復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

Rejetから出てるシチュCDのPVについての雑感

「RejetのシチュCDの主題歌って推せない!?推せるわ!」と天啓を受けて、全作品のPVを見た。

2011年:1作品 2012年:2作品 2013年:7作品 2014年:11作品
2015年:13作品 2016年:19作品 2017年:10作品 2018年前半:5作品

計:68作品。取りこぼしがあるかもしれないが、おおよそ網羅出来たのでは。
そもそものきっかけは、2015年の1位にもした、真山りか「イー・アール・サディステック」(『ミッドナイトキョンシー』PV)を目にしてしまったこと。
乙女ゲームOPオタクだったから、シチュCD PVオタクになるのも早かった。

ただ奇跡みたいに豊作だったのは、2015年と2016年だけだったかな。
2014年以前は、今見ると映像が物足りなく感じるし、2017年は主題歌が付かなくなって、言葉通りの宣伝映像になってしまった。
2018年で再び主題歌が付くようになったが、それも5作品中1作品の事なので、発展は見込めなさそう。

出来ることなら一昨年ぐらいに、RejetのシチュCD PV界が、こんなにも素晴らしい世界だったことに気付きたかった。
アニソンオタク時代に好きだった制作者をここで何人も見かけたし、新しく名前を覚えた作詞・作曲家達もたくさんいる。
私はこれからも、hotaru × yamazoや佐々木恵梨、onokenの新曲をシチュCDのPV付きで観たかったけど、たぶん叶わないんだろうな。
(『十狂セメタリー』で亜咲花が来てくれたのはめちゃくちゃ嬉しかった)

ひとつ言うなら、PV制作会社もどこかにクレジットして欲しかった!
中山尚司(HISASHI WORKS) と、株式会社 キュードットが担当したものだけしか追いきれてない。
『幽玄ロマンチカ』や『クリミナーレ』シリーズの映像とか、絶対腕のいい所が作ってるはず。
ちょっと諦めきれない。本当に知りたい。
Rejet Sound Collection vol.4 が出てほしいのと同じぐらい諦められないわ。

サウンドコレクションは、vol.2とvol.3を買った。
どっちも同じぐらいリピートして聞いてる。素晴らしく良い買い物だった。
なので4を、どうか4をお願いします。
『ミッドナイトキョンシー』シリーズのFull.verも、本当に…マジで……
Zweiの『Fallen Angels Night』が2年越しで、アーティスト名義のミニアルバムに収録されていたので、希望が無い訳じゃないんだよ。

 

 

君をもっと近くで感じられたら 元通りだって怖くない / 黒丸「オアシス」【感想】

ゾンビリカより2018年に発売予定の18禁BLゲー贄の町』のデモムービーが公開された。
絶対に買うでしょ、こんなん……。

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【原画】厘のミキ 【動画】B.J (Mju:Z)

黒丸「オアシス
作詞:アキ子ちゃん 作曲:アキ子ちゃん 編曲:〔未確認〕 

すごい、2018年商業BLゲームOP界ベスト1がもう出てきてしまった感ある。
うあああ〜〜〜〜、好き。すっごく好き。
レトロポップな色彩で、死や肉体を玩具にして茶化してる露悪趣味感がいい。
こういう性癖をダイレクトに押し出した映像、本当に好き。大好き。
映像もツボだけど、それ以上に、曲が良いんだよな〜〜〜!
Cメロで舞う色紙吹雪と、サブカル風の歌声のハマり具合がたまらない。
この曲と歌声じゃなかったら、許されなかったでしょと思うぐらい、運命的なほど合っている。
この時間が最期 笑って過ごそうよ」のファルセットとか、すごいサブカル・ゾンビ声。
ボーカル:黒丸&作詞曲:アキ子ちゃんを検索しても全然情報が掴めないのが悔しい。
クレジットされていなかった、編曲者も知りたいし。
拍動とリンクするように、打ち込まれているドラムとかめっっちゃ癖になるので。
本編発売と同時に、フルバージョン収録のサントラを出してくれ〜〜頼む〜〜〜。

ちなみに2018年3月号『Cool-B』にムービーを収録したDVDと、描き下ろしイラストが載っていた。
アネモネが散った食卓で、白菊を食べる喪服姿のキャラ達と、これまた性癖すげえなと思う素晴らしいイラストだったので是非。

Cool-B 2018年3月号

Cool-B 2018年3月号

 

 

