出だしのティンパニロールからして神 see-saw「君は僕に似ている」(アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」ED4)感想

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個人的お気に入り度 5 / 5
 
私が今曲「君は僕に似ている」を知ってからほぼ十年。
ようやくシングルを手にして、カップリング曲「静寂はヘッドホンの中」とwithout vocalバージョンの全4曲を聞いた。
「君は僕に似ている」が発売されたのは2005年8月3日で、あれからちょうど11年。
11年経ったこの夏に、私は全く飽きることもなく、延々とこの4曲をリピート再生し続けている。
 
幼少期に触れ、ゆえに自分の嗜好のコアとなった創作物を、誰しもが何かしら持っていると思う。
小説だったり、音楽だったり、ゲームだったり、本当に千差万別だろうけど、そういうのって、やっぱり別格で特別な存在だ。
私にとって、see-saw「君は僕に似ている」はそういう特別な曲だった。
自身の音楽嗜好を形作った存在。
梶浦由記の作編曲に、石川智晶の歌声に惹かれたからこそ、今曲が機動戦士ガンダムSEED DESTINYのエンディングだったからこそ、私は今でもアニソンを毎クール飽きもせず追っかけているんだと思う。
see-sawは活動停止してしまったけれど、梶浦由記石川智晶は別々に未だにアニソン業界にいる。
それは本当に凄く、奇跡みたいな事で、なんだかもうありがとうとしか言えない。
今曲を生み出してくれて、CDに収録してくれて、未だに活動してくださっていて、ありがとうございますだよ。
 
see-sawの円盤はアルバム「Early Best」「Dream Field」とシングルの「あんなに一緒だったのに」を持ってはいたが、「君は僕に似ている」だけ、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY COMPLETE BEST’」で抑えていた。
ゆえにカップリング曲の存在こそ知っていても、シングル購入は見送っていたのだ。
11年経った8月にふと購入を思い立った自身に驚くが、まあいつかは聞きたいと思っていたのも事実。
結論を言えば、買って良かった。特にwithout vocal ver.が素晴らしい。
アマゾンだと「オリジナル・カラオケ」となっているが、シングル自体の表記はwithout vocal。
つまりボーカルがいないだけなので、サビ手前からがっつりコーラスが入っている。
このコーラスだけ、というのがこれまた聴き応えがあるのだ。
インストというよりは、もはやアレンジバージョンと言って出しても通用するぐらいに空気が変わる。
私にとっては、紛うことなき神曲を収録した、名盤であり続ける一枚。
 

 

1.君は僕に似ている
君は僕に似ている

君は僕に似ている

君の姿は僕に似ている 静かに泣いてるように胸に響く 

まず、出だしのティンパニロールからしてやばい。
始まって僅か4秒で「あ、これ神曲だわ」と確信できる響き。
ロボものならではの壮大な迫力と、see-sawならではの上品さを音で体現してて、そこに石川智晶の歌声が乗っかってくる。
この石川智晶の歌声も、see-saw時代特有の硬質で透明な無機質さがある。
感情を排しているようで、でもフレーズは「君の姿は僕に似ている」と、一人称と二人称を用いたかなり主観的な内容。
そこら辺のギャップにまずはグッとくる。
アレンジも弦楽器のストリングスとピアノとシンバル等、オーケストラを感じさせる楽器を使いつつ、間奏でアコギを入れてくるのがズルい。
Aメロ前のアコギ2本の音は、とても乾いていて、どこか寂寞感が漂う。
そこら辺の匙加減が上手すぎるだろ、梶浦由記は。
Bメロでじわじわと入り込んでくる電子音に、ガンダムSEED DESTINYらしさがあるような。
2番でその電子音が、高音のピコピコした音になるのも、変化があって聞き飽きない要因の一つだ。
間奏も、11年経った今でさえ古臭さが全く感じられないところが凄い。
序盤はストリングスとティンパニ、中盤からピアノ、最後の盛り上げはアコギ…など王道の楽器を使って惜しみなく奏でているから、いつ聞いても新鮮さを失っておらず。
イントロからアウトロまで、どこを切り取っても凄いとしか言えない神曲
 
歌詞についてはもう言うことなし。全フレーズ大好きだ。
一曲だけで、君と僕の関係性がうつろいゆく骨太なストーリーを垣間見せてくれる。
前シリーズタイアップ曲「あんなに一緒だったのに」を踏まえて見てもいいし、今曲だけで見たって十分に素晴らしい。
アニメ本編を観ていないので、確信は出来ないが、個人的には「あんなに一緒だったのに」と繋がっていると解釈している。
あんなに一緒だったのに ふぞろいな2人に今 たどりつける場所など無いんだ」と歌った前シリーズ。
幼少期を共に過ごし、別離した2人の関係性は、今曲でまた成熟していく。
こんな風にしか生きれない 笑って頷いてくれるだろう 君なら
君に僕から約束しよう いつか僕に向かって走ってくる時は 君の視線を外さずにいよう きっと誰より上手に受け止めるよ」と。
「あんなに一緒だったのに」では感じた、道が違ってゆく戸惑いと寂しさによる慟哭は影を潜め、今曲で感じるのは達観した愛しさだ。
二人なら終わらせることができる」「僕は君に生かされてる」とあるように、どれほどお互いがお互いにとって重要な存在なのかだけが歌われている。
違う夕暮れを迎えても、やっぱり最期は同じ世界を見ている君と僕。
そういう人間関係の機微を察することが出来る、察せさせる歌詞を書くと天才だと思うぞ、石川智晶
 
