復元可能な灰壺

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フリーゲーム感想3つまとめ spice+「すいーとすぱいすさもなー」&ぶろんずれべる「月見紅葉」&正午の夜「砂糖菓子と硝子片の悪魔」感想

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spice+「すいーとすぱいすさもなー」&ぶろんずれべる「月見紅葉」&正午の夜「砂糖菓子と硝子片の悪魔」という3つのフリーゲームをプレイさせてもらった。
「すいーとすぱいすさもなー」は女性向けイケメン召喚バレンタインゲーで
「月見紅葉」はBGMの雨音が雰囲気ある、兎(?)が主人公のライトなほのぼのADV、
「砂糖菓子と硝子片の悪魔」は舞台設定の静謐さと、キャラの哲学観がクセになる謎解きゲームだ。
どれも違う作風、空気間、ジャンルながらさくさくとプレイできるので、さくさくと楽しませてもらった。
追記からは個別&ネタバレ感想。
 

 

・spice+「すいーとすぱいすさもなー

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個人的お気に入り度 4 / 5


全7ENDをコンプリートするのには約30分。コツを掴めばもっと早いはず。
<ストーリー>
主人公は使い魔を使役出来る召喚士の見習い少女。
バレンタインデーを前に、イケメン使い魔を調合&召喚することで目指せリア充!!…みたいな乙女(?)ゲー。

薬草の調合も、それによって出てくるイケメンとの触れ合いも、どっちも楽しかった!!
調合のヒントは町民の台詞に出ているのだが「仄かな優しさ」や「密かな情熱」等
形容詞で分量の割合を示す、程よい難易度が良かった。
最初の10分は、ああでもないこうでもないとブニャーンを召喚しまくるのだが
一人イケメンを召喚できたら、後は連鎖的にレシピが見えてくる。
なのでほぼノンストレスで8人+1人のイケメンとのイチャイチャを楽しむことが出来た。

キャラで言えば、一番好きなのは 陽気さ5:仄かな優しさ2 で出てくるチャラオだ。

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元々変態属性のキャラが好きなのに加え、チャラチャラしているように見せかけて、実は主のことを慮るような言動を取るのがたまらない。
可愛い上に性格がイケメン!!個人的には満点!!
安眠枕にもしたいしサンドバックにもしてあげたいね!!
あと水色髪というビジュアルも好みドツボ。

2番手は刀剣男子ならぬ魔剣男子、銀刃-フォルツ-君。

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たまらない…たまらないよこの言い回し!!可愛い、すっごく可愛い!!
立ち絵だと目が髪に隠れて見えないビジュアルもクールかつ厨二病で最高!!

なのでこの2人+男の娘お嬢様(エニュート)の3人ENDであるEND6に辿り着いた時は、かなりにやにやした。

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自分の世界を展開するエニュートに、場を盛り上げまくるチャラオ、それを止めようとして暴走する銀刃。
この組み合わせハーレムはもう天国でしょ!!!
欲を言わせてもらえば、4人の掛け合いはもうちょっと見たかった!!!
濃いメンツ同士のドタバタ劇とかすごく好きだなんだよ…私…。

その他にもヤンデレ好き大歓喜のEND4「夕闇に染まる狂喜と愛」や
主人公がお師匠さまと読んで慕っている青年との邂逅エピソードが見えるEND7など、読んでいて楽しいENDばかりである。
ただただイケメンの言動にニヤニヤして、萌える!!!!とじたばたしていた30分間だった。

 
 
・ぶろんずれべる「月見紅葉

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個人的お気に入り度 3.5 / 5

分岐はなしの一本道ADVで、約20分。
第10回ふりーむ!コンテストにて、ふりーむ賞受賞作品。
<ストーリー>
毎年秋に開かれる、月見紅葉というお祭り。
だが今年はあいにくの雨で中止になりそう…。
主人公であるうさぎのオトニョは、雨雲に隠れた月を輝かせるために精霊の元へ…というほのぼのゲー。