失っても あの日の薔薇の美しさを忘れられない / 霜月はるか「un secret」【感想】

オトメイトより発売された『薔薇に隠されしヴェリテ』をフルコンした。

薔薇に隠されしヴェリテ - PS Vita
 

1周目(私はルイ14世√)は紛うことなき神ゲーなんだけど、2周目からのスキップ機能が馬鹿みたいに使いづらく、他5人の攻略は諦めてトロコンにのみ専念した。
それでも7時間かかったぞ。
ルイ14世ラファイエット卿、フェルゼン伯爵にロベスピエール、ダントン。
攻略対象は全員大好きと言い切れるレベルで好き。
その好感度を上回る勢いでゲームに対する苛つきが募るのが残念すぎる。
トロフィー画像が繋がるとことか、ベルサイユ宮殿を探索出来るミニゲームとか、細かい所は好きなんだけどな。
乙女ゲーという媒体以外で、このキャラ達と出会いたかったです。
まあ、買った理由の第一はOPの製作者が知りたかったからだから、ゲームの仕様に文句を言うのは筋違いかも。
ただこれからプレイする人は、誇張抜きでかなり疲れることを覚悟しておいた方がいい。

映像製作者は、小畑敦彦&安藤徳志(ODDAC)で
イチカラムの前作『華ヤカ哉、我ガ一族』シリーズから続く製作者達。

un secret

un secret

  • provided courtesy of iTunes

霜月はるかun secret』 作詞:日山尚 作曲:霜月はるか 編曲:myu  

主題歌のCD自体は、霜月はるか好きなこともあって発売当時に買っていた。
フルコンした今聴き返しても、やっぱり素敵だ。
チェンバロを主軸とした宮廷音楽風のワルツに、薄氷を踏むように踊る霜月はるかの歌声。
ただ映像で使われているスチルは、ほぼ共通ルートで出るギャグ寄りテイストの展開のものなので、OP詐欺ゲー感を感じなくもない。
そこまでシリアスな雰囲気じゃなかったくせに!?みたいな。
後半はギロチン処刑されまくりの、ドシリアスなフランス革命展開だったから、余計に宮殿は和みの場だった印象が強い。
間違っちゃいないんだけど、釈然としなかったり。

映像は、とにかくCGの艶めきが印象的。
宮殿内の鏡の間のシャンデリア、小瓶が砕ける破片、ピアノの黒檀。
想像だけど、CGは安藤徳志(ODDAC)の方の仕事じゃないかな?
次のイチカラム作品のOPも、この二人が手がけるだろうし、すごく楽しみ。

それと歌詞について。
ゲームに触れる前はラストサビ『失っても あの日の薔薇の美しさを忘れられない』の薔薇は栄華のことだと思っていた。
ヴェルサイユ宮殿で、マリーアントワネットとして過ごした栄華の象徴。
ただ今作をプレイして、間奏『零れてゆく想いのように 剥がれてゆく花びら』を聞くと、見当違いもいいとこだったと思うよ。
想い=花びらなら、花開いた薔薇は、攻略対象への愛に他ならない。
一輪の薔薇が見つめていた かりそめの刻』が表しているのも、短期間とは言え正体を隠し続けたまま、相手を恋慕っていた主人公の切なさだろう。
(リーゼがそんな繊細さを持ち合わせた主人公じゃなかったのはさておき!)

ただ本編に沿って考えるなら、『あの日の薔薇』は、かつて主人公がマリーアントワネットにプレゼントした薔薇のことになる……?
え、『薔薇に隠されしヴェリテ』って百合ゲーでした?
だったら私はリーゼ×ランバール夫人を強く推します。


君に近づけない 幾度口付けても / Rita「堕天の戀」【感想】

18禁乙女ゲー『女王蜂の王房 輝夜』を、上原一之龍による主題歌目当てにプレイした。

女王蜂の王房 輝夜編

女王蜂の王房 輝夜編

 

体験版は真面目にやり、本編はほぼオールスキップで駆け抜けたものの、すごいゲームだというのは十分に伝わってきた。
暴力という蜜に塗れた物語で、改めて、現世の刑法の存在に感謝したくなる。
主題歌のフルはBGMと共にCD化されておらず、聴きたいならゲームをプレイしてね♡
でもExtraにMusic プレーヤー機能はないよ♡という割りとお粗末な仕様。
BGMも上原一之龍が担当しているだけあって良曲が多かったのに、名前すら分からず仕舞いだ。
それでも何故か嫌いになれない。嫌いになれないんだよ、女王蜂の王房…!!
ムービー制作は、株式会社イクリエ。

Rita「堕天の戀」 作詞:mau、鬼むぅ 作曲・編曲:上原一之龍 

とにかく雰囲気とメロディーが、最高に格好いい。
さすが上原一之龍と言いたくなるぐらい、作品のカラーを濃く煮詰めて凝縮した曲だ。
ストリングスとエレキが妖しくも悲劇的に、力強く伴奏を奏でる。
この勇ましさが、『女王蜂の王房』らしい。
幾ら気丈に、気高く振る舞おうとも、それでもなお世界を動かせはしない、悲しい力強さがある。
美しくとも、無力な慟哭。
ラストサビ「君に近づけない 幾度口付けても」のフレーズからもそんな匂いが漂う。
輝夜編をプレイしていて感じた憤り、この曲はそんな咽びの嘆きに満ちていると思う。
つまり、すごく好み。
アウトロや間奏のバイオリンソロとか脳が痺れるほど壮麗だし、本当にCD化して欲しい。

