復元可能な灰壺

個人的な感想文ブログ

失っても あの日の薔薇の美しさを忘れられない / 霜月はるか「un secret」【感想】

オトメイトより発売された『薔薇に隠されしヴェリテ』をフルコンした。

薔薇に隠されしヴェリテ - PS Vita
 

1周目(私はルイ14世√)は紛うことなき神ゲーなんだけど、2周目からのスキップ機能が馬鹿みたいに使いづらく、他5人の攻略は諦めてトロコンにのみ専念した。
それでも7時間かかったぞ。
ルイ14世ラファイエット卿、フェルゼン伯爵にロベスピエール、ダントン。
攻略対象は全員大好きと言い切れるレベルで好き。
その好感度を上回る勢いでゲームに対する苛つきが募るのが残念すぎる。
トロフィー画像が繋がるとことか、ベルサイユ宮殿を探索出来るミニゲームとか、細かい所は好きなんだけどな。
乙女ゲーという媒体以外で、このキャラ達と出会いたかったです。
まあ、買った理由の第一はOPの製作者が知りたかったからだから、ゲームの仕様に文句を言うのは筋違いかも。
ただこれからプレイする人は、誇張抜きでかなり疲れることを覚悟しておいた方がいい。

映像製作者は、小畑敦彦&安藤徳志(ODDAC)で
イチカラムの前作『華ヤカ哉、我ガ一族』シリーズから続く製作者達。

un secret

un secret

  • provided courtesy of iTunes

霜月はるかun secret』 作詞:日山尚 作曲:霜月はるか 編曲:myu  

主題歌のCD自体は、霜月はるか好きなこともあって発売当時に買っていた。
フルコンした今聴き返しても、やっぱり素敵だ。
チェンバロを主軸とした宮廷音楽風のワルツに、薄氷を踏むように踊る霜月はるかの歌声。
ただ映像で使われているスチルは、ほぼ共通ルートで出るギャグ寄りテイストの展開のものなので、OP詐欺ゲー感を感じなくもない。
そこまでシリアスな雰囲気じゃなかったくせに!?みたいな。
後半はギロチン処刑されまくりの、ドシリアスなフランス革命展開だったから、余計に宮殿は和みの場だった印象が強い。
間違っちゃいないんだけど、釈然としなかったり。

映像は、とにかくCGの艶めきが印象的。
宮殿内の鏡の間のシャンデリア、小瓶が砕ける破片、ピアノの黒檀。
想像だけど、CGは安藤徳志(ODDAC)の方の仕事じゃないかな?
次のイチカラム作品のOPも、この二人が手がけるだろうし、すごく楽しみ。

それと歌詞について。
ゲームに触れる前はラストサビ『失っても あの日の薔薇の美しさを忘れられない』の薔薇は栄華のことだと思っていた。
ヴェルサイユ宮殿で、マリーアントワネットとして過ごした栄華の象徴。
ただ今作をプレイして、間奏『零れてゆく想いのように 剥がれてゆく花びら』を聞くと、見当違いもいいとこだったと思うよ。
想い=花びらなら、花開いた薔薇は、攻略対象への愛に他ならない。
一輪の薔薇が見つめていた かりそめの刻』が表しているのも、短期間とは言え正体を隠し続けたまま、相手を恋慕っていた主人公の切なさだろう。
(リーゼがそんな繊細さを持ち合わせた主人公じゃなかったのはさておき!)

ただ本編に沿って考えるなら、『あの日の薔薇』は、かつて主人公がマリーアントワネットにプレゼントした薔薇のことになる……?
え、『薔薇に隠されしヴェリテ』って百合ゲーでした?
だったら私はリーゼ×ランバール夫人を強く推します。


君に近づけない 幾度口付けても / Rita「堕天の戀」【感想】

18禁乙女ゲー『女王蜂の王房 輝夜』を、上原一之龍による主題歌目当てにプレイした。

女王蜂の王房 輝夜編

女王蜂の王房 輝夜編

 

