一本調子のハイテンション 藍井エイル「D'AZUR」感想

D'AZUR

 

 Mステに出演したアニソンアーティストとして大々的に宣伝されていたので聞いてみた。今一番勢いのあるアニソン歌手…なのだろうか。

歌唱力がある、というよりは声を張り上げて歌うだけの曲ばかりという印象。 

何より歌詞に魅力がないのが一番痛いところか。

ただ上手くハマれば勢いのあるアニソンに仕立て上げてくれるボーカリストなのは事実。

 

1「awakening」:物々しい重工業のようなインスト
「※awakening:覚醒」

 

2「IGNITE」:テレビアニメ『ソードアート・オンラインII』OP
メロディとアレンジはハイスピードかつ疾走感のあるものに仕上がっていると思うが
サビのボーカルが気になる。ボーカルのせいでいまいちノリきれない。
「迷わずにいまーーー矛盾だらけのーせーかいを」と間延びして聞こえる。
あと間奏があけるときに挿まれた「パリーン」というガラス音は安直過ぎてダサイ。

「※ignite:燃える、点火する」

 

3「ラピスラズリ」:管弦楽のストリングスが心地良い。ただ全体的に音が多すぎてやかましい感じはする。
これぞアニソン!という感じの少しダーク系。ただそれにマラカスが加わることで妖艶さを感じさせる。
前曲で感じた間延びしている部分がなくなり、いい感じだと思う。
個人的には今作中のベストトラック。

 

4「ゆらり」:「さよなら」「嘘じゃない」を3回繰り返すところ、どれも同じ歌い方ならなぜ3回も繰り返したのだろう。
メロディーはキャッチーだが、前の2曲と歌い方は全く同じである。もうちょっと明るく歌ってくれてもよかったのでは。

 

5「シンシアの光」:歌唱にしたってアレンジにしたって歌詞にしたって「なんかありがちだなあ」と思わせる一曲。
時を越えて 笑顔に戻れるから」なんてアニソン界でどれほど使い古された表現なんだ。
あとやはり低音がこもってると思う。ドラムの音をもうちょっと目立たせてやったほうがアクセントになって良かったのでは。
「※Cynthia:女の名、月の女神」

 

6「QUIT」:あと少しマニアック要素を足したら「妖精帝國」あたりが歌っていてもおかしくない雰囲気。
ただ妖精帝國はこういったメタル風ゴシックを萌え声で歌っているからギャップがあったんだなと思う。
藍井エイルの歌声で歌われても勇ましいだけで、目新しさに欠ける。

 

7「Bright Future」:そこはかとないavex系ミュージック臭が漂う一曲。
もう少しバスドラムがきつくなければ、avexで出せると思う。

 

8「JUMP!!」:特筆すべき何かが何もない

 

9「幻影」:音がぎゅうぎゅうに詰め込まれてるアレンジは別にいいんだが
メロディーのサビがいまいち突き抜けてないせいで、どこかずっこけ感が漂う一曲。
間奏とアウトロぐらいの勢いがサビにも欲しい。
「※dazzling:目も眩むほどのまぶしさ」

 

10「ずっとそばで」:2番のピアノ伴奏がスタッカートなのがアクセントになってていいと思う。
ただ間奏の主旋律は弦楽器かエレキギターのどっちかにしたほうがいいと思った。
音が散漫かつそれぞれの自己主張をしすぎという印象。もうここにタンバリンまで入ってきてなにがしたいんだ…。

 

11「GENESIS」:このアルバム内で「は」音がシンプルにまとまっている…ような気がした。
ドラムもむやみやたらに打ってるのではなくて、ちゃんと緩急つけているところが好印象。
アウトロのコーラスも神聖さが出ていて好きだ。

 

12「ツナガルオモイ」:何かもを無難にこなした一曲。

 

13「青の世界」:バラード。イントロだけ聞くと「おお、やっとシンプルな曲がきたか」と思ったがそんなことはなかった。
数々の楽器の音が入ってくるせいで何を目立たせたいのかもうよく分からない。
ボーカルか?ギターか?ストリングスか?ピアノか?ウインドウチャイムか?吹奏楽器か?

 

14「BREAK OUT」:ラストトラックにして、藍井エイルの歌声はこういったクラブミュージックと相性がいいんだと思った。
エフェクトのかかった電子音と上手くマッチしている。
近頃 化石みたいな 感動のStory マジで探そうよ」の言い回しは独特でいい。「化石」と「マジで」の単語の対照が好きだ。

 

 

唯一歌詞で褒めるべきところが見つかったのがラストトラックって…。

あまりアルバム内の流れに緩急がついていないが、そもそもそれぞれの楽曲の差分化が出来ていないように感じた。どれも似たり寄ったりな音詰め込みアレンジとアッパー系ボーカル。それらが好きでたまらない人にとってはいいアーティストなんだと思う。

「似たり寄ったり」というのは言い換えれば「安定している」ことだ。

 

…かくいう私も「どれも同じ曲に聞こえるアニソンアーティストナンバー1」の異名を持つ「ALI PROJECT」好きなのであまり強く言えないところがある。

 

好きな人は、いくら外部から「似たり寄ったり」だと言われてもちゃんとイントロの時点で聞き分けられるもんである。