それに、主人公の輝夜目線と思われる歌詞が、2番からどんどん格好良くなっていくのも好き。
ズルいなあ。格好いいなあ。
忘れぬ無垢な未来 蝋で築いた翅 太陽に灼かれても 立ち止まりはしない」ってところは、穢されまくっても、高貴であろうとした輝夜のプライドに心震える。
ムービーで『どうして こんなにも 私の心は どす黒いのだろう』と自責しているけど、しょうがないって。あんな強姦されまくりの状況下に置かれて壊れない方がおかしい。

輝夜はよくやったと、心の奥底から尊敬する主人公だったりする。
早くめのう(もう一人の女主人公)と幸せになって欲しい。
女王蜂×女王蜂が一番麗しいに決まってる。
ここのメーカー、百合ゲーを作ったらニッチ方面でヒットするんじゃ……と思うよ。

怖がりさんでも大丈夫 / vita「死印」【感想】

エクスペリエンスがvitaから発売しているホラーADV「死印」を、7時間ほどでフルコン。
めちゃくちゃ面白かったです。 

死印 - PSVita

死印 - PSVita

 

私自身、ホラーでオカルトチックな雰囲気は好きだけど、
びっくり系おどかしは無理という面倒くさいゲーマーでして。
「死印」は、そんな私の要望に完璧な形で答えてくれたADV。
「廃墟を探索してみたい!軽く怖くなりたい!でも追っかけとかマジで無理!」
っていうジレンマを抱える方におすすめ。


以下、ネタバレ

探索できる場面は、DLCである6章含めて4つ。
廃校・樹海・地下の研究施設・廃ホテル。
一番怖かったのは、唐突に子供の顔が迫り、笑い声が響く1章の廃校。
製作中に力尽きたのか、びっくり系要素はそれ以降は登場せず、6章で少しまた復活する程度。
怖がりの私でも大丈夫な微ホラー。

で、このゲームの何処が良かったって
全ての要素が高水準で、手堅くまとまっているところ。
キャラクターは全員地に足の着いた性格で、イラっとすることが一回もなかったし、
ビジュアルはパッケージを見てもらえれば分かる通り、超ハイクオリティな写実系。
BGMも良かったな、本当にサウンドの神保 直明は素晴らしい仕事をしたと思う。
特に第5章、地下で西洋風のクッションを見つけた時に流れ出す、あのメリィ専用と言ってもいい「死るし」!
心臓止まるかと思うぐらい、鮮烈に響き出すあのメロディーだけで、
死印は最高のゲームだったと言えるよ。
軍歌『荒鷲の歌』をBGMに地下施設を探索出来るゲームなんて、今作ぐらいのものだろうし。

怪異のモチーフに、考察の余地があるのも好きだな。
花彦くんの薔薇は、薔薇族(ゲイ雑誌)からきてるんだろうし
森のシミ男の蜂は、蜂群崩壊症候群(女王蜂以外全てのミツバチが巣からいなくなる原因不明の現象)から取ったんだと思われ。

ストーリー的には、6章が一番好き。
私はDLCが無料キャンペーンの時にDLしたけど、この内容なら1000円払っても普通に元が取れる。
今までの仲間全員が再び怪異に巻き込まれていくお祭り感が良いし、主人公以外のキャラクターの成長も著しい。
結末も寂しく、救いがないながらも、それでもその寂しさに余韻がある。

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それは……
……1匹の蜘蛛の亡骸だった。
蜘蛛は、まるで何かを抱きしめようとして、叶わなかったように……
その肢を丸めて死んでいた。

「気が済んだか…… さあ帰ろう」
そっと蜘蛛をつまみ上げ……
ハンカチに包むと、ポケットへと仕舞った。

主人公だけが、絡新婦に至った彼女を悼んだ。
自分と共に心中しようとした一匹の蜘蛛を連れ、館へと帰って行った。
この選択に、私は軽く泣いたよ。
5章までの主人公は、別にそんな優しいとか思わなかったけど、記憶を取り戻した後の彼はめちゃくちゃ優しくて、格好良い。
真下に「だから貴様の周囲には闇がまとわりつく」と忠告されるぐらいに。

こういうジャパニーズ・ホラーの探索系ADVをずっとやりたかった。
そして、もっとプレイしたい。
「死印」一本で終わらせてしまうには、余りにもあのキャラクター達は魅力的すぎる。
続編、お願いします!