復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

あの子が欲しい 相談しましょそうしましょ 鬼頭彗星「千夏ちゃんとあそぶ花一匁」 フリーゲーム感想

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個人的お気に入り度 3 / 5
 
鬼頭彗星「千夏ちゃんとあそぶ花一匁」というフルボイスノベルゲーをプレイしました〜!!
所要時間は20分ほどの短編一本道。
<ストーリー>
私も、あの子のような恋愛がしてみたかった
恋人や家族からの裏切りで、愛という物に虚無感を抱くようになった美少女・理子(りこ)。
そんな彼女の瞳には、不器用な恋愛を繰り広げる同級生・千夏(ちか)の姿は不可解に映った。
しかし理子は気付く。自分は、千夏に憧れを抱いているのだと。
やがて憧憬は、更なる想いへと移ろい――

しかしふとした事が切っ掛けで、理子は千夏の真の顔を知ることになる。

理子と千夏、対照的な少女たちが織り成す、短くも鮮烈な愛憎劇
 

物語的には特に可もなく不可もなく。
女子高生の間で恋人を寝盗っただの寝盗られただの、哀れみが嫌いだったのだの見返してやるだの。
復讐劇兼愛憎ものだとわりとありがちな展開だったように思う。
ただホラー作品としてみるとグッときた演出が2点あった。
その2点が素晴らしかったもんで、以下追記感想。ネタバレだよん。
 

 


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まずは仄かな憧れが強烈に裏切られる瞬間の鮮やかなこと鮮やかなこと!!
開始5分でこのインパクトはズルい!!!
直前まで理子が持っていた「どうしよう…話しかけてみよっかな」という甘酸っぱい期待感に、
プレイヤーである私も没入していただけに。
唐突に悪意を突きつけられる恐怖
その鋭さにビクッ!!!となっただけでも、このゲームをプレイして良かったと思った。
 
 
2点目は音楽
タイトルバックで流れるピアノも素敵だったし、エンドロール後に歌われた 
はないちもんめ(独唱) がかなり不安を煽る
「うわうわうわ、これはくるわ」と身構えた上での、硝子音も効果的だ。
エンディングを迎えると、タイトルバーも変わる点もじわじわと怖くなってくるギミック。

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理子にとって、自宅だけが、父親だけが聖域だった。
そこへ侵入される恐怖っていうのは、対象が何であれすさまじいものがあるだろう。
始まりは学校で、終わりは自宅リビング。
タイトルバックの背景が表すものが、そのままこのゲームの核を表していると思った。
千夏ちゃんに遊ばれる場所の推移だよね。逃げ道がないっていう。