体験版は真面目にやり、本編はほぼオールスキップで駆け抜けたものの、すごいゲームだというのは十分に伝わってきた。
暴力という蜜に塗れた物語で、改めて、現世の刑法の存在に感謝したくなる。
主題歌のフルはBGMと共にCD化されておらず、聴きたいならゲームをプレイしてね♡
でもExtraにMusic プレーヤー機能はないよ♡という割りとお粗末な仕様。
BGMも上原一之龍が担当しているだけあって良曲が多かったのに、名前すら分からず仕舞いだ。
それでも何故か嫌いになれない。嫌いになれないんだよ、女王蜂の王房…!!
ムービー制作は、株式会社イクリエ。

Rita「堕天の戀」 作詞:mau、鬼むぅ 作曲・編曲:上原一之龍 

とにかく雰囲気とメロディーが、最高に格好いい。
さすが上原一之龍と言いたくなるぐらい、作品のカラーを濃く煮詰めて凝縮した曲だ。
ストリングスとエレキが妖しくも悲劇的に、力強く伴奏を奏でる。
この勇ましさが、『女王蜂の王房』らしい。
幾ら気丈に、気高く振る舞おうとも、それでもなお世界を動かせはしない、悲しい力強さがある。
美しくとも、無力な慟哭。
ラストサビ「君に近づけない 幾度口付けても」のフレーズからもそんな匂いが漂う。
輝夜編をプレイしていて感じた憤り、この曲はそんな咽びの嘆きに満ちていると思う。
つまり、すごく好み。
アウトロや間奏のバイオリンソロとか脳が痺れるほど壮麗だし、本当にCD化して欲しい。

それに、主人公の輝夜目線と思われる歌詞が、2番からどんどん格好良くなっていくのも好き。
ズルいなあ。格好いいなあ。
忘れぬ無垢な未来 蝋で築いた翅 太陽に灼かれても 立ち止まりはしない」ってところは、穢されまくっても、高貴であろうとした輝夜のプライドに心震える。
ムービーで『どうして こんなにも 私の心は どす黒いのだろう』と自責しているけど、しょうがないって。あんな強姦されまくりの状況下に置かれて壊れない方がおかしい。

輝夜はよくやったと、心の奥底から尊敬する主人公だったりする。
早くめのう(もう一人の女主人公)と幸せになって欲しい。
女王蜂×女王蜂が一番麗しいに決まってる。
ここのメーカー、百合ゲーを作ったらニッチ方面でヒットするんじゃ……と思うよ。

怖がりさんでも大丈夫 / vita「死印」【感想】

エクスペリエンスがvitaから発売しているホラーADV「死印」を、7時間ほどでフルコン。
めちゃくちゃ面白かったです。 

死印 - PSVita

死印 - PSVita

 

私自身、ホラーでオカルトチックな雰囲気は好きだけど、
びっくり系おどかしは無理という面倒くさいゲーマーでして。
「死印」は、そんな私の要望に完璧な形で答えてくれたADV。
「廃墟を探索してみたい!軽く怖くなりたい!でも追っかけとかマジで無理!」
っていうジレンマを抱える方におすすめ。


以下、ネタバレ

探索できる場面は、DLCである6章含めて4つ。
廃校・樹海・地下の研究施設・廃ホテル。
一番怖かったのは、唐突に子供の顔が迫り、笑い声が響く1章の廃校。
製作中に力尽きたのか、びっくり系要素はそれ以降は登場せず、6章で少しまた復活する程度。
怖がりの私でも大丈夫な微ホラー。

で、このゲームの何処が良かったって
全ての要素が高水準で、手堅くまとまっているところ。
キャラクターは全員地に足の着いた性格で、イラっとすることが一回もなかったし、
ビジュアルはパッケージを見てもらえれば分かる通り、超ハイクオリティな写実系。
BGMも良かったな、本当にサウンドの神保 直明は素晴らしい仕事をしたと思う。
特に第5章、地下で西洋風のクッションを見つけた時に流れ出す、あのメリィ専用と言ってもいい「死るし」!
心臓止まるかと思うぐらい、鮮烈に響き出すあのメロディーだけで、
死印は最高のゲームだったと言えるよ。
軍歌『荒鷲の歌』をBGMに地下施設を探索出来るゲームなんて、今作ぐらいのものだろうし。

