J.A.シーザー×ニライカナイとか…!!! / イヤホンズ「ウィッチクラフト《テオフィルの奇蹟》」【感想】

2018年6月28日に発売される、PS4「神獄塔 メアリスケルター2」のOPがまさかのJ.A.シーザー×ニライカナイムービーで大興奮している。 

【原画】ナナメダケイ 【動画】株式会社 ニライカナイ

イヤホンズウィッチクラフト《テオフィルの奇蹟》
作詞:J・A・シーザー 作曲:J・A・シーザー 編曲:J・A・シーザー / a_kira

初代のOP&EDも、ニライカナイのMUGICHA&Tas.K制作だったので、たぶんそのまま続投だと思われる。
この蠱惑的な光と水滴はMUGICHAでしょ!と勝手に思い込んでいるけど、あながち間違ってはないのでは。
メインの女の子二人の涙が見えなくなるほど、コントラストのきつい光と、一定であるがゆえにサディスティックに映るショッキングピンクの液体。
キュートとグロテスクさで成り立つ闇を、強烈な青光で制圧するような、バイオレンスじみた繊細さを感じる。
そういう光の表現に挑んで魅了してくれる製作者こそが、MUGICHAだと思っているので。

少女革命ウテナ大好きオタクが大好きJ.A.シーザーが手掛けた主題歌も、2018年3月14日発売の2ndアルバムに収録済。
こういう事前のスピーディーな音源発売、本当に嬉しい。
PCゲーとか何の音沙汰もないこと多いし……ありがとう、コンパイルハート

動画でこの主題歌を聴いた時は「うーん……東京混声合唱団や杉並児童合唱団と比べると迫力がなあ……」とか感じちゃった人は、フルを是非。
フルバージョン、めっっっちゃくちゃ格好いい!!!
演奏しているのが、J.A.シーザーとコラボしている「悪魔の家」で、そのメンバーの竹林加寿子、小山由梨子両名によるコーラスが最高すぎる。
これだよ!!!これが私好きだったプログレッシブ・ロックだ!!っていう興奮が凄い。アドレナリンどばどば。
ピンクレディーのUFOかな?っていう疑問符が浮かぶイントロから一転、一気にゲームオープニングで聞き慣れた世界観が広がるところからして素晴らしき。
やっぱりプログレはイントロに力入れなきゃね〜って感じで、イントロが50秒とやけに長いのもお約束。
アウトロもギターソロでやりたい放題やってるし、かつてJ.A.シーザーウテナ曲が少しでも好きだった人には全員聴いて欲しい。
「変わらずのオリジナリティでやってるなあ……個性を貫くってこういうことなんだなあ」と謎の感動が味わえたり。

私もウテナJ.A.シーザーに触れた後、そこまで熱心に追いかけてた訳でもないけど
(「わたし革命ファルサリア《起源譜》」を買ったぐらい?)
それでも好きと言っていいのなら、こういう破壊衝動を掻き立ててくるようなエグいプログレロックが大好きです。
Aメロ「地獄のファサード」と「冥府のディーズよ」箇所のボーカル+コーラスのハモリとか、心震えない訳がない。

タイトル「ウィッチクラフト」の意味はそのまま魔女術で、「テオフィルの奇蹟」は13世紀にフランス詩人、リュトブフ【Rutebeuf】によって書かれた宗教劇「Le Miracle de Théophile(テオフィルの奇跡)」から。
ちゃんと「奇蹟」と「奇跡」で検索分けしてくれているところが助かる。

で、ここからはWikiの付け焼き刃知識なんだけど。
「テオフィルの奇跡」は、魂を悪魔に売ろうとした僧侶が聖母に救われるという最古の聖母奇跡劇。
今曲だけ聞くと、聖母の要素がどこにあるのか分からないが
間奏「バガビ ラガ バガビ ラマク カヒ アカバべ カルレリオス ラマク ラメク バカリアス カバハギ サバリオス バリオラス ラゴズ アタ カビオラス サマハク エト フアミオラス ハルラヒヤ」の歌詞は、「テオフィルの奇跡」にそのまま出てくる、魔術師が悪魔を呼ぶ時の呪文。
架空の言葉で綴られており、悪魔召喚呪文の元ネタとして有名。

Bagahi laca bachaé
Lamac cahi achabahé
Karrelyos
Lamac lamec bachalyos
Cabahagi sabalyos
Baryolas
Lagozatha cabyolas
Samahac et famyolas
Harrahya.

http://www.rutebeuf.be/data/ZINK_-_31_-_Le_miracle_de_Theophile.pdf


後半、「パラス アロン オツイノマス バスケ バノ ツダン ドナス ゲヘアメル クラ オルレイ ベレク へ パンタラス タイ」も同時期のフランス詩人:ジャン・ボデル【Jean Bodel】による神秘劇『聖ニコラ劇 (Jeu de Saint Nicholas)』内に書かれており、
同様、悪魔を呼び出す架空の言葉。

Palas aron ozinomas
Baske bano tudan donas
Geheamel cla orlay
Berec hé pantaras tay

Jean Bodel - Wikipedia 


他分からない単語も自分なりに調べた。
・「地獄のファサード
【facade】フランス語で建物の正面のこと / 建物の格式、性格を示す/ 見かけ,外見
赤心(=真心)呼び寄せ」と続くので、ニュアンス的にはロダンの「地獄の門」みたいな?

・「冥府のディーズよ
【deeds】行為 / 「evil deeds」で悪行というワードなので、それをもじった造語かなあ。
続く「エトルリア墓地へ導け」のエトルリア墓地は、イタリアにある世界遺産
紀元前8世紀から紀元前1世紀ごろの先住民族であるエトルリア人は、ネクロポリス(死者の街)を構築していたそうで。
エトルリア墓地はその一角、いわば霊廟。

町の中心には、とても深い井戸が彫られ、
井戸の下には死後の世界があり、生の世界とつながっていると信じられていました。
もちろん、死者の街にも井戸がありましたよ。

エトルリア人のお墓のお勉強、チェルヴェーテリのバンディタッチャ|イタリア ローマの新聞屋さん

死者の魂を弔うとともに、
死者が寂しくないよう安らかに眠るようにと
祈りを込められて描かれたであろう絵の数々 

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア墓地遺跡群

 あたりの文化が存在していることを思うと、ゲーム本編の『神獄塔』もこの「エトルリア墓地」から来ているのかもしれない。

ちゃんとタイアップ先の作品を意識してるフレーズ……なのかな、これ。
ただ単にJ.A.シーザーが己の魔女観を好き勝手に書いてるように思えなくもないような。
タントラ 瞑想 すべて交わる力」「君(わたし)があらゆるものであるがゆえに 悪魔も君(われ)なり」とからへんは完全にJ.A.シーザーの世界のように感じる。


いたるところで 生きる 生きてる  自分の姿」(「わたし万物百不思議」より)
光とて、影つくり わたしをわたしと対にする
 孤独の発生、その理由 わたしをわたしと対にする」 (「地球は人物陳列室」より)に見られるような、自己世界同一論。
こんな風に世界と自我の交わりを歌った歌って、興奮する人はするだろうけど、同時にアングラ色もどぎつい。
一般受けはしないだろうなあ、なんて言いつつウテナは受けたんだから、このメアリスケルター2もばりばり売れて、是非3のOPもまたこの面子で作られますように!