軽い謎解き要素があるが、つまる箇所は0。
鍵はすぐに見つかる場所に隠してあるし、水・火・風・土・樹の妖精の元を訪れれば何かしらのヒントは得られる。
プレイし始めてから、流れるようにENDを迎えられた。
難易度とストーリーから考慮するに、キッズ向けというのが妥当な印象だった。
ただ、展開自体は感動させるツボをしっかり押さえてあるし
(終盤、妖精が次々に祭り会場へ駆けつけてくれる場面はちょっと涙腺にきた)
担当:エイトソニックの音楽が素晴らしかったので、お気に入り度としては3.5。
特にゲーム全体に流れているBGM「雨音」は、哀愁と切なさをにじませた、とても良いメロディーのピアノ曲だ。
バックに絶えず、雨音のSEがしているのも淋しげな雰囲気を掻き立ててくれてグッド。

それと、クリア後も気になるのが森の洋館。

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新しい絵と古い絵、ずたずたにされたように見える小道具なんかに裏設定を深読みしたくなるマップだ。
 
 
 
・正午の夜「砂糖菓子と硝子片の悪魔

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個人的お気に入り度 3.5 / 5

付属していた謎解きの攻略をガン見したのでプレイ時間は約15分。
ふりーむ!第10回ゲームコンテストにて、マップデザイン部門銅賞受賞作品。
かつタイトルが詩的で素敵だったのでプレイしてみた。
<ストーリー>
とある村に立ち寄った旅人風の主人公は、郊外にある館の悪魔退治を依頼される。
魔術関連の心得は多少ある主人公。
向かった先は雪が降り積もり、謎が立ち塞がる堅牢な館だった…みたいな謎解きゲー。

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個人的には謎解きのギミックではなく、主要キャラクター3人の生き様に惹かれた。
都会で様々な学問を学び、故郷への帰路を辿る主人公。
祖父母を「僕は考えることを放棄する人間を同じ生き物とは認めません」と言い放つ、女装男子:アレックス。
とにかく死にたくて死にたくてたまらない、悪魔。
正直、この3人の現状というか、やろうとしていることはどれも無意味だ。
閉鎖された田舎の村で、学問が何の役に立つ訳でもなく
同じ生き物とは認めないと言いつつ、一人で生きて暮らせていける経済力もなく
どれほど自身の体を追い詰めようと、人外である悪魔の呼吸は止まらない。
ゲーム全体に漂う薄暗さは、サウンドや雪原マップの影響もさることながら、
主要キャラ3人の、未來に対する希望のなさからきているのだと思う。

ただ希望がないからといって、簡単に死ねるもんでもないんだよな、人生。
生きている限りは、生き続けなければいけない。どれだけ閉塞的な環境でも。
主人公は歓迎されていない状況でも、未来の悪魔に対抗するために知識ある人間を増やそうと決意し
アレックスは、主人公を「いいんじゃないですか。馬鹿は馬鹿で、それくらい突き抜けないとかえって格好がつかないでしょう」と見送り
悪魔は、アレックスから贈られた知恵の実型の砂糖菓子をかじるのだろう。
この3人に共感したくなる箇所はほぼない。
ないからこそ、私はこの3人(特に、志は立派だが不条理な目に合う予感がびしばしする主人公)について考えてしまった。

故郷の無理解の中で、正しいと思うこと(=教育)をやり遂げようとする主人公。
その姿を偉いとか立派だとか、私はそんな風に思えないのだ。
心のどこかで、馬鹿にしてしまう。そんな自分が、確かにいる。
どれだけ立派でも、周囲の理解を得られないことはすべきじゃない…なんていう腐ったような波風立てない主義が自分の奥底に根付いていることを、嫌でも自覚させられる。
そんな、一種の哲学めいた要素さえあるゲームだった。

…そういや今気付いたけど、主要キャラ全員男だな!???



という訳で以上、spice+「すいーとすぱいすさもなー」&ぶろんずれべる「月見紅葉」&正午の夜「砂糖菓子と硝子片の悪魔」感想だった。
イケメンとのイチャイチャも、夜空を晴らすための奔走も、自分の嫌な部分に向き合うことも、どれも面白いゲーム体験だった。
やっぱりフリーゲームっていいものですね。