怪異のモチーフに、考察の余地があるのも好きだな。
花彦くんの薔薇は、薔薇族(ゲイ雑誌)からきてるんだろうし
森のシミ男の蜂は、蜂群崩壊症候群(女王蜂以外全てのミツバチが巣からいなくなる原因不明の現象)から取ったんだと思われ。

ストーリー的には、6章が一番好き。
私はDLCが無料キャンペーンの時にDLしたけど、この内容なら1000円払っても普通に元が取れる。
今までの仲間全員が再び怪異に巻き込まれていくお祭り感が良いし、主人公以外のキャラクターの成長も著しい。
結末も寂しく、救いがないながらも、それでもその寂しさに余韻がある。

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それは……
……1匹の蜘蛛の亡骸だった。
蜘蛛は、まるで何かを抱きしめようとして、叶わなかったように……
その肢を丸めて死んでいた。

「気が済んだか…… さあ帰ろう」
そっと蜘蛛をつまみ上げ……
ハンカチに包むと、ポケットへと仕舞った。

主人公だけが、絡新婦に至った彼女を悼んだ。
自分と共に心中しようとした一匹の蜘蛛を連れ、館へと帰って行った。
この選択に、私は軽く泣いたよ。
5章までの主人公は、別にそんな優しいとか思わなかったけど、記憶を取り戻した後の彼はめちゃくちゃ優しくて、格好良い。
真下に「だから貴様の周囲には闇がまとわりつく」と忠告されるぐらいに。

こういうジャパニーズ・ホラーの探索系ADVをずっとやりたかった。
そして、もっとプレイしたい。
「死印」一本で終わらせてしまうには、余りにもあのキャラクター達は魅力的すぎる。
続編、お願いします!

 

ソロモン72柱言えるかな? / 『メギド72』OP【感想】

ポイントピクチャーズファンの皆さん、もう『メギド72』のOP見ました!?
素晴らしく良くなかったですか!?!?


楽曲制作:ポイントピクチャーズ
主題歌(タイトル・歌手名共に不明)  

はー、こんな良OPを知らないでいたとは…ファンの名折れである。罵ってくれ。
ポイントピクチャーズの公式サイト更新で知ったからしょうがないけど。
素晴らしい。本当に素晴らしい。
今まで私が好きだったポイントピクチャーズの映像の面影が、至るところに見受けられて、集大成感を勝手に感じている。
アニメからモーショングラフィックスにCGに、てんこ盛りの大盤振る舞いOP。

・登場人物めっちゃめぐるぐる

http://1.giftube.nu/complete/B/MAEDtR.gif?1517575265 

CHAOS;HEAD NOAH』

http://1.giftube.nu/complete/B/X8BmPl.gif?1517575592  

エスカ&ロジーのアトリエ』でも少しぐるぐるしている。
ぐるぐるにどんな意図があるのかいまいち掴めないが、記憶に残るシュール感。

・間奏のCG

http://1.giftube.nu/complete/B/UDFIIT.gif?1517576549  

『アルノサージュ 〜 生まれいずる星へ祈る詩 〜』

http://1.giftube.nu/complete/B/cI7Qk6.gif?1517576315

ノルンノネット』シリーズでもそうだったけど、ここの会社はクリスタルの破片を一際美しく描く。

・ロゴタイトルカット
「メギド72 op」の画像検索結果 

『7'scarlet』

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暗闇に紫の光が射す、大人びた質感が好き。

その他色々。
製作者まで知りたくてクレジットを確かめてはみたものの、記載は会社名までで残念。
アニメ部分もあるし、かなり多くの方が関わったと思うんだけど。

主題歌もかなりハードなデジタルロックで、めちゃくちゃ格好いい。
Aメロが、ラ・ラ・ラ 言えるかな?ソロモン72柱のなまえ!
になっていてなお、そこをエフェクトボイスでキメてくるとこにプロのプライドを感じる。
間奏とかもう独壇場じゃんね。
これで作詞・作曲者を公開していないとか何なんだ、謎すぎるぞ『メギド72』
一刻も早く、配信かCDを発売して欲しい。
チュートリアルまでしかプレイ出来てないけど、力入ってるのはすごく伝わってくるので。

