偶然とは必然であり、 絶対運命でもある J.A.シーザー「わたし革命ファルサリア<<起源譜>>」感想

少女革命ウテナ/わたし革命ファルサリア<<起源譜>>

 
アニメ「少女革命ウテナ」に用いられた楽曲のうち、J.A.シーザーが編曲したものを集め、新たにリマスタリングしたアルバム。
収録内容は、以前発売されていた「天使創造すなわち光」&「体内時計都市オルロイ」と全く同じ。
2枚とも所持しているが、『2016年最新マスタリング、HQCDで音質も格段に向上』の一文に耐え切れず購入。
以前のものでは、ぼやけて遠くにあった音が、少なくともかなり近づいてきてくれた。
エレキギターの音もはっきりし、ドラムの存在感もちゃんと感じられる。
何より、やけに長引くアウトロを「何これ、つまんない」聞き飛ばさなくなったのが一番の収穫か。
「肉体の中の古生代」のラストで楽曲を覆う波音とか、背筋がゾクッとするほどの臨場感になった。
2016年2月地点における、J.A.シーザー氏のコメントが読めたのも大きな収穫。
絶対運命は天使を光に創造し、
バーチャル・スター的音楽を発生させ、肉体の中の古生代を呼び起こす。
そして天空高くスピラ・ミラビリス劇場を組み立て、
地球を人物陳列室としながら、
肉体星雲シュラを憧憬の天空に蘇らせ、
わたしを万物百不思議とした。
寓意・寓話・寓エストと唱えながら、
やがて、わたしを平俗宇宙の皇帝としてくれた。
同胞と信じている天然宮殿の遠近法は、人生の画法となり、
ワタシ空想生命体の体内こそ
 体内時計都市オルロイであると定めもした。
 
人生は偶然であるとされているが、偶然とは必然であり、
絶対運命でもあるということを演劇から教わったことで
少女革命ウテナ』との出会いは絶対運命であったと思っている。
タイトル名を繋げて綴られた文は定番と言えど、J.A.シーザー直々に語られるとやっぱりグッとくるな。
 
収録曲。好きな曲は青字、大好きな曲は赤字。
 
絶対運命黙示録  絶対運命黙示録  出生登録・洗礼名簿・死亡登録
2. 肉体の中の古生代 
肉体の中の古生代  生き続ける 死に続ける 語りかける古生代
連鎖ないわたし なのに繋げる力  天体よ  どうしてこの世にわたしがいるの
4. 架空過去型「禁厭」まじない  
はるか昔のわたしへ テン ツー ワン ゼロ! テイク・オフ!
5. 何人も語ることなし  
光って生まれ、光って消えた 生まれ消えたわたし星
6. 天使創造すなわち光  
快楽原則 ニルヴァーナ原則 死の必然性、すなわち光
7. スピラ・ミラビリス劇場  
ふたたび 生きる ために死ぬ スピラ ミラビリス  アーアー 驚異の渦巻
8. Wの予言 
記憶のおりの血の流れ  千年至福のゆりかごの わたしは俳優たとえて永久
9. ラスト・エヴォルーション(進化革命前夜)  
運命、選択、グッバイ論 わたしとあなたは天の河
10. 地球は人物陳列室 
無限に対の関係が 二枚の鏡の狭間で 増殖していゆく欲望の
11. バーチャルスター発生学  
さらなる円環無限に果てなき 一つの有機的な機関 一つの永久運動装置
12. アドゥレセンス黙示録 instrumental
13. わたし万物百不思議  
14. 寓意・寓話・寓エスト 
15. 平俗宇宙に不滅の皇帝  

キラキラ 夢想 ユラユラ 想像 カラカラ 空想 セラセラ 発想

17. 天然同胞宮殿遠近法の書 
18. ワタシ空想生命体  
19. 体内時計都市オルロイ
黄道わたしの十二宮 ゾディアック わたしゾディアック
20. 絶対運命黙示録 (Adolescence cover) 
 
とある作家が「貴方にとっての文学とは?」と質問され、「人生をどう生きるのか示してくれるもの」と答えていた。
その定義を使わせてもらうなら、間違いなくこのアルバムは私にとっての文学だった。
人生をどう捉えるかの、手引書。
特にマーカーで二重線でも引いておきたいのが、以下の2つ。
ただ、昨日という閉ざされた暗闇に
 ただ、今というほんの瞬間の閃光に 
 ただ、明日という光待つ暗闇に」(何人も語ることなし)
光とて、影つくり わたしをわたしと対にする
 孤独の発生、その理由 わたしをわたしと対にする」(地球は人物陳列室)
前者について、自己啓発本なんかで手垢の付きまくった表現だが、やはり人間には「今」しかないのだと強く思う。
昨日も明日も全部不明、不明、不明。
やるのなら今、やらないのなら今、楽しいのは今、苦痛なのは今。
全てのことは、今だけのことだと思うと、なんだかすごく楽だ。許されたような恍惚。
後者についても同様だ。
他者との距離などはもはやどうでもよすぎるほどどうでもよく、わたしがいて光があるかぎり常にわたしはふたりで、だから孤独。
私も常々「寂しさは厄介だ。誰といようと、どうしようもない」と思っていたが、その答えをビシッとJ.A.シーザーの言葉は指し示してくれていた。
J.A.シーザー少女革命ウテナ(もしくは幾原邦彦監督)との出会いが絶対運命ならば、私と「わたし革命ファルサリア<<起源譜>>」との邂逅も絶対運命であろう。
そのくらいの自惚れは許してほしい。