怖がりさんでも大丈夫 / vita「死印」【感想】

エクスペリエンスがvitaから発売しているホラーADV「死印」を、7時間ほどでフルコン。
めちゃくちゃ面白かったです。 

死印 - PSVita

死印 - PSVita

 

私自身、ホラーでオカルトチックな雰囲気は好きだけど、
びっくり系おどかしは無理という面倒くさいゲーマーでして。
「死印」は、そんな私の要望に完璧な形で答えてくれたADV。
「廃墟を探索してみたい!軽く怖くなりたい!でも追っかけとかマジで無理!」
っていうジレンマを抱える方におすすめ。


以下、ネタバレ

探索できる場面は、DLCである6章含めて4つ。
廃校・樹海・地下の研究施設・廃ホテル。
一番怖かったのは、唐突に子供の顔が迫り、笑い声が響く1章の廃校。
製作中に力尽きたのか、びっくり系要素はそれ以降は登場せず、6章で少しまた復活する程度。
怖がりの私でも大丈夫な微ホラー。

で、このゲームの何処が良かったって
全ての要素が高水準で、手堅くまとまっているところ。
キャラクターは全員地に足の着いた性格で、イラっとすることが一回もなかったし、
ビジュアルはパッケージを見てもらえれば分かる通り、超ハイクオリティな写実系。
BGMも良かったな、本当にサウンドの神保 直明は素晴らしい仕事をしたと思う。
特に第5章、地下で西洋風のクッションを見つけた時に流れ出す、あのメリィ専用と言ってもいい「死るし」!
心臓止まるかと思うぐらい、鮮烈に響き出すあのメロディーだけで、
死印は最高のゲームだったと言えるよ。
軍歌『荒鷲の歌』をBGMに地下施設を探索出来るゲームなんて、今作ぐらいのものだろうし。

怪異のモチーフに、考察の余地があるのも好きだな。
花彦くんの薔薇は、薔薇族(ゲイ雑誌)からきてるんだろうし
森のシミ男の蜂は、蜂群崩壊症候群(女王蜂以外全てのミツバチが巣からいなくなる原因不明の現象)から取ったんだと思われ。

ストーリー的には、6章が一番好き。
私はDLCが無料キャンペーンの時にDLしたけど、この内容なら1000円払っても普通に元が取れる。
今までの仲間全員が再び怪異に巻き込まれていくお祭り感が良いし、主人公以外のキャラクターの成長も著しい。
結末も寂しく、救いがないながらも、それでもその寂しさに余韻がある。

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それは……
……1匹の蜘蛛の亡骸だった。
蜘蛛は、まるで何かを抱きしめようとして、叶わなかったように……
その肢を丸めて死んでいた。

「気が済んだか…… さあ帰ろう」
そっと蜘蛛をつまみ上げ……
ハンカチに包むと、ポケットへと仕舞った。

主人公だけが、絡新婦に至った彼女を悼んだ。
自分と共に心中しようとした一匹の蜘蛛を連れ、館へと帰って行った。
この選択に、私は軽く泣いたよ。
5章までの主人公は、別にそんな優しいとか思わなかったけど、記憶を取り戻した後の彼はめちゃくちゃ優しくて、格好良い。
真下に「だから貴様の周囲には闇がまとわりつく」と忠告されるぐらいに。

こういうジャパニーズ・ホラーの探索系ADVをずっとやりたかった。
そして、もっとプレイしたい。
「死印」一本で終わらせてしまうには、余りにもあのキャラクター達は魅力的すぎる。
続編、お願いします!