偽りの祈りを捧げる / いとうかなこ「シンギュラリティ」【感想】

いとうかなこ『One's Rock』の影響で、CHAOS;CHILD熱がぶり返し気味。
ゲーム版のOPに関して、最初は「非実在青少年」の方がキャッチーで好きだったけど、今は「シンギュラリティ」のスルメ曲ぷりに魅了されている。 

シンギュラリティ

シンギュラリティ

  • provided courtesy of iTunes

いとうかなこシンギュラリティ
作詞:志倉千代丸 作曲:志倉千代丸 編曲:悠木真一 

いとうかなこ×志倉千代丸× 悠木真一は、アニメ版OP&EDも手がけた黄金トリオ。
志倉千代丸関連の曲では、志倉千代丸×悠木真一のコンビが一番好き。
いっっっちばん好き。Occultic;NineのアニメEDとゲームOPも最高でした。

今曲はムービーと曲の親和性がお気に入り。
ムービー制作者は、北原史尋 / 株式会社 glow / 株式会社ディープ の3者だけど
やっぱり、アートディレクターである北原史尋の持ち味が色濃く出たOPだと思う。
モノクロでスタイリッシュな映像なんだけど、尖っている訳じゃない。
むしろ有機的な何か。
雨雫や血垂れ、澪の顔、並びにキャラが溶け落ちていくカットは楕円を描き、ぬるっとした一連のカメラワークは、脳内に侵入してくるようで。
奇跡のはじまり」からサビまでの、奥へ奥へとのめりこんで行くカットとか、何回リピートしたことか。
嫌悪と快感による洗脳。そんなものの疑似体験すら出来そうだよ、私はこのOPで。

悠木真一による脳内がむず痒くなるようなイントロ&アウトロも素晴らしい。
細かな蟲が這いずり出すような幻聴にも聞こえてくる、あの細かな雨音。
サビや間奏だとエレキの盛り上げのおかげで、科学ADVらしい勢いがあるんだけど、
イントロから滲み出す異質感に囚われる感覚が好きだ。

でも毎回泣きそうになる瞬間は「偽りの祈りを捧げる」で、おっけいさんの尊い祈りフェイスが映るとこ。
あの表情はやばい。尊い
痛みを湛えた眉に、口角の上がった唇。ただ重ねられた手に、吹き上がる襟。
ぱっと微笑んでるように見えて、全然そうではない。でも微笑んでるように見える。
何だろ、女神様……?女神様です。尾上世莉架は女神。

朽ち果てるこの身に 残された時を抱いて / 宇月真織「Ephemeral puppet」【感想】

エフェメラル -FANTASY ON DARK-』という乙女ゲームを買った。 

エフェメラル -FANTASY ON DARK- - PSVita

エフェメラル -FANTASY ON DARK- - PSVita

 

目当てはOPの製作者が載ってるクレジット。ムービー製作者は株式会社アナロジカル。
また新たな映像制作会社を知ることが出来たのは嬉しい収穫。
あわよくばOPのフルも聞けたらと思ったけど、収録されていたのはshort.verのみ。
特典音源もないので、結局Full.verは聞けずじまい。project lightのアルバム発売を待つしかないようで。
聞き取ったshort.verの歌詞は以下の通り。

 

宇月真織「Ephemeral puppet」 short.ver
作詞:仲村芽衣子 作曲:丸山公詳 編曲:丸山公詳 /(project light) 

 HuneXによるアプリゲーのコンシューマ化主題歌ではお馴染みproject light。
早くアルバムを発表してくれ……私は今曲と『帝國カレイド』OPのfullが聴きたい。
※追記:
2018年3月にベストアルバム3が出るぞーー!やったーーー!
※更に追記:今作と『帝國カレイド』の主題歌は収録されません。
どういうことだよ……もうshort.verだけでいいから出して。

