復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

総集編部分8点、ラスト15分だけ90点 劇場版「ゼーガペイン ADP」感想

ゼーガペインADP

 
劇場版「ゼーガペイン ADP」を観てきた。
上映時間は117分、約2時間。
個人的な感想を言うなら、終盤15分間は90点で序盤からの約100分は8点ぐらい。
完全なファン向けムービーで、私はこれを楽しめるファンのタイプじゃなかった……のは残念だがでもやっぱりラスト15分は大好きです。
以下、ネタバレ感想。

 

開始30分あたりから「ゼーガペインって、こんな風にわざと時系列を分かりにくくして、視聴者に読解を求める作品だったっけ……」と観ているのが苦痛になってしまった。
とにかく今がいつなのか全然掴めなかったし、観返して時系列を整理できたところで面白くなるかと言われたら、正直ならなさそうなのが痛い。
序盤、キョウの妹とかなり進化した通信端末が登場、キョウの額にもセレブラントのマークが出たので「お、これ本編後の話か?」と思ったら、ループするたびに通信端末はスマホへ、折りたたみガラケーへと退化していく。
本編でキョウが使っているのは、10数年前の作品なので当然ガラケー
それより未来の技術を使っておきながら、本編より過去である前日譚のループっていうのがマジで意味不明。
リョーコが言った「未来の記憶」、その未来がごちゃまぜになって過去となっているので、ワケガワカラナイヨ……というストレスしか感じなかった。
 
総集編部分も8月31日のリセットを4回もやるのはくどかったし、せっかくの前日譚なのにルーシェンやメイウーとの関係性が深く掘り下げられなかったのも不満。
コクハラ・ナツミ先輩との恋愛模様に割いた時間に、何の意味があったのか、誰か教えて欲しい。
「ミサキ・シズノ……大切な名前だ」的な事をキョウが言ったことと関連があるのか、ないのか。
そしてなぜキョウは突然シズノにキスしたのか、本編でも理解不能だった行動は今作でも謎。
コクハラ先輩を失った喪失感を、イェルで埋めようとした?まさかそんなタイプでもないだろうに。
 
という感じで、中盤までの100分は分かりづらい上に、しつこいリセット描写で全く面白くなかった。
ロボの作画は流石10年の進歩を感じさせてくれた(特にアルティールが光の鎧を纏う所)が、日常パートの作画はしょっぱいし。
 
ただ終盤15分間は、最高だったんだよな〜〜〜〜!
そのまま本編1話冒頭に繋がる月面での攻防戦。
消されるな、この想い」「忘れるな、我が痛み」この2つのキャッチコピーを体現したような展開とカットばかりだった。
復元不能である30億人分の記憶データをぶつけて、相討ちとする作戦の非情さ。
装甲が剥がれ、為す術もなく犬型兵器に群がられるゼーガペインの無念さ。
消されてしまった想いとは、忘れてはならなかった痛みとは、今、スクリーンに映しだされているこの光景なのだと興奮しっぱなしだった。
簡潔で残酷な、世界からの回答。
これこそが私の好きなゼーガペインだったと心の奥底から強く思った。
6話の「まいったな、カミナギ。俺もお前も幻だってさ」や、13話の「カミナギ・リョーコ、ロスト…!!」を目の当たりにした衝撃に近いものを、劇場版でまた見せてくれた。
この15分のために、わざわざ劇場まで足を運んだ甲斐があったよ。
後は、揺れる白花に合わせて「リトルグッバイ」が流れたら完璧だったが、エンドロール後のクレジットに「NEXT」と続編予定が示唆されたので多少は納得。
リトルグッバイ

リトルグッバイ

また次の映像作品まで、ゼーガペインお得の「リトルグッバイ」ED入りを取っておくというのなら、もちろん幾らでも付き合う。
手放しで褒められる……とは言えない今作だったが、それでもゼーガペインらしさを最後にぶっこんできてくれた、もうそれだけでいい。