 
2.静寂はヘッドフォンのなか
静寂はヘッドフォンの中

静寂はヘッドフォンの中

君の抱えてるものを半分下さいと なぜ言えなかったんだろう

メロディーというより、編曲に梶浦由記らしさが存分に表れている一曲。
AメロBメロサビ2番というオーソドックスな構成ではなく、少し変則的な構成である点とか、間奏にフルートを用いるところとか。
印象としては、序破急。静かな出だしから急速に展開し、急速に収束して終わる。
イントロのシンバルロールから、エレキギターが介入してくるところに、ガンダムSEED DESTINY関連曲ぽさを感じるな。
サビでは表題曲とは対照的に、エレキギターとドラムを全面に打ち出しているので、激しい哀しさがより胸に迫る。
歌詞を見れば分かるように、今曲で主題に据えられているのは自身の未熟さに対する後悔だ。
君の抱えてるものを半分下さいと なぜ言えなかったんだろう
何が怖くてきれいな景色を 壊したのかわからない」と。
今なら「気持ちを裸にすればするほど 安らぎに会えたのかもしれない」と分かる。
でも当時の自分には、それが分からなかったし、例え頭で理解していても行動に移すことは出来なかった。
だって「優しさを口にするにはたぶんまだ早すぎた」から。
そこら辺の若さがもたらす苦さというのは、生きていく以上どうしても避けられない。
そしてどうしようもなかったからと言って、相手に負わせてしまった傷や自身の後悔が軽くなるはずもなく。
うーん…こういう人間関係の機微を書かせたら石川智晶はやっぱり天才(2回目)
ピアノの伴奏だけを友とし、呟かれる「君はどうしているのだろう」がとても物哀しい。
君は今も生きていて、だけど僕は君がどこで何をしているのか知らない。
死の別れではないからこそ、自責の念が尽きることはなく、それに寄り添うように消えるアウトロが切ない。
 
 
3.君は僕に似ている without vocal
 
アレンジと歌詞については原曲の方で書いたので、ここではコーラスについてのみ。
出だしからしてがっつり低体温のコーラスが入っている。
原曲でさえ大きいと言えなかった抑揚がさらに抑えられており、いい意味でボーカロイドのような合成音声感がある。
特に今曲で好きなのは、Bメロで入ってくる英語のコーラスだ。
1番では「I just keep me in the rain」2番では「I just keep in mind in the rain」と歌っているように聞こえる。
直訳すれば「私は私を保ち続ける」と「私は記憶に留めておく」だろうか、この雨の中で。
(※英語&ヒアリング能力皆無なんで、間違っていたら誰か教えてください。割りとマジで)
選んだ今を生き続ける自分でいること、砂にまみれた靴を覚えておくこと。
僕の覚悟が静かながらも伝わってくる、ワンフレーズだ。
それに、このwithout vocal ver.を聞いていなかったら、フレーズの後半に「in the rain」と言っていることさえ気付かないままだった。
という訳で、今曲に関しては感謝しかない。
ちなみに、サビでもう一つ高音のコーラスが入ってくるのもいい。
2番で言う「僕からー」と「しーせんをーー」の箇所だ。
一部分とはいえ石川智晶の声が3つも重なっているのだから、そりゃ神聖さぐらい出る。
 
 
4.静寂はヘッドフォンの中 without vocal
 
こちらもコーラスについてのみ…だともうあまり書くことがないな。
すごい好きなんだけど、2曲目で言いたいことは言い切ったということで。
Bメロの一部分「君のかかーえてるものをーー なぜ言えなかったんだろうー」+サビのコーラスが、とにかく高音。
優しさを口にするにはたぶん」のところはいくら加工しているとは言え、石川智晶が出せる音域の中でもかなり高い部類に入るのでは。
ここまで高い石川智晶の歌声は、今では中々聞けないので貴重だ。
壊したのかわからない」で「わからない」とコーラスが入るものの、ラスト「君はどうしているのだろう」には入っていないところにグッとくる。
 
 
以上。
今曲やベストアルバムを聞くと、いつもガンダムSEED&DESTINY見たいと思うものの50話+50話=100話のボリュームに怯んで終わる。
100話って本編約22分×100で2200分、36時間。
36時間かーーー……頑張れば観えないこともないのか?
いや、でもコミカライズなり何なり読んだ方が早いような……でもそれだとOP&EDを楽しめないし……。
なんかこう、3時間ぐらいでさらっと把握できる媒体ないかな。ないか。