復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

PSアーカイブス「幻想水滸伝」&正午の夜「誤認の上にて」&おかめ「梔子館の扉」感想

一口ゲーム感想3つまとめ。
 

幻想水滸伝

 
・正午の夜「誤認の上にて

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・おかめ「梔子館の扉

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以下、それぞれネタバレ一口感想。
 
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幻想水滸伝I&II

幻想水滸伝I&II

 

PSアーカイブス「幻想水滸伝Ⅰ&Ⅱ」のうち、Ⅰをプレイ時間16時間でクリア。
きっかけは「幻想水滸伝 紡がれし百年の時」主題歌、石川智晶The Giving Tree」に描かれている世界観を理解したかったため。

The Giving Tree

The Giving Tree

  • provided courtesy of iTunes

ところが紡がれし百年の時は評判が悪いようだし、まずは1851円でダウンロード出来る初代を選択。
いやー、本当に面白すぎてビビッたね!!!めちゃくちゃ面白かった!!
初代でこれだけ面白いのに、傑作と名高いⅡなんて一体どうなってしまうんだ……と心配してしまうぐらい面白かった。
いかに無力を感じようとも、人は意味なき存在ではありません」とある通り、108人のキャラクターを仲間にする甲斐があるゲームだった。
108人のその後をちゃんと描いたEDもグッド。
主要陣は当たり前だが、僕っ娘テンガアールとひ弱なヒックス、「あなたが信じたものを わたしも信じる。信じるように がんばってみる。」と言ったシルビナ、フッチとブラック等NPCも好きなキャラばかり。
ただストーリーは「The Giving Tree」というより「それは紛れもなく〜選ばれし者のソリチュード〜」を彷彿とさせた。

膝下にまとわりつく世情 高みに登らされて その悲しい代償こそが あなたを本物にさせていくから

英雄にまで担ぎあげられて、それでいてその役目を全うした坊っちゃん
彼が王国を去る最期のショート・ムービーに、薄々感じてはいた、孤独とやるせなさが沁みた。
父親を倒さねばならなかったのも、仲間を指揮して戦うのも、その仲間が命を落としていきながらでも進まねばならなかったのも、「あぁ、嫌だったんだろうな」と素直に思う。
だからこそグレミオ生還ENDの大勝利っぷりがすごい。f:id:iroribatadanngisitu:20161023160917j:plain
自身が打ち立てた国を去る男、その背中に108人中ただ一人寄り添えるのだから、そりゃたまんないわ。
 
 
・正午の夜「誤認の上にて
 

プレイ時間10分のワンマップ探索ゲー。
やけに好みな絵柄だと思っていたら、以前にも感想を書いていた正午の夜様の作品だった。

マップの右上しかり、タイトルロゴしかり、とにかくビジュアル面が秀逸。
V系美青年×関西弁の神父様というキャラクターも、多少の毒を孕みつつ、そんなところが可愛い。
「飲み物に薬を混ぜた話しましたよね」
したなぁ
「そうして、無抵抗の人を殺した話も」
うん、ちゃんと聞いてたで
 
……うん。だけどな、そんなことは、なかった
上記の会話を聞いた後、タイトル画面に戻ると全ての意味が分かる仕組みが気に入っている。
出入り口のない例の部屋、間取り図を模したタイトルロゴ、瞼を閉じている神父様とかね。

 
・おかめ「梔子館の扉
 

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3分程度で読める短篇×5話という構成の六感刺激型紙芝居。
ビジュアルの美しさと幻想的な文章、シックなクラッシックBGM等、いちいち全部がツボだった。
特に第1話「宴はいつまでも」と第2話「時の水辺」が好きだ。
橙と群青、深みのあるコントラストがおしゃれ。
ジェントルマンな老使用人に案内されているかのような文体も心地いい。
この場に残るのはただ、過日に宴を楽しんだお客さま方の残滓だけ……
夜明けを迎えたくないと望んだ方々が残した、永久に続く賑やかしい夢だけなのです。
帰るべき場所をなくしてまで続く宴に、加わる意味が果たしてあるのかどうか。
客人になったことのないわたくしには、分かりかねることでございますが……。
昔からどこか世にも奇妙な物語っぽさを感じる話が好きなので、今作なんてまさにド直球。
ラスト、館の行方がわからなくなる展開も私好みだな。
梔子館。夏の太陽の下でだけ姿を現す、森の奥の謎めいた館。
扉が閉じた今、あの館へ辿り着く道など、きっとこの世のどこにもありはしないのだろう。
今作をプレイしながら、どことなく綾辻行人霧越邸殺人事件」を思い出したり。
霧越邸殺人事件 (新潮文庫)

霧越邸殺人事件 (新潮文庫)

 

私は、自分があの家に見続けていた”祈り”が何に捧げられていたものだったのか、それに答える一つの言葉を見つけた。
それは、眠りだ。
音もなく、時さえもなく、昏々と続く深い眠り。
過去も未来も現在も、全てをその中に包み込んだ、決して何者にも乱されることのない眠り。
いずれにせよ、いつか私は再びここを訪れることになるのだろうと、それだけは妙に確信をもって思った。
いつかまた、あの白い渦に包まれた洋館の中へと入って行く。