「ai」を踏みにじるステップで Aimer「I beg you」【感想】

I beg you

Aimer「I beg you」を聴きました。

すごいおぞましい曲です。梶浦由記は天才。
I beg you

I beg you

  • Aimer
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

【作詞】梶浦由記 【作曲】梶浦由記 【編曲】梶浦由記

あわれみを下さい 堕ちた小鳥にそっと触れるような
涙ぐんで 見下ろして 可哀想だと口に出して
靴の先で転がしても構わないわ

Aimerの歌声は恋を、梶浦由記の音楽は怒りを奏でている。

耐えがたいほどの怒りが根底にあるのに、口先だけは上っ面の甘言を語る女。
そういう人って現実にもいますよね。
「なんで自分や世界のこと大嫌いなのに、それに愛されたがるの?」って違和感を覚えるような人。
それとおなじ、哀しくておぞましい女が、ここにはいて。
 
この醜さは、Aimerの歌声と梶浦由記の音楽でなければでなかったと思います。
被虐待児(=間桐桜)による、無垢で醜い愛の乞い方。
抑圧されすぎてしまった怒りを、ここまで音楽に昇華したこと自体にゾッとします。
私はただヘッドフォンをして、CDを再生しているだけ。
それなのに、こんな感情に触れてしまえて、なおかつその怒りに侵食されてしまうことが、怖い。
 
母音の「ai」で韻を踏んでいる箇所が多いですね。
間奏の歌詞だと特に分かりやすいかな。
 
lie , lie , lie ,  you're  to  be with me
 雷鳴の咲くところ
 惨憺たる  heavenly  feeling
 愛だけ残ればいい
 
らい らい らい ようあとーうぃずみー
 らいめいのさくところ
 さんたんたる へゔぃりーふぃーりんぐ
 あいだけのこればいい」
 
愛を、Iを、会いを、
足裏で踏みにじっていくようなドラムとエレキ。
彼女はきっと、何もかもを許せない。
怒りたかったのに、嫌だったのに、そんな嘆きはずっと無視され続けてきたから。
2番のAメロからかかる「あ、あん あん」というコーラスが辛い。
子供じみた無垢さもあるそれは、性的虐待も受けてきた彼女の声のよう。
男の、無意味な欲望を受け止めるだけの喘ぎ声。
だからこそ間奏の、ストリングスが見せる光に泣いてしまうね。
 
きずな結んだ遠い春の日の 傷跡さえも消えてしまうの
やがてキラキラ夢の中
 朽ちていく光は貴方に届くはずだから
 
今曲は劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」2章の主題歌。
3章がどのような曲になるのか楽しみすぎるし、
この曲の解釈をしたくて原作も買いました。