賞:野城亮「ハラサキ

ハラサキ (角川ホラー文庫)

ハラサキ (角川ホラー文庫)

 

湧き上がる感情はただの抜け殻に過ぎない。
あの頃の自分が何を思い、何をしたか。
それを知って初めて、この寂しさは実を結ぶのだ。 

温泉街の描写は好きだけど、主人公の性格がいただけない。
ホラー小説の主人公なんて、人道に外れていていいけど、そこに美学がないときついよなあ。
ゲームに似た物語の運びはすらすら読めてよかった。

 

2016年(第23回)

■大賞:受賞作なし

■優秀賞:坊木椎哉「きみといたい、朽ち果てるまで ~絶望の街イタギリにて

きみといたい、朽ち果てるまで (角川ホラー文庫)

きみといたい、朽ち果てるまで (角川ホラー文庫)

 

■読者賞:最東対地「夜葬

夜葬 (角川ホラー文庫)

夜葬 (角川ホラー文庫)

 

この村では、人の顔は『神様からの借りもの』と信じられている。
死後は老若男女問わず顔をくりぬりかれ、神様に返すものとされた。
魂=神様からの借りもの(顔)は、顔を抉られた地蔵にはめ込み返した。
それを【どんぶり地蔵】と呼んだという。
一方で、神様に顔を返した死者は、幽世へ渡る船として扱われる。
幽世に着くまで腹が減らないようにと、くりぬいた顔に山盛りの炊き立ての白米を盛られる。

面白かった!
残虐で不条理で、でも面白いこの読後感こそ、私がホラー小説に求めてるものだと思ったり。
ただただ面白かった。うん、面白かった!

 

2015年(第22回)

■大賞:澤村伊智「ぼぎわんが、来る

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

 

 ■優秀賞:名梁和泉「二階の王

二階の王 (角川ホラー文庫)

二階の王 (角川ホラー文庫)

 

 ■読者賞:織守きょうや「記憶屋

記憶屋 (角川ホラー文庫)

記憶屋 (角川ホラー文庫)

 

「でも、トノちゃんは覚えてて。
 七海ちゃんが俺のこと忘れても、俺がいなくなっちゃってもさ」 
目を細めて、こんなことまで笑顔で言う。
「俺の生きてるとこも、死ぬとこも。トノちゃんは見て、忘れないでいてよ。」

ホラーというよりは、じんわりくる人情者。
2nd.Episodeの、外村くんと高原さんとのやりとりが、一番好き。

 

2014年(第21回)

■大賞:雪富千晶紀「死呪の島

死呪の島

死呪の島

 

■佳作:岩城裕明「牛家

牛家 角川ホラー文庫

牛家 角川ホラー文庫

 

 ■読者賞:内藤了「ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子

ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)

ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)

 

 

 

2013年(第20回)

■大賞:受賞作なし

■優秀賞:倉狩聡「かにみそ」 

かにみそ (角川ホラー文庫)

かにみそ (角川ホラー文庫)

 

 ■読者賞:佐島佑「ウラミズ

ウラミズ (角川ホラー文庫)

ウラミズ (角川ホラー文庫)

 

 

 

2012年(第19回)

■大賞:小杉英了「先導者

先導者 (角川ホラー文庫)

先導者 (角川ホラー文庫)

 

 ■読者賞:櫛木理宇ホーンテッド・キャンパス

 

 

2011年(第18回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:堀井拓馬「なまづま」 

なまづま (角川ホラー文庫)

なまづま (角川ホラー文庫)

 

■短編賞:国広正人「穴らしきものに入る

穴らしきものに入る 角川ホラー文庫

穴らしきものに入る 角川ホラー文庫

 

 

 

2010年(第17回)

■大賞:一路晃司「お初の繭

お初の繭 (角川ホラー文庫)

お初の繭 (角川ホラー文庫)

 

 ■長編賞:法条遥「バイロケーション

バイロケーション (角川ホラー文庫)

バイロケーション (角川ホラー文庫)

 

 ■短編賞:伴名練「少女禁区

少女禁区 (角川ホラー文庫)

少女禁区 (角川ホラー文庫)

 

あの男の、ある指に残されていた傷は、模様のようになっていた。
釘の先で、指の周りをぐるりと一回り分、引っ掻いたら、あんな形になるかもしれない。それはまるで、指に細い輪をひとつ、嵌めているようにもみえた。
あれはそう、確か、

左手の、薬指だった。

文章の耽美さがすごい。 
選考委員のあとがきでは少女趣味すぎると書かれていたが、私はこういう雰囲気めちゃくちゃ好きだ。シライシユウコ氏のイラストまで含めて大好き。完璧。

 

2009年(第16回)

■大賞:宮ノ川 顕「化身

 ■長編賞:三田村志郎「嘘神

嘘神 (角川ホラー文庫)

嘘神 (角川ホラー文庫)

 

 ■短編賞:朱雀門 出「今昔奇怪録

今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)

今昔奇怪録 (角川ホラー文庫)

 

 

 

2008年(第15回)

■大賞:真藤 順丈「庵堂三兄弟の聖職

 ■長編賞:飴村 行「粘膜人間

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

 

それを合図に肉体の溶解が始まった。
緑色になった全身の皮膚や筋肉が一斉にどろどろと流れ落ち、眼窩や歯列、肋骨、左右の上腕骨などが次々と露出した。
腹部からは緑色の様々な臓器が溢れ出し、湿った音を立てて地面に落ちた。
カーキ色の半ズボンの裾からは緑色の液体が次々と溢れ出た。
溶解は続き、一分も経たぬうちに全身が骨格だけとなった。

グログロ拷問分解小説。 
河童が出てきたり、軍人による拷問薬物が出てきたり、もう訳わからんぐらいにぐちゃぐちゃグロテスクてんこ盛り。
問題作と謳われた通りだけど、少なくとも小説だからここまで書ききれたのだと思う。
よく自主規制されませんでしたね……。

 

■短編賞:田辺 青蛙「生き屏風」 

生き屏風 (角川ホラー文庫)

生き屏風 (角川ホラー文庫)

 

雀野 日名子「トンコ」 

トンコ (角川ホラー文庫)

トンコ (角川ホラー文庫)

 

ぶひ。
ぷぎぎぃ。
ぼととん、ぼひ。

この小説に出会えて良かった。
移送トラックから逃げ出した食用豚、「トンコ」の短い冒険譚。
怖くはない。ただ切なさで胸が痛くなる、純文学寄りの作品。
最後の方はだーだー泣いていた。
トンコは外の世界を知って、コスモスの甘い匂いも、せせらぎの匂いも、海の匂いさえその鼻で嗅いで知って。
でも、その生のきらめきの後にあるのは、食用豚としての末路でしかなくて。
人間の功罪を人間が描く。そこに「文学」の意味があると思う。


2007年(第14回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:受賞作なし

■短編賞:曽根圭介

鼻 (角川ホラー文庫)

鼻 (角川ホラー文庫)

 

 

 

2006年(第13回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:矢部嵩紗央里ちゃんの家

紗央里ちゃんの家 (角川ホラー文庫)

紗央里ちゃんの家 (角川ホラー文庫)

 

■短編賞:吉岡暁「サンマイ崩れ

サンマイ崩れ (角川ホラー文庫)

サンマイ崩れ (角川ホラー文庫)

 

 

 

2005年(第12回)

■大賞:恒川光太郎夜市

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 

「あなたは……」
男は口を開いた。
「遠い昔、約束をしたね」
裕司は眼に涙をためた。
「約束は守られなかった。ぼくは……」
「いや、約束は今日、果たされたんだ」
男は裕司に手を伸ばした。裕司はその手を掴み立ち上がった。
「さあ、帰ろう」

3回読んで、3回泣いた。

この作者は物語を転がす能力がすごすぎる。
ごく短いページ数の中に、旅、人生、運命、終末と流転する時がある。
人の生、悲喜こもごもがたった数文章で描かれて、その数文に詰め込められた人生の密度に泣けるんだよ。
恒川光太郎という作家に出会えて良かった。

 

■長編賞:大山尚利チューイングボーン

チューイングボーン (角川ホラー文庫)

チューイングボーン (角川ホラー文庫)

 

 ■短編賞:あせごのまん余は如何にして服部ヒロシとなりしか

 

 

2004年(第11回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:受賞作なし

・佳作:早瀬乱レテの支流

レテの支流 (角川ホラー文庫)

レテの支流 (角川ホラー文庫)

 

■短編賞:森山東お見世出し

お見世出し (角川ホラー文庫)

お見世出し (角川ホラー文庫)

 

・佳作:福島サトルとくさ

とくさ (角川ホラー文庫)

とくさ (角川ホラー文庫)

 

 

 

2003年(第10回)

■大賞:遠藤徹姉飼」 

姉飼

姉飼

 