タイトルの「Ephemeral puppet」は直訳で「儚い人形」
本編はスキップを使いつつのトロコンではあるが、言いたいことは分かる。
歌詞が本編を意識していることも、その意図を汲み取って映像が作られていることも。
一番好きなフレーズは「朽ち果てるこの身に 残された時を抱いて
主人公の種族であるゾンビの特性:若い頃は美貌だが、その後は肉が腐り果て骨と化す、物語の肝となる要素が端的に表されている。
曲の雰囲気自体も乙女ゲーらしい、豪奢で蠱惑的なワルツ。
チェンバロ短調の旋律を奏でているってだけでもう100点満点中100点。
『帝國カレイド』OPの時も思ったけど、定番な空気の中に新しいメロディーを組み込めるってすごい才能だよなあ。

そうさ 双六のように未来を君が決めればいい / 柊奈緒「月下の舟」【感想】

vita『月影の鎖 -狂爛モラトリアム-』という乙女ゲーの限定版を買った。

月影の鎖~狂爛モラトリアム~ - PS Vita

月影の鎖~狂爛モラトリアム~ - PS Vita

 

 目当ては、Full.verのOP&インストが収録されている限定版特典CD「月影心中」
OP「月下の舟」のFullだけに、6000円も出す価値があったかと言われるとあったんだよなあ、これが。
むしろ安いでしょ。この曲が6000円は安い。
歌詞カードがないのは頂けないけど。聞き取った歌詞だとこんな感じ。
Short.verは公開されているOPムービーで聞ける。動画製作者はAb。

奈緒月下の舟
作詞:柊奈緒 作曲:柊奈緒 編曲:森藤晶司 

奈緒は今曲を発表した2013年以降、活動不明。
TAKUYO作品ではお馴染み、編曲の森藤晶司は精力的に活動中。

Full.verの何が素晴らしいかって、ラストの「その瞼を濡らしてくれるか 僕の手を抱いて」で先入観の全てがひっくり返るところ。
女性ボーカルに少女趣味の歌詞、幻想に揺れ燃えるような曲の雰囲気に、女である主人公目線の歌だと当然のように思い込んでいた。
確かに、一回も「私」とは言ってない。ただずっと「君」について歌っていた。
この歌を歌っているのが「僕」で男であるなら、「君」は乙女ゲー主題歌である以上、主人公でしかありえない。
こんっっっな情念に満ちた想いを抱える男とか、最高じゃないですか。
誰か知らんけど。たぶん「楽になれるのに」で目を細めた人?
同時に、「そうさ 双六のように 未来を君が決めればいい 幾重にも重なる未来を 賽の目に託して」の投げやりな言葉にも合点がいく。
恋愛ADVにおいて、攻略対象者から見た主人公像って、確かにそう言われるべき理不尽さ。

ムービーもちゃんと、瞼を濡らしているのは主人公で、その頬に触れているのは別の誰かになっている。
この頬に触れた手の戸惑いが、私はすごく好き。
動画製作者のAbは調べても月影の鎖関連しか情報が出てこないのが残念なほど。
チープっちゃチープなCGではあるが、歌詞と物語に沿った動きをしてるのが未プレイ者に分かる。
折った笹舟は、灯篭流しと共に流れ、主人公の涙に沈む。
このムービーの製作者は『月影の鎖 -狂爛モラトリアム-』と「月下の舟」ことが好きで好きでたまらなくて、本当悲しいぐらいに大好きなんだろうね。
技術やデザインの腕よりも、「この物語のここを分かって欲しい!」という熱意が直球に伝わってくる素晴らしいOP。

instrumentalでは、森藤晶司のサウンドを存分に堪能できる。
1番Bメロからのストリングスの入りが、あの世の彼岸を幻視させるほど美しい幽玄。
間奏でストリングスが疾走し始めると、ますますその美しさは光を纏って、走馬灯を想起させるように譜面を駆け上がっていく。
アウトロの笛の音は餞別の旋律のようで、「月影心中」の収録曲に相応しい一曲。