姉がいなくなった家はぼくにとって無だった。
姉のわめく声と、ヒステリックにもがくエネルギーで初めて生き始める家だったから。
生き餌を貪り食らう姉の食薬で初めて空腹を覚える家だったから。
姉の体から絶えずしたたり落ちる血をすすって息づく家だったから。
夜ごと、日ごと鞭をふるい、剃刀で切り刻み、錐で突き、スタンガンでしびれさせることに汗水たらすためにのみ時間が動く家だったから。
姉のために生き、姉の死に号泣し、姉の血の池でのたうつための家だったから。

めちゃくちゃ好き。大好き。 
串刺しにされた女を飼う男の話。
凄惨な文が続くんだけど、だからこそ目が離せない。
自分の中の加虐心を引きずり出してくれる、しかもそれが気持ちいいと感じるまでの怪作。
よくこれを受賞させたな、よくこれが出版出来たな!と驚愕するレベルの物語なので、ぜひとも読んで欲しい。私は人生で5回ぐらい読み返して、気持ちよく気持ち悪くなってます。

■長編賞:保科昌彦相続人

相続人 (角川ホラー文庫)

相続人 (角川ホラー文庫)

 

■短編賞:朱川湊人白い部屋で月の歌を

 

 

2002年(第9回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:受賞作なし

■短編賞:受賞作なし

 

2001年(第8回)

■大賞:伊島りすと「ジュリエット

ジュリエット 角川ホラー文庫 (角川文庫)

ジュリエット 角川ホラー文庫 (角川文庫)

 

■長編賞:桐生祐狩「夏の滴

夏の滴 (角川ホラー文庫)

夏の滴 (角川ホラー文庫)

 

■短編賞:吉永達彦古川

古川 (角川ホラー文庫)

古川 (角川ホラー文庫)

 

 

 

2000年(第7回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:受賞作なし

■短編賞:受賞作なし

 

 

1999年(第6回)

■大賞:岩井志麻子ぼっけえ、きょうてえ

ぼっけえ、きょうてえ

ぼっけえ、きょうてえ

 

妾は辛い思いをしとったんじゃ。
妾はきょうてえ思いをさせられとったんじゃ。
知らんかった。わからんかった。……その日妾は、生まれて初めて人の前で泣いたんよ。

面白い!!

岡山弁の女郎が語る、きょうてえきょうてえお話。
文章に土の匂いが満ちていて、それでいて口語文なのですらすら読める。
怖いというより哀しいお話ですね。呪われた女は、こうして生きてきたっていう。
何度でも読み返したくなる、魅力ある小説。

 

■長編賞:受賞作なし

・佳作:牧野修スイート・リトル・ベイビー

スイート・リトル・ベイビー (角川ホラー文庫)

スイート・リトル・ベイビー (角川ホラー文庫)

 

 ■短編賞:受賞作なし

・佳作:瀬川ことびお葬式

お葬式 (角川ホラー文庫)

お葬式 (角川ホラー文庫)

 

 

 

1998年(第5回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:受賞作なし

■短編賞:受賞作なし

 

1997年(第4回)

■大賞:貴志祐介黒い家

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

 

■長編賞:中井拓志レフトハンド

レフトハンド (角川ホラー文庫)

レフトハンド (角川ホラー文庫)

 

■短編賞:沙藤一樹D-ブリッジ・テープ

D‐ブリッジ・テープ (角川ホラー文庫)

D‐ブリッジ・テープ (角川ホラー文庫)

 

 

 

1996年(第3回)

■大賞:受賞作なし

■長編賞:受賞作なし

・佳作
貴志祐介十三番目の人格  -ISOLA-

■短編賞:受賞作なし

・佳作:櫻沢順「ブルキナ・ファソの夜

ブルキナ・ファソの夜 (角川ホラー文庫)

ブルキナ・ファソの夜 (角川ホラー文庫)

 

 

 

1995年(第2回)

■大賞:瀬名秀明パラサイト・イヴ

パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)

パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)

 

 ■長編賞:受賞作なし

■短編賞:小林泰三玩具修理者

玩具修理者

玩具修理者

 

 

 

1994年(第1回)

■大賞:受賞作なし

・佳作:板東眞砂子「蟲」

蟲 (角川ホラー文庫)

蟲 (角川ホラー文庫)

 

カシュウ・タツミ「混成主-HYBRID-

混成種―HYBRID (角川ホラー文庫)

混成種―HYBRID (角川ホラー文庫)

 

芹沢準「郵便屋

郵便屋 (角川ホラー文庫)

郵便屋 (角川ホラー文庫)

 

■長編賞:受賞作なし

■短編賞